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魔術師/BATTLE OF NIGHT
作:なかたく



MAGIC35-2〜廃校舎にて…〜


 天真の気まぐれと突然すぎる思いつきによって翼と緋睡と紗代の3人は隣町にある廃校舎で幽霊探しをすることになってしまった。
 いや、実のところあらかじめ下調べなどを天真がひとりでやっていたのかもしれない。そうでもなければわざわざ隣町まで連れてくるわけがないだろうからだ。
 両親への連絡は翼が持っていた携帯電話ですることができた。「突然の用事で遅くなる」といった感じのことを適当に翼が言うと、家に専業主婦としている雅はあっさりと納得してくれたようで別に突然の用事って何?と詮索することもなく「わかったわぁ〜」と、相変わらずのほわわんとした口調で返答が帰ってきた。
 そしてこのまま廃校舎の前で突っ立っていても単に暇なだけなので翼たちは近くにあったコンビニで雑誌を立ち読みして時間をつぶすことにした。
 何時間も何時間もコンビニに翼たちは居続けていたので、途中からコンビニの店員の人たちの視線が結構痛かったりした。
 そして、

「さて、良い子はすでに寝ている12時になったな」

 現在夜中の12時。それでいてここは廃校舎前。
 翼や緋睡や紗代もこの時間帯頃にはソーサリー・クリスタル探しも終わって帰宅をし、早いときにはすでに寝ている時間帯だった。そのため3人は眠たいようでうとうとと重くなっているまぶたを必死に開けようと努力している。
 そんな眠たそうな3人を尻目にピンピンと、それこそ先ほどまで翼たちが行っていた24時間営業のコンビニくらいの元気100倍な様子の天真は幽霊探すぜ的なノリ全開だった。

「先輩……、幽霊探すのならはやいところ探して捕まえてとっとと帰りましょ〜よ」

 半ば寝ぼけ気味の翼に、天真は「うむ、そうだな。観たい深夜アニメも1時半には始まるしな」と言ってスッタカタッタと施錠のかかっている扉の前までやってくると召喚法で自分の得物である槍を取り出し、そしてその施錠を真っ二つに切断して扉を開かせることに成功した。

「よしいくぞ、全員おれについてくるがよい」

 そして天真は壊した施錠されていた扉を特に気にすることもなく押し入り嫁もとい押し入り強盗みたいに廃校舎の中へと入っていくので、翼たちも早いところ終わらせようと天真のいうことに反抗することもなく入っていくことにした。


                    *     *     *


 中に入るとまず第一に感じたのはカビ臭さだった。木造校舎ということもあるせいか、廃校舎の中はまんべんなくカビの臭いで満たされていた。
 初めはその臭いで思わず鼻を押さえる翼たちだったが、人間の適応能力はすばらしい。入ってからものの数分で翼たちはその臭いに慣れることができた。

「よし、まずはチーム分けだ」
「チーム分け?」

 天真の言った単語をオウムがえしに翼が天真に訊く。
 というか、そんなことをするのならこのカビ臭い廃校舎の中でやらずに多少排ガスで汚れているが比較的ここよりは新鮮な空気で満たされているこの廃校舎があるグラウンドでやてもらいたいものだと翼たちは当然のように感じた。
 だがどうやら天真は自分のやりたいことだけで頭がいっぱいになっており、そこまで頭が回っていないご様子だ。

「そうだ。4人いるから2人ずつ分けるぞ。このくじ引きで」

 そういうと天真はあらかじめ作っていたのか、召喚法で4本の白くて細長い紙を取り出した。細長い紙の一番下の部分は、誰にも見えないように天真が自分の手で隠している。

「まずは翼だ」

 天真が自分に向けて4本のくじを差し出すので、翼はその中から1本を適当に取ると先ほどまで天真が隠して見えなかった部分に“○”印があった。
 翼に引き続いて天真は今度は緋睡にくじを差し出すので、緋睡も翼と同様に適当にくじを1本引く。――と、隠れて見えなかった部分には“×”印があった。
 どうやらこの“○”と“×”の印でチームを分けるようだと3人は感づいた。
 続いて紗代に天真はくじを差し出すので、紗代も先ほどの2人と同様にくじを引く。するとそこには“○”がしるされていた。ということは、必然的に天真は“×”ということになる。

「よし、決まったな。――というわけでよろしく頼むぞ、巫女」
「……」

 軽く緋睡お肩を叩いてテンション高めな天真に対し、緋睡はなんでこんなやつと……とでもいいたそうな雰囲気を身体中から発していた。

「ウチは翼君とやな」
「うん。そうだね」

 パートナーが紗代ということもあって、緋睡とは真逆の雰囲気をかもし出す翼。もしパートナーが緋睡ならば翼は延々と皮肉を言われるだろうし、天真に至っては何をされるかわからない。
 緋睡と天真には悪いが、紗代はこの中では一番まともといえばまともな人である。

「兄上、くれぐれも紗代に妙なことはしませんように」
「誰もしないって。おまえは兄を信じる気持ちというものはないのか」
「ありません」

 あっさりと言いなさる、この嬢ちゃんは。
 怒りをぶつけてやりたい翼だったが、今はそんなことより一秒も早く家に帰りたかったので余計な騒動は起こさないようにする。

「それでは翼チームよ。1時になったら再びここに集合だぞ。そのとき幽霊に会ったか宇宙人に会ったかミイラを見つけたか聞かせてもらうので、かならず見つけてくるように」

 そんな幽霊も宇宙人もミイラも隣町の廃校舎の中を探して出てくるというようなことはないと翼と紗代、それに天真チームの緋睡は思うのだが、言うだけ言うと天真は緋睡をつれて廃校舎の奥へと進んでいく。

「……それじゃ、僕たちも行く?」
「そやな。ここにいてもしゃあないことやし」

 天真たちの後ろ姿がある程度小さくなると翼たちも行動をすることにした。


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