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魔術師/BATTLE OF NIGHT
作:なかたく



MAGIC27〜地獄のフライト、再び〜


城の庭には翼たち一行、それに聖五守護騎士の面々とそのマスタ―紗代が、ガルディオスとシャルロットを囲むようにしていた。
その理由は、いよいよ始まるヘルセンテス突入に関しての最後の説明を聞くためだ。
ガルディオスは一度、これからの戦いに勇敢にも参加してくれた面々の表情を見る。―――だれも迷い1つない、これからの作戦を見事成功させるという決意ができた表情だった。
それを見て安心したガルディオスは、アイコンタクトでシャルロットに説明の合図をする。

「それではこれから、ヘルセンテスの侵入および破壊、そして天使を打倒するのですが、ここで念のためにもう一度作戦の説明をいたします。―――まずみなさんはヘルセンテスが浮かんでいる真下にある湖までこれから行ってもらいます。そしてそこに先ほど兵士たちに用意させましたシャトルがありますのでそれに乗り込んでヘルセンテス内に侵入してもらいます」
「ヘルセンテスの真下に用意して大丈夫なのか?下手をすれば天使たちがおりてきて壊されるのではないか?」

ついそう思ってしまい、天真はシャルロットに問うと、コクリと頷くシャルロット。

「天真のいうとおりです。さいわい今はまだ気づかれていませんので、そのうちにシャトルに乗り込んで突撃してください」

つまり、天使たちに気づかれてシャトルを破壊されたときには、ヘルセンテスに乗り込めなくなり、こちらの敗北は確定してしまうというわけだ。
ならば早く行きたいところだが、説明はまだ終わっていないようで、シャウロットが話を続ける。

「2つ目は、ヘルセンテスの制御装置をおさえてください。おそらく天使たちも阻止してくるはずですから、そのとき天使たちを倒してください。そして3つ目は、―――」

3つ目を言い始めようとするとき、シャルロットは一度アクセルと目を合わせる。
するとアクセルはその視線に無言で頷く。

「3つ目は、……これは聖五守護騎士の方々にのみやってもらう作業となります。……頼めますか?」
「ああ。無論だ」

とても…とても申し訳なさそうにシャルロットは聖五守護騎士のおさのアクセルに頼むと、周りに目配りすることもなく頼みを受ける。
その頼まれた内容は、聖五守護騎士の面々以外には翼とミントが知っていた。
できればそれは起きて欲しくない。可能ならば、3つ目の作戦はなしにして欲しいとばかり知っているものとして翼とミントは思ってしまう。
聖五守護騎士のことだ。おそらくマスタ―である紗代には何1つ言っていないのだろう。
実際そうだったようで、紗代は「なあなあ。みんなだけが引き受けたことってなんなの〜?」とリンダに尋ねていたが、リンダは優しく柔らかい笑顔で「内緒です♪」と誤魔化ごまかしていた。
つらい現実がこの作戦の果てにあるのだが、翼とミントはどうしようもできないことだった。
今すぐにでも紗代に言ってやりたいのだが、それは聖五守護騎士の面々が許さないだろう。

「どうしました?兄上」
「え?…いや、なんでもないよ」

兄の異変に気づいた緋睡が声をかけるのだが、翼はそんな返事をする。
本当はなんもあるのに。

「―――それではみなさん。御武運をワタシたちはお祈りしています」

こうして、最後の作戦概要の説明は終わった。


                    *     *     *


あれから一行いっこうはまっすぐに湖付近までやってきていた。そもそも、寄り道する時間などもうないのだ。
湖の周りには1つのシャトルがあった。大きさからして、ちょうど定員がぴったりかと思われるほどのものだった。
そしてそのシャトルの先端は、普通のものとは明らかに違うような細工がしてある。それは、先端部分が太い円錐状の、まるで戦隊モノの巨大ロボットが好んで使ってそうなドリルがついているのだ。

「どうやらあれで、あの浮遊兵器の一部を突き破って侵入するみたいだな」
「そのようだねぇ〜。ひゃっはっはッ、おもしろそ〜」

ボソリと言う天真の発言にゲイルは男の血が騒いだのか、うれしそうだ。

「シャトル……。飛行機……。……」
「どうしたでござる?緋睡殿。顔色が悪いようでござるが」
「いえ…。何でもございません……」

どうやらこのクィ―ンズにくるまでの辛い道のり……というか辛いフライトを思い出したようだ。顔色がやや蒼くなっている。
それに関してはプリムラもどうやら同じようで、黒オコジョモ―ドとなって逃げ出そうとしていたが翼に捕まえられ、その後ジタバタ。それから停止。どうやら逃げるのを諦めたようだ。

「では、お乗りください。操縦はわたしがします―――」
「いや。おれがやろう」
「えぇッッ!!?」
「ちょっっっ!!!」
「……!!!!!」

翼たちが来るまでずっとシャトルを見張り続けていた兵士がそう言うのだが、天真がそれを却下し、代わりに自分が操縦しようとかぬかしたので、翼たち(天真のフライトを味わっているもの)は悲鳴とも取れるほど声を荒げる。

「せせせせせせせせせせせ先輩ぃぃぃぃぃッッ!!!ここはあれですよッ!!プロに任せたほうが安全だと思うんですけど……」
「何を言っているのだ、翼。おれはプロ級の操縦士だぞ」
(説得力ないッッ!!)

もちろんそんなことを言葉として出せば血の雨が降ることになるので言わないが。
だが……、だが言わないと……。

「というわけで名も無き兵士よ。ここは1つおれに操縦をさせてくれないか。翼たちもそうして欲しいと言っているからな」
「誰もそんなこと言ってないってッ!!」
「ほら。翼が早くもうれしい叫びを上げているからおれが操縦させてもらう。……いいな」
「は……はい……」

最後の「いいな」の部分だけ、やたらと劇画チックになる天真の表情を見ておされてしまった名も無き兵士。

「さぁみなものッ!乗りたまえッ!」

その瞬間、翼と緋睡とプリムラのメンタル値が下がり、のちにシャトルに乗った全員が絶叫を上げるのは言うまでもない。


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