【パンドラの箱】
俺の中で渦巻く暗黒なる闇。
吐き出されぬ行き場のない怒りの矛先を、
向ける宛もぶつける対象もない。
やがて爆発すれば、
炸裂した衝動は無意味な破壊行動に虚しく変わるだけだ。
だから俺は、理解する。
己の決められた役割を。
そして俺は、受け入れよう。
己の動かざるこの運命を。
振り返るな。
躊躇うな。
見失うな。
忘れるな。
思い出せ。
今まで受け続けた、残酷なまでな仕打ちを。
だから前を向け。
前を見据えろ。
頑なに、迷う事無く突き進め。
己が手にした唯一の、大切な命の為に。
気付いたはずだ。
その存在が何たるかを。
決して他では手に入らない、最高峰なる未来ある宝である事に。
そいつを守る為、そいつを輝かせる為に、準備してきたんだろう。
牙を研ぎ、爪を鍛えて。
だったら行動しろ。
嘆き悲しみ、困憊してなどいないで。
戸惑っている場合じゃない。
狼狽する暇など、もうありはしない。
しっかりと顔を上げて、目を逸らすな。
一度狙った獲物に、哀れみは不要だ。
喰らえつけ。
奴の咽喉元に。
爪を立てろ。
無駄な足掻きをさせぬ為。
そしてそのまま、連れて行け。
己の運命の道連れへと。
深く突き立てたその牙を、何があっても決して離すな。
叩き込め。
我が人生の奈落の底に。
バトルは始まった。
怯むな。
背中を向けるな。
戦う為に、張り上げろ。
憎悪の咆哮を。
復讐の雄叫びを。
立ち向かえ。
このどちらかが倒れるまでは、決して終わらぬ生涯のバトルに。
どうせ呑まれた運命ならば、その運命の支配者になれ。
さすれば俺は気付くだろう。
自分は決して不幸ではない事に。
人生の勝者である事に。
だから――。
全力で守り抜くよ。
お前の笑顔と幸せを。
それこそが唯一残された、
パンドラの箱の底にある、
俺の最後の希望だから。
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