「じゃあね」
私は手を振る。
そして、飛び降りた。
此処は学校の屋上。
汚い世界の産物、学校の屋上。
汚い人の作ったものでしか死ねない私はすこし悔しかったけど。
死ねるなら何でもいいと思った。
私が別れを告げた相手は、このセカイ。
汚い、大人たち。
汚い、クラスメイト。
汚い、親。
汚い、先生。
汚い、国。
汚い、世界。
汚い、この現実。
私は耐えられなかった。
汚いものの一部であることが。
死んだってなにも変わらないかもしれない。
いや、変わらないだろう。
目を瞑る。
かつて、尊敬する人物だったもの。
かつて、友人だったもの。
かつて、私を産んでくれたもの。
かつて、勉学を教えてくれたもの。
かつて、私が暮らしていた故郷。
かつて、私が存在した場所。
かつて、私が愛したこのセカイ。
かつて、私が愛したこの現実。
じゃあね。
ピッピッピッピッピ……
「目が覚めましたね。」
「ふん、やっと起きたか」
「本当にやるんですか?」
「もちろんだ。コイツにはこのくらいのバツが調度良い」
ブツブツと聴こえる低い声。
天国?地獄?それとも現実?
嗚呼。また汚い世界に戻ってきちゃったのかな?
「フン。そろそろだ」
私は何者かに掴まれる。
叫ぼうとするも声が出ない。
嗚呼。殺されるのかな。まぁ、いいけど。
「コレで何回目だっけ?こいつは」
「11回目だよ。全く懲りねぇな」
「そんなに現実っていうのは嫌なのかね?」
「国が駄目なのかもよ」
「だって日本だけじゃねーぜ?」
「アメリカに行ってもカナダに行ってもロシアに行っても中国に行っても変わんないよ」
「だったら生き返らせる意味なんてねぇじゃん」
「馬鹿じゃないの? 彼女が現実を認めないと永遠に生き返らせなきゃいけないんだから」
「僕らが決められることじゃねえのさ」
何の会話なの?
コレ。
「今度こそ、いい国に落ちるといいわね」
私の目は見えなくなっていて分からないけど、何か熱い。
「じゃあね」
会話をしていたものたちが一斉にそういう。
たぶん私に言ってるのだろう。
殺さないの?
死ねないの?
嗚呼……
私は屋上から落ちてきたときと同じように永遠とも一瞬とも思われる現実に落ちていった。
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