MAGIC13-1〜Battle of night/Queens gate defensive battle〜
「斬り刻んでやるよ」
ゲイルはその一言を発した瞬間に槍を構え、そして天真の眼前から掻き消える。
「―――ッ!!」
いきなりだったので一瞬驚く天真だったが、それは本当に一瞬だけ。
すぐに冷静さを取り戻し、ゲイルがどこから襲ってくるのか神経を研ぎ澄まされた刃物の刃のように鋭くさせて気配を感じ取ろうとする。
ゲイルが天真の眼前から一瞬で掻き消えた理由は、天真にはわかっていた。
肉眼でも確認できないほど疾く動いたのではない。
ゲイルは、空間移動の短距離移動版を使用したのだ。
「……そこか」
天真は背後に殺気を感じ取ったので、すばやく振り返り、そして振り返りを利用して槍を大きく横殴りに振るう。
ゲイルは攻撃しようと振りかぶっていた槍をすぐさま防御にまわす。
そのとき、天真の槍がゲイルの槍の長い柄の部分に直撃し、甲高い金属音が鳴り響く。
「……く、……やるじゃ、ねぇか」
「伊達に裏の世界で生きていないからな」
天真は唸るゲイルに冷たくそう言い放つと、槍を振るうのにさらに力を入れゲイルを、ぶっ飛ばす。
と、その刹那――
「Appearanceッ!!」
天真は始動キ―を言って魔法陣を発動させる。
それを見てゲイルは――
「やるぜッ!!グラ―シ―ザ―ッ!!」
ゲイルは自分が構えている槍に魔力を込めると、足元に魔法陣が展開した。
(――ッ!!始動キ―なしだと!?まさか古西洋魔術の使い手かッ!!)
天真にはそうとしか考えられなかった。
他に始動キ―を必要としない魔術として東洋魔術があるが、とても天真にはゲイルが東洋魔術の使い手には見えなかった。
「The wind, become the arrow which penetrates the enemy――」
「A lmina e a converso que o vento forte, cortou o inimigo e o rasgou――」
どうやらゲイルは天真と魔術で打ち合う気のようだ。
そして、互いに魔術詠唱を言い終えると、一気に魔術を互いに発動させる。
「――Sonic arrowッ!!」
「――Vibrao de lmina do ventoッ!!」
天真は槍の先端をゲイルに向け、そして先端に風をまとわせ、凝縮させる。
一方ゲイルは、槍を中段に構え、横殴りに振るう姿勢をとって槍の刃付近に風をまとわせ、そして凝縮させる。
そして、天真は一気に――
「撃てええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
放つ。
槍の先端から光線のように風がゲイルに向かって放たれる。
そしてゲイルもそれとほぼ同時に――
「裂けええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
槍を振るう。
すると、普通に魔力をまとわせて放つのとは違う。それ以上の威力を持つかと思われる風の斬撃が天真に向かって飛ぶ。
それも、ただの一度振るっただけなのに、無数の斬撃がだ。
しかし、天真の攻撃もゲイルの攻撃も互いに真正面から直撃すると、しばらく押し合いになるのだが、最終的に互いの攻撃は互いの攻撃によって相殺される。
相殺されるのがわかると、天真とゲイルの両者は互いに真っ向から立ち向かうべく、体当たりするかの勢いで互いに接近する。
互いに得物である槍を、天真は中段に構え横殴りに、ゲイルは大きく振りかぶって、そして一気に互いに槍を振るう。
鋭い金属音が響き、互いに剣の鍔迫り合いのようになる。
「おまえのさっきの魔術……古西洋魔術だろ」
「ああ……そのとおりだ」
互いに退くまいと力の押し合いをする。
ギチギチと刃と刃の交差部分が唸りをあげ、そして同様に槍の持ち主たちも唸りながら会話を交わす。
一時、そのような硬直状態が続く。
だが、その硬直状態を破るべく、ゲイルから力の押し合いを止める。
すると、ずっと力を押し続けていた天真は、突然ゲイルが力の押し合いを止めたことで大きく体勢が崩れる。
天真は勢い余ってゲイルの底を反動余って逸れ、ゲイルに背後を見せる結果となる。
「もらったああぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
当然ながらそんなチャンスを黙って見過ごすわけはない。
ゲイルは天真の背を槍の刃部分ではなく、長い柄の部分で叩きつける。
「……かっ…は……」
乾いた声を出して、天真は街道に叩きつけられる。
肺が圧迫され、一時的にむせ込むように乾いた咳をする天真。
天真の身体は、全身に血液の代わりに鉛が流れているかのような錯覚に陥るほど重くなっていた。
身体が悲鳴を上げているせいだ。
「――A bala do vento, vem」
そんな天真を虚空移動で浮いているゲイルは、天真を見下ろしながら次の攻撃に移ろうとして、魔法陣を展開させたところに、無数の緑の弾を発生させる。
その緑の弾は、間違いなく初めに襲ってきたものだった。
そして――
「――tiro」
次の瞬間、天真に向かって無数の風の弾が飛んでいった……。 |