挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
水色桔梗ノ末裔  作者:げきお

本能寺への道

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

12/124

12話 予兆

思ったより、時間を浪費してしまった……
堺を後にした俺だったが、大雨による増水で、巨椋池で足止めを食ってしまったのだ。
この時代の地形は、俺のいた21世紀とは違う。
南山城には湖のような巨大が水源があったのだ。
俺は、父光秀の戻りを待って、土佐から帰還した旨報告した。
相変わらず、父光秀は忙しく動いている。
今は、朝廷や公家衆との間をせわしく行き来している。

「父上、只今戻りましてございます」

「お~~十五郎、大儀であったな。
大事はなかったようだの?」
久方ぶりの親子の語らいに、心を弾ませているらしい。

「はい、予想通り、手切れとなってしまいましたが、決定的な対立は避けられそうな気が致しまする。」

「うむうむ……重畳じゃ。元より、こちらの思惑通りに運ぶなどとは期待しておらぬ」
父は疲れているのであろうが、俺の顔を見て、少し元気になったのであろうか?
俺は、本当に愛されているんだな……そう感じていた。

「で、元親殿はどんな御仁であった?」

「はい。土佐の出来人はさすがにございました。
「一領具足」と呼ばれる家臣団の結束は固そうです。
それに、城下に住まう人々も活気に溢れておりました。
すべてが行き届いておるように思います。
源七でさえ、目ぼしい情報が掴めなかったようで。それに……」

「なんじゃ?申してみよ」

「某が土佐に赴いたこと……筒抜けにござりました」

「なるほどのぉ……元親殿はじめ、この時世において、家を大きくする武将は、情報の重要性を理解していて然るべきよな。
源七や源三らの甲賀者や、伊賀者はじめ、各地にはそれぞれ、影働きを生業とする集団がおるし、皆、その者らを抱えておるからのぉ。かの信玄公然り。上杉謙信公もそうであった」

「はい。某が「神童」などど噂されておることまで知っておりました。
少し驚きましたが……」

「それに、堺で今井宗久殿にもお会いしましたが、かの御仁も某のことを何やらお調べのご様子……いささか疲れました」

「はっはっはぁ……そうかそうか、今井殿が……
かの御仁は、上様とも昵懇の間柄。
上様より、そのような話を聞いて、興味でも持ったのかのぉ。
さすがに商魂逞しいではないか」

「はい、さように思いまする。
それと……元親殿の嫡子、信親殿と奇妙な縁で親しくなりました。
元親殿にも、何かとお口添え頂いたように思いまする」

「そうかそうか……確か、信親殿は、そなたとも年も近いの?
縁は大事にすることじゃ。たとえ敵国であっても、いつ何時、時勢が変わるやもしれぬ。
今後にも活かせるであろうて……」

「はい、心にしかと刻んでおきまする」

「それはそうと、昨今色々、上様と内裏との間がのう……」

「何かござりましたか?」

「うむ。今は平静を保っておるがの。
上様のあのご気性……取次のワシにはつくづく荷が重いわ。詮無い事ではあるが」

俺は、父の居室から退出すると、また色々と思案に耽った。
自分の知る「歴史的事象」の整理に取りかかったのだ……




+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