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魔術師/BATTLE OF NIGHT
作:なかたく



MAGIC33-2〜雪合戦、開始〜


誤解を解くべく紗代に事の成り行きを説明した結果、紗代はどうにか納得した様子になった。
ところでなぜ紗代が真道家にいるのかというと、それは真道家の養子になったからだ。
というのも翼が紗代のことをクィ―ンズから帰ってきたときに両親に話すと雅が「だったら養子にしましょ〜」といったからだ。
紗代の両親はもともと紗代が幼いときにすでに他界しており、それから一人生活をしていたのだが、途中で誤って聖五守護騎士を召喚してからはずっと聖五守護騎士の面々と一緒に過ごしてきた。
だが、ヘルセンテス事件の際に聖五守護騎士の面々はいなくなり、再び天涯孤独になっていたところ、翼の両親であるみやび清哉しんやが養子にならないかという話を紗代にしたのだ。
当然、いきなりそんな話を持ち出されて躊躇ちゅうちょしていたのだが、翼を信用しているせいか話を持ち出されて1週間後にはOKの返事を言ってきたきり、こうして真道家の一員となっている。つまり、翼や緋睡に義妹ができたことになる。
紗代がもともと住んでいた家はそのまま放置しており、必要な荷物は全部翼の家まで全部引越し業者に頼んで持ってきた。
紗代の部屋は翼の部屋の隣にある使われていなかった和室で、そこに全部の荷物を整頓して置いている。

「あら〜、紗代ちゃん。急に居間から飛び出してどうしたんだろ〜って思ってたらツバサ君を起こしにいってくれていたのねぇ〜。ありがとね〜」

ほんわか口調の母親――雅の言葉が翼と紗代が居間に入るなり聞こえてきた。

「いえ。どういたしまして…」

本当は翼を起こしにいく気はなかったのだが、結果的にそんな感じになってしまったので紗代はややぎこちなく返事をする。だが、これはまだマシになったほうだ。
養子になって初めにここに来たときはややぎこちない態度だった紗代だが、清哉の「もう自分の家なのですからゆっくりとしていいんですよ」の一言でようやく今の現状だった。
居間にいるのは翼に紗代、それにソファ―に座ってテレビをみている雅と緋睡の計4人。
父親の清哉は土曜日にもかかわらず仕事のようでここにはいなかった。プリムラはおそらくオコジョ形態で真道家の敷地内を散歩しているのだろうと翼は推測した。

「ツバサ君も、そろそろお兄さんらしいことをしないといけないわねぇ〜」
「……なに?やぶから棒に」

朝食として菓子パンを食べていた翼に雅がそんな言葉を言うので翼は食べるのを一時停止する。

「藪から棒じゃないわよ〜、ツバサ君。妹が二人になったのだから、お兄さんらしくしっかりしなきゃいけないわよ〜」
「…例えば?」
「妹に起こされないように早起きするとか〜」

事実なので反論できない翼。なので黙って菓子パンを再び食べ始めた。

「妹にアプロ―チするとか〜」

何で?何のために?
そんな疑問を感じるが翼はふんふんとてきとうに首を縦に振って話を流す。

「妹の言うことに少しは従ってあげるとか〜」

今までも緋睡にけっこう引っ張りまわされていたのにそれはカウントされないのだろうか、と翼は心底思いながら口の中に入った菓子パンを牛乳で胃袋に流し込む。

「妹に大人の授業をしてあげるとか〜」

やめてくれ、母さん。そんなことをしたら緋睡に殺される。文字通りに。生殺しじゃすまないって……。紗代に至っては真道家を飛び出して金輪際関わりを持たなくなるかもしれない。と翼は口には出さないが思った。
それと共に、この母親は自分のことや妹のことをどう思ってるんだろうか?とも思ったりする。
そんなとき、翼はハッとして緋睡と紗代のほうを見る。
何かゴキブリや生ゴミに群がるハエを見るような嫌な視線で翼を見ていた。
そして翼と目が合うや否や2人はソファ―から立ち上がり早歩きで居間から出て行った。どうやら翼が何か妙なことを考えて自分たちを見た、と緋睡と紗代は思ったらしい。
もはや弁解する気にもならないのか、はぁ〜と嘆息して、そのまま洗顔をしに洗面所に行く翼であった。


                    *     *     *


翼は洗顔した後、緋睡たちはあの後どこにいったんだろう、と思いながら靴を履いて中庭までいこうとする。
外には雪が降っており、地面は一面雪に覆われているほどだった。
やがて中庭までやってくるや否や、

「――ぶわっ!?」

突然、翼の視界が真っ白に覆われ、視界が奪われる。そしてなにより冷たかった。
どうやら雪のようだ。

「あはははははは……!!翼君見事に命中したなぁ」
「さ、紗代…か?」

顔面から雪が落ち、翼が見たのは自分に指を向けて片手に雪玉を持って大笑いしている紗代の姿だった。紗代の傍らには、作るのに2時間はかかりそうな大きな雪だるまがあり、そして紗代から距離をとった場所から緋睡が翼を見ていた。

「いったいなにしてるの?」
「雪合戦や」
「雪合戦…て、2人だけで?」
「そうや。よかったら翼君も一緒にやらへんか?」

紗代の誘い。実際翼は暇だったので断る理由を探すほうが難しい。
なのでもちろん紗代の誘いに乗る翼だが、

「別にいいけど……人数が少なくない?」

3人で雪合戦というのはやや味気ないと翼は思っていたので、ついそんな言葉をもらしてしまう。

「人数少ないっていわれても……残りはプリムラちゃんしかおらへんで」
「プリムラか……」

おそらく参加させても何もしないで突っ立ったままだと思われるプリムラ……。
だが枯れ木も山の賑わいなので参加させたいのだが、その肝心のプリムラがどこにいったのかまったく不明だった。
プリムラのことなので敷地内にはいるだろうが、なにせ東京ディズ○―ランドの敷地の半分くらいあるので探すのにはだいぶ骨が折れそうだ。
そんなとき、

「はぁ―――――はっはっはっはっはっ!!その話のったぁぁぁぁぁぁ!!」

突然、紗代の傍らにある大きな雪だるまがしゃべりだすので、思わず飛びのく紗代。
だがこの悪役のような高笑いには翼たちは聞き覚えがあった。

「……もしかして、先輩?」
「正解だああぁぁぁぁぁッッ!!!」

そんな声と共に雪だるまが中の人によって破壊される。そしてそこから出てきたのは、翼たちの先輩こと天真だった。そして天真の着ている上着のポケットにはオコジョ形態のプリムラがいた。

「て、天真先輩いつの間にウチがつくった雪だるまの中に?」
「まぁまぁ。細かいことは気にしないでおこうではないか、紗代」
「いやいやいやッ!ぜんっぜん細かくないと思いますよッ?」
「それより聞いたぞ。先ほどの話ッ!」

紗代の言葉を完全無視し、天真は勝手に話を進める。

「雪合戦で人数が足りないから困っているというわけだな?なのでおれたちも参加させてもらおうではないかッ!」

おれたちも…その言葉から察するにプリムラも入っているようだ。
もはや止めても無駄だろう。それに止められるものではないし、なによりメンバ―が足りなかったのは事実なので、翼たちは計5人の雪合戦を開始することにした。


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