MAGIC18〜迫る危機〜
「―――ん、地震……かなぁ?」
翼はそう口から言葉をもらす。
道中城への帰り道、突然地響きとともに小さく地面が揺れ始めたのだ。
だが、その揺れも十数秒で治まる。
「へぇ〜。やっぱり別空間にあるクィ―ンズでも地震って起きるんだ」
「……うん。まぁね」
「ん?どうかした?ミント」
なぜ翼がそんな言葉をミントにかけたかというと、ミントが少し深刻そうな表情をしていたからだ。
先ほどまで……地震が起きる前まではなんともなかったのに、だ。
「な、なんでもないよ」
「うん。……なら、いいけど」
* * *
十時のティ―タイムが始まってすでに3時間が経過していた。つまりは現在の時刻は午後の1時だ。
10時のティ―タイムが始まってから2時間後の12時ごろに昼食を食べ、そして再びティ―タイムの続きをガルディオスとシャルロットはしていたのだ。
もっともそのころ、翼とミントは最後の戦いをしていたわけだが。
「―――嫌な地震だな、シャル」
「はい。そうですね」
さっきまでバカ話を延々としていた2人だが、地震が起きてからは急に深刻な表情に早変わりする。
そんなとき、
「お、王様ッ!!緊急の報告ですッ!!」
突然ガルディオスの部屋のドアがノックされる。
おそらく城の兵士だろう。かなり焦っているように思える。
「―――入っていいぞ」
そうガルディオスが部屋に入る許可をすると、ドアが大きな音を立てて開けられる。
入ってきた人は全身甲冑で身を覆った兵士だった。
「それでなんだ?緊急の報告は」
「はいッ!実は封印の1つが解けてしまったようですッ!!」
兵士の言葉を聞いて、やっぱりそうかとばかりのガルディオスとシャルロット。
「……わかった。下がっていいぞ。原因については後で聞かせてもらう」
「はい、わかりました」
兵士はそう言うと一礼してガルディオスの部屋から退室する。
とたん、一時的に部屋が静まり返る。
「……ソ―サリ―・クリスタルの数が絶対的に足りないのが原因だろうとワタシは思いますけど」
「ああ。オレもそう思ってた。―――こればかりは今のところどうしようもないな」
「そうですよね。封印の1つが解けたということは、残り2つ解けた時点で―――」
「―――最大のピンチになるってことだな」
そう言葉にして口から出すのはガルディオスにとっても嫌なことだと、シャルロットは悟ることができた。
いや、シャルロットでなくてもおそらく悟ることができるだろう。
なぜなら、ガルディオスは苦虫を噛み潰したような表情になっていたのだから。
「1つでも封印が解かれると、連鎖的に封印が解けるはずですから、おそらく……」
「ああ。おそらくこのままいけば夜には完全に解けちまうな。―――くそッ!時間は待ってくれねぇってかッ!!」
* * *
ここは城の中にある食堂。
城にいる人のほとんどはここに来て食事を取るわけだ。
それは翼たちも例外ではなかった。
「おうッ!我が親愛なる後輩とミントよッ!おまえたちも昼食を食べにきたのか?」
「ええ…まぁ、そんな感じです」
食堂に入って早々例の男勝りの先輩が翼とミントのもとへと歩み寄ってくる。
天真も昼食を食べようとついさっき来たところだった。
「あの…先輩も昼食を?」
「そのとおりだッ!!」
ズビシィッと大げさなリアクションとともに指を翼につきつける天真。
「ちなみに補足としては、巫女と斧と黒オコジョがいるぞ」
「巫女と斧と黒オコジョって……」
たぶん、巫女=緋睡、斧=トマホ―ク、黒オコジョ=プリムラなのだろう。
常人がこれを聞いたとき、何を言われているのかもはやわかるまい。天真が言った3つのものの共通点がゼロなのだから。
「―――そういえば、おまえたちは2人で何をやっていたのだ?」
「え、何をって……それは下手に言えないというか……」
「……………ほほ〜ぅ。なるほどな。後輩よ、おれはすべて謎が解けたぞ」
まるで某人気名探偵アニメか、「じっちゃんの名にかけて」謎を解き明かす名探偵チックな雰囲気を突然かもし出す天真。
だがそれは雰囲気だけということが翼にはわかる。
なぜなら、天真の口元がいやらしくニヤニヤとしていたからだ。
「ふふふ…。なるほどな。まさかおまえたち2人がそういう関係だったとは」
「……………は?」
嫌な予感……。
とっさに翼とミントはそう本能的に思った。
「いやはや親愛なる後輩よ。おまえがそんなに大胆かつ破廉恥かつ激しいやつだったとはな」
「ちょっと待って下さいよ、先輩ッ!!いったい何を思ってるんですかッ!!」
「何を思ってるか、だと?決まっているではないか。要するに後輩よ。おまえはミントを抱いた―――――」
「適当なこと言わないで下さいってええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!!!」
腹の底から、肺活量のすべてを使って全力で否定する翼。
ミントにいたっては顔を背けて熟れたトマトよりも赤くなっていた。
「安心しろ、翼よ。おまえの初めの相手がおれではなくて少し残念な気もするが、先輩であるおれは、おまえが大人の階段をどんどんどんどん上がってくれていてとてもうれしい限りだぞ」
「だから違いますってええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!!!」
翼の心からの叫びが食堂中に響くのだった。
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