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水色桔梗ノ末裔  作者:げきお

本能寺への道

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65話 旅立ち

歴史上の最大のミステリー『本能寺の変』まであと一月である。
俺は、ついに父光秀に告白した。
しかし、光秀は感づいていたのだった‥‥‥『俺が転生者である』事に‥‥‥
そして、未来の歴史、明智家の行く末、他の転生者の事‥‥‥包み隠さず伝えたのである。俺は計画をしてきたことを話し、光秀も決断してくれたのである。

「父上‥‥‥まずは今後の計画ですが、一番問題になるのが秀吉の動きです。当時、備中高松城にて毛利と対峙しているのですが、素早く停戦し畿内に取って返すのです。
未来では『中国大返し』と言われるものですが、まさに驚異的な速さなのです。それ故、秀吉陰謀説まであるくらいです。
そこで、速度と兵力両方を削減します。
兵力面は、長宗我部の水軍によって海から街道を牽制し、艦砲射撃にて攻撃致します。仮に射程外を通った場合は、上陸して後方を脅かす事もできますし、大幅に戦力を減殺できるはずです。
そして、速度の面ですが、事前に毛利に信長生害の情報を伝えます。
これは、私が直接使者となり、事前に潜伏し、六月二日に伝えるつもりです。
父上は、できるだけ早く京から近江を抑え、その後速やかに河内、摂津を押さえて下さりませ。さすれば、有利な状況で秀吉と決戦できるはずです」
俺は、大筋の戦略を話したのだった。

「なるほどの‥‥‥しかし、毛利への使者‥‥‥大丈夫なのか?」

「はい。ご心配なく‥‥‥某が行くからこそ説得力も増しましょう。
それに、明智の嫡子たる某に危害を加えるような選択を、毛利がするとは思えませぬ。恐らくは、秀吉を手玉に取り、和平交渉を有利に進めましょう‥‥‥」

「うむ。そんなところであろうな‥‥‥気掛りは信孝の四国遠征軍じゃな‥‥‥畿内の纏まった兵力はあやつ等のみ。丹羽や蜂屋も居ろう?」

「はい。未来の歴史では津田信澄殿が、本能寺の変への加担を疑われ、信孝に殺されます。そこは事前に教えるしかありませぬ。どう解釈されるか不明ですが、父上から書状を頂き、警告していただきたいのです。少なくとも討たれる事はなくなりましょう。
そして、信孝に関しては、雑賀衆が受け持ちます。孫市殿との話もできておりますので、奇襲にて勝ちを得ることが可能でしょう。
父上が河内辺りまで来られ、信孝が敗北すれば、筒井殿は保身のため従いましょう。また、高山右近殿、中川清秀殿も従うはずです。そうなれば、後は有岡城の池田恒興殿のみ‥‥‥
あとは、秀吉を打ち破れば、池田殿も軍門に下りましょう」

「相分かった。それと……徳川殿は如何する?
秀吉と同じく最大の敵となろう?」
光秀が更に疑問を呈した。

「それが問題です……
史実では、堺から今日に向かう途上で、信長生害を知り、その後伊賀越えにて、三河に帰還するのです。私の懸念もそこにありました。本来なら、討ち取るべきでしょうが、そこまで手が回るかどうかです。やはり忍び衆を使うしかありませぬが、伊賀衆が警護するのです」

「やってみるしかあるまい……多くの軍勢を動かす余裕も無かろう?
近江と京が優先じゃ」

「わかりました。源七にはそのように手配いたします。
実は源七と配下四名は、この事実を知っておるのです」

「そうか……それは心強いの……」

「万一、徳川殿を仕損じた場合は、武田が活きてまいります。
近江に出る思考が働くでしょうが、後方に武田が居れば徳川殿も全兵力を向けることはできますまい……真田殿を頼ると致しましょう。
それと、細部についてですが、山岡殿に瀬田橋を落されるのです。これをまず防がねば、近江制圧が遅れます。此処も源七に頼み、奇襲にて山岡殿を攻撃致しましょう。
また、秀吉の親族が長浜に居ります。史実では取り逃がすのですが、何としても捕らえたいところです。後々これが活きて参ります。阿閉殿に手配いたしましょう。
また、これも歴史的に知っておることですが、二条城で信忠を討ち取る際に、光忠叔父が負傷致します。注意を呼び掛けてくださりませ」

