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魔術師/BATTLE OF NIGHT
作:なかたく



MAGIC15〜ティ―タイムにて〜


 一方こちらは、午前十時ごろの魔来町の住宅地。
 平日ということもあって、仕事に出かけようとしている人や、仕事の最中で町中の駆けずり回っている人がいるかと思えば、小さな子供たちと一緒に町中を散歩している親子もいたりしていた。
 そんな住宅地に、どこにでもある普通の二階建ての家。白基調で、屋根にはソ―ラ―パネルが取り付けられている家だ。

「――クィ―ンズに侵入するのが、きつくなりましたね」
「ああ。王直属近衛隊隊長のミント・フェルトラントとその使い魔トマホ―クがクィ―ンズの防衛に入ってくることはある程度予測していたが……」

 その家の中のリビングで、二人の女性がリビングにあるソファ―に腰掛けてそんなことを話し合っていた。
 一人は金髪のショ―トヘア―の女性――リンダ。
 そしてもう一人は真紅の長い髪をポニ―テ―ルにしている女性――アクセル。

「……今日も行きますか?クィ―ンズに」
「ああ。あの国に大量のソ―サリ―・クリスタルがあるからな。あともう少しなんだ。必要なソ―サリ―・クリスタルの数がそろうのも、そして……」
「私たちの残された時間も、ですね?」

 リンダの言葉に、アクセルはそうだとばかりにコクリと首を縦に振る。

「――あれ?みんな起きてたんやぁ」

 そんなことをアクセルとリンダが話しているとき、リビングに一人の少女が入ってくる。
 パッと見十五歳ほどで京都弁、白磁のような肌の色。
 白磁のような肌は、どちらかというと美人の人の肌とは違い、やや病弱な印象を受ける。
 そして茶色がかった黒髪、黒い瞳をしており、服装はどうやら今先ほど起きてきたせいなのか青色メインのパジャマを着ており、松葉杖をついて立っていた。

「マスタ―。おはようございます」
「おはよ〜、アクセル。それにリンダも」

 少女にあいさつをされると、リンダも「はい、おはようございます」と丁寧にあいさつを返す。

「マスタ―、身体の具合は大丈夫なのですか?」
「うん、大丈夫や〜。そないに気にせんでええのに」

 柔らかな微笑を浮かべて少女は言う。
 その少女の言葉に、アクセルとリンダは少しつらい表情を浮かべるが、それはほんの一瞬だけ。
 少女に悟られることはなかった。

「あれ、ゲイルとヒエイとゴルヴォックは?」
「あの三人でしたら少しお出かけになりましたよ、紗代さよちゃん」

 少女――紗代の質問に、リンダは柔らかい口調でそう言うと、紗代は「そ〜なんや〜」とわかった様子。
 そしてそのあと続けて紗代は、

「――あ、そうや。今日もちょっと神社にいきたいんやけど…」
「神社?……あぁ、千葉神社ですね?」
「うん、そうや。朝ごはん食べて身支度済ませてからいこうと思ってるんやけど、みんなも悪いんやけど一緒についてきてくれへん?」
「はい。わかりました」

 申し訳なさそうに紗代が頼みごとを、アクセルたちは引き受けるのだった。


                    *     *     *


「――シャル〜。紅茶プリ―ズ」
「はいはい」

 こちらはクィ―ンズの国王であるガルディオスの部屋。
 ガルディオスは現在、十時のティ―タイムを始めようとしていた。
 そして、そのティ―タイムに付き合わないといけないのがたいていシャルことシャルロットである。
 昔からの友人ということが、その理由だろう。

「はい、どうぞ」
「サンキュゥ〜♪」

 シャルロットが入れてきた紅茶のティ―カップを片手に取ると、牛乳の一気飲みよろしくごくごくと飲み――

「――ゴホッ!ゲホッガハッ!……シャルッ!!紅茶熱いぞッ!!」
「普通紅茶は熱いものですよ。冷めた紅茶なんておいしくないじゃないですか。それに紅茶を一気飲みするバカを、ワタシは今さっきはじめて見ましたよ」
「……シャル。おめぇ、オレをバカにしてるのかぁ?」
「……ズズゥ――……」
「無視すんなってぇッ!!」

 ガルディオスのツッコミ。だがシャルロットは完全に無視。
 無視というよりかはむしろ、「もう慣れた」みたいな感じだ。

「……そんなことより、ガルディオス。君に尋ねたいことがあるんですけど」
「ん?なんだ」

 紅茶を少し飲んだあと、不意にシャルロットが真面目な表情になったので、ガルディオスも少し真面目な口調になる。

「……いつ、あれのことをいうつもりですか?」
「…………あぁ、あれのことか」

 シャルロットの言う「あれ」のものがわかったようなガルディオス。

「クィ―ンズのことも翼君たちに話したんですし、この際あれのことも言っておかないと……」
「まぁな……。そもそもクィ―ンズという国が別空間に存在するのも、あれが原因だからな。クィ―ンズの国がなくなっちまったら、間違いなくあれが復活する」
「だったらいうべきなんじゃないですか?」

 シャルロットがガルディオスを急かすように言う。

「だけどよ、シャル。言ったところで信じてくれると思うか?今では伝説となっているあれの存在を……」
「そ、それは……」

 そんなガルディオスの言葉に、シャルロットは言葉を詰まらせる。
 なぜなら、シャルロット自身もうすうすそう感じているからだ。

「だから、あれの存在のことはそのときになってから言おうと思っているんだよ、オレは。――もちろん、そうならないほうが一番良いのだがな」
「……」
「今は、あいつらにかけてみるのが一番だ。そしてオレたちは、あいつらを後ろでサポ―トする。この国を守るためにもな……」







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