MAGIC12-4〜対峙〜
ヒエイとゲイルが敵の場所まで一直線で虚空移動で駆けていくのを呆然と見るリンダ。
それも仕方ないだろう。いきなり『強行突破だッ!!』とか言って2人が行ってしまったのだから……。
やれやれとでも言いたそうな感じのリンダ。
「全く、もう少しまともなやり方を見つけられないんでしょうか、あの二人」
呆れながらモノを言うリンダ。
そして、呆れながらも自分のやらなければならないことをしようとする。
「それでは……やりましょうか、サンクリリィ」
リンダは自分の首からぶら下げている首飾り――サンクリリィにそう言うと、リンダはその首飾りに魔力を込める。
すると、リンダの足元に魔法陣が展開した。
「念のため、この辺りまで結界を張りますか。――Um outro limite juntando spatial」
次の瞬間、リンダを中心としてフランシア全域に空間結界を張る。
それも、トマホ―クがこの前翼たちとの戦いに使用した結界と同じものだ。
もといた空間と完全に結界内は遮断される。
* * *
当然ながら翼は異変に気づく。
「結界!?誰か結界でも張ったの?」
翼は他の人たちにそう尋ねるが、誰一人頷くものはいない。
その代わりに首を横に振る返事が返ってくる。
「どうやら……おれたちに戦いを挑もうってやつがいるようだな」
天真は召喚法で槍を取り出す。
それにつられるように、翼と緋睡、それにミントもトマホ―クを武器化させてそれを構える。
トマホ―クはバトルアックスに武器化すると、すぐさま武器変化の呪文を唱え、大剣――クレイモアへと変化させる。
緊迫した空気が結界内を包み込む……。
そして――
「……!!来ますッ!!」
緋睡はそう言いながら一点の方向を見据えている。
何なのか一瞬わからなかったが、その方向をじっと見てみると、緑色の弾が弾丸の勢いで飛んで来ていた。
弾の数は全部で四つ。
翼たちはもといた場所から即座に離れると、その弾はまるで意思を持っているかのように翼たちが逃げた方向へと進路を変えて飛んでくる。
どうやら追尾性があるらしく、弾を消すまで永延と追っかけられるようだ。
各自各々、とりあえず固まって動くのをやめ、四方八方に散らばる。
すると、その動きに合わせて緑色の弾も計四つあるのだが、一人につき一つの割合で弾丸のごとく飛んでいく。
「……ちッ、しつこいぞッ!!」
天真は逃げながら忌々しくその弾に向かってそんな言葉を吐き捨てる。
天真が右に動けば右に、左に動けば左に動く緑の弾。
多少大雑把な動きを弾はしているのだが、それでも追尾性能はなかなか上等なものだ。
そして、ある程度空を駆け回ると苛々しだしたのか天真は急に逃げ回るのを止めて、弾と真正面から対峙する。
「スト―カ―行為は犯罪だぞ」
そう言うと天真は槍の先端に魔力を込め、そして一気に――
「――真空衝撃波ッ!!」
横殴りに一文字に振るう。
すると、先端に込めていた魔力が斬撃の衝撃波となって緑色の弾を真っ二つに両断する。
両断された弾は、その一瞬秒後には雲散霧消して跡形もなくなっていた。
ほっと一息したい……ところだが、状況はどうやら天真をだれさせてはくれないようだ。
「……誰だ」
天真は真正面……ではなく、自分から少し離れた場所の後ろにいる人物に、振り返りもせずそう言う。
「俺様か?俺様はゲイル。ちなみに趣味は女性にナンパすることだぜ」
「……神藤天真だ。他人の趣味にあれこれ言う気は普段はないのだが、悪趣味だぞ」
「ひゃはは……。そいつはどうも」
天真はゆっくりと振り返る。
すると目の前には緑色の髪の青年――ゲイルとかいう人が一人いた。
片手には天真同様槍を持っており、だが構えてはいなかった。
「単刀直入に聞く。クィ―ンズからソ―サリ―・クリスタルを盗んだやつの一人か?」
「ご名答。――そんじゃあ次は俺様が君にしつも〜ん。バスト・ウエスト・ヒップのサイズは?」
「……ふざける暇があるなんて、ずいぶんと余裕だな」
軽い口調でふざけたことを言うゲイルに、天真は冷たくそう言い放つ。
するとそんな天真の発言に向かって、ゲイルは――
「余裕だからな」
一瞬、ほんの一瞬だけ氷のような冷酷な表情をしてそう言った。――が、再びもとの軽い口調に戻る。
「さて、そんなことはおいといて本題のしつも〜ん。君はクィ―ンズの国王に雇われた人間か?」
「まぁな。ちなみに言うと、おれだけじゃなくて翼や緋睡、それとここにはいないがプリムラってやつもそうだな」
律儀に嘘偽りなく言う天真。
そんな天真の回答に満足したかのように「そうかい、そうかい」と頷く。
「……それで、またソ―サリ―・クリスタルを奪う気でここに来たのか?」
「そりゃそうに決まってるでしょ〜よ。そうでなきゃ、こんな遠いところまでやってこないっつ―の。君たちは、そんな俺様たちを妨害するんだよなぁ」
俺様たち。
そんな言葉から、天真は敵がこいつ一人でないことがすぐにわかった。
そして、そんなゲイルの言葉に天真は短く簡潔に「ああ」と答える。
「そうかい。……じゃ、しゃ〜ねぇなぁ〜」
ゲイルはゆっくりと片手に持っていた槍を両手で構える。
そして、背筋が凍てつくような声色と口調でこう言った。
「斬り刻んでやるよ」
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