「わかった。わしも自分なりの戦略を考えてみようぞ……」

「はい。お願いいたしまする。
某、毛利に行く手筈を整えまする。途上にて、雑賀と土佐に立ち寄り、細部を煮詰めたく思いまする。某の不在を気取られるようにお願いいたします。
警戒が薄いうちに備中まで参らねばなりませぬ。近日中には坂本を発ちまする。
父上……何卒ご武運を……」

「わかった……お前も命を粗末にするでないぞ……」

「はい。父上が摂津まで進まれた後に合流致しましょう。
某は、長宗我部の水軍にて、摂津に上陸する所存です」

「うむ……武運を祈る……」

こうして、俺は光秀の元を辞したのだった。
そして、源七を呼び、長安のところに向かったのである。


「長安殿……今、父光秀にすべて打ち明け、計画への賛同頂きました。
やはり、父は私の事……お気づきであられました。
ですが、これで計画を前に進めることが出来まする」

「そうですか……後は成功を祈るのみですな……」

「はい。で、例の手榴弾の量産をお願いいたします。
あとひと月ですから、なるだけ数を揃えたいです」

「若殿、甲賀の隠れ里で何とか対応できまする。
つきましては、長安殿にご同道頂きたく……」
源七が請け負った。

「承知した。では、わしも甲賀へ向かうとしよう」

「あ、私も甲賀に立ち寄りまする。その後雑賀の孫三郎殿と合流し、打ち合わせした後、雑賀の船で土佐に向かいます。その後、信親殿の艦隊にて、毛利の領内に参ります」

「では、わしも準備いたそう」

「若殿、万一のため、某が若殿に付き添いまする。忍び衆の指揮は、弥一と疾風に任せます。それと新たに、源八と源九の組がおりますので、戦力は十分のはず」
源七が同行を申し出たので、了解した。

「源七、頼み入る。それとな……忍び衆には任務が二つある
一つは、瀬田橋を焼くであろう山岡勢への奇襲じゃ。
最重要の任務である。それまでに、忍び衆に手榴弾を使った戦闘を教えるのじゃ。
変の後、父上の下知に従ってくれ……」

「承知しました。で、もう一つの任務は……」

「うむ。徳川殿の暗殺じゃ……本能寺の変を知った徳川殿は、伊賀越えにて三河に戻るはず……その途上にて討ち取ってもらいたい。まだ人数の少ないうちに木津川を渡る前に仕掛けよ。その後は周辺の土豪や伊賀衆が警護に就くはずじゃ。それまでが勝負じゃ……」

「何とかやってみましょう。何分そうなると、人数が心もとないです。一撃離脱で後は運に任せるほかないでしょうな……」

「やはり厳しいかの……」

「源三兄にお願いできませぬか?その時はもうすでに本能寺の後にござります。大殿から手配頂ければ、幾分楽になりましょう……」

「わかった。わしから話してみよう。瀬田橋の確保だけは必ず成し遂げてもらいたい。頼んだぞ?」

「はい。必ずや……」

「それより、若殿……私はどうすればよい?
何か役割は無いか?」
長安が言った。

「私は、父のそばに居る事かないませぬ。長安殿は参謀として父を補佐して頂けませぬか?未来知識を元にした助言だけで結構です……」

「承った。全力を尽くそう」

こうして、細部の打ち合わせを終え、俺は出立の準備を進めた。また、家康に対する対応は父光秀に改めて話し、源三配下に任せることにしたのだった。
そして、五月二日、俺は大蔵長安、源七と共に甲賀の隠れ里に向かったのだった。

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