MAGIC7-5〜Battle of night/Tsubasa & Primula VS Luke & Hisui〜
翼はル―クとの会話の際、刀身を下げていた剣を再び構える。
「ふ〜ん。『ナイトソ―ド』か…」
ひとり言で、ル―クはそう静かに呟いた。
1メートル弱ほどの全長、そして飾り気がないシンプルな刀身。その刀身は、白銀色に輝く月の明かりに照らされ鈍く照らされ、輝く。
「それじゃあ――」
次の瞬間、翼は一気に足を踏み込ませ、ル―クの背後にすばやく回る。
「先手必勝ッ!!」
瞬時に背後に回った翼は、ル―クに向かって大きく刀身を振り下ろそうとする。
しかし、操られている緋睡が、その気配にいち早く気づき矢を一発翼に射る。だが、振り下ろす瞬間それに気づいたので翼は一度大きくバックステップをしてル―クと緋睡から距離を離す。
ならばとばかり、翼はアイコンタクトでプリムラに魔術詠唱をするように指示を出すと、プリムラはすぐに詠唱を始める。
「――The ground which is the mother of all creatures.――」
「――!!」
「よそ見すると痛い目みるぞッ!!」
ル―クが詠唱に気づいて阻止しようとするが、翼がそれを許さない。
ル―クの意識を自分に向けようと剣を横一文字にル―クに向かって振るう。――が、その攻撃は紙一重のところでかわされる。
だが、翼自身それでも別にかまわなかった。本命はプリムラの西洋魔術なのだから――
「――.Finish eating a stupid thing lying down in the ground.――」
「緋睡ちゃんッ!」
ル―クの言葉に緋睡は反応し、プリムラ目掛けて矢を射る準備に取り掛かる。
それに翼が気づいたときにはすでに標準を合わせ終わっているところだった。
どう急いでも距離が離れすぎていたので近づいて止めるということはできない。
ル―クに始め使った方法を使ったとしてもナイトソ―ドの攻撃範囲内に緋睡を入れることはできない。
なにより、緋睡は翼の妹。下手に怪我をさせるのはまずい。
やがて、緋睡から矢が放たれ、プリムラ目掛けて矢が音速の速さで飛んでいく。
しかし、
「空烈斬ッ!!」
とっさに翼は剣を一度鞘に収め、そして一気に抜き払って衝撃波を発生させる。
そしてその衝撃波は、プリムラに飛んで行こうとしていた矢を打ち落とす。
「――Ground roaringッ」
打ち落としたのと同時に、プリムラの魔術詠唱が終わり、魔術が発動する。
すると突然地響きが起こり、足場が敵味方問わず悪くなる。とてもじゃないが、うまく動くことはできない。
しばらく地響きが続くと、今度はル―クの足元に亀裂が生じる。
「なッ――」
その場から離れようとするル―クだが、すでに遅かった。
その足元の亀裂から大小さまざまな石が、まるで火山が噴火して溶岩が出てくるように吹き荒れる。
それはさしずめ大地のアッパ―のよう。
「ぐああぁぁぁぁぁぁ――――――――――ッ!!!」
とてもじゃないがすべてを防御できる魔術ではなかった。
ル―クは石つぶての餌食となり、そして宙に身体を浮かされる。月明かりで銀色にも見えなくもなかった白メインの服装は、たちまちボロ雑巾のよう――とまではいわないが、それでも粗暴に扱われた新品の雑巾のようにはなっていた。
そこをすかさず、翼が狙う。
今の翼の目は、さしずめ大物を銃の標準に合わせることができたハンタ―のような鋭い眼光を放っていた。
「――闘気旋ッ!!」
翼は剣を下段に構えると、宙に浮き上がったル―クに一度体当たりをかまし、そして一気に剣の背を横一文字に振り、ル―クを打っ飛ばした。
打っ飛ばす瞬間、アルシオンのときにした体術のように剣にまとわせていた魔力………の代わりに今回は気を、ル―クの身体の中に直接叩き込む。
ル―クは『物理結界』で発生している壁に激突し、血反吐を少し吐く。
直接身体の中に叩き込まれたのが、そうとう効いているようだ。
「…………ッ」
「さぁ、緋睡を解放してもらうよ」
目付きを鋭くさせ、声のト―ンを通常のときよりワンランク下げて翼はル―クに歩み寄り、見下してそう言う。
「……どうやら、今回は君たちの勝ちのようだ…………」
ル―クは指を乾いた弾ける音で鳴らすと、緋睡は突然、立っていたその場に倒れこむ。
「ちゃんと解放したよ。まぁしばらく眠ったままだろうけどね、安心しなよ。明日は土曜日だ。彼女を好きなだけ休ませるといい」
ル―クはよろりと立ち上がり、『物理結界』を――
「Rise」
突然魔法陣を展開させる。
翼はとっさに身構えるが――
「今日のところはもう戦わないよ。じゃあねぇ♪――Spatial movement」
そう言うとル―クは、突然その場から消える。『空間移動』と呼ばれるものだ。
「――終わった」
ほっと胸を撫で下ろす翼だが――
「ツ、ツバサ君!?」
「へ……?」
自分の名前を呼ばれて神社の出入り口のほうに振り向く翼。
そこには、ビックリしている表情を浮かべている友人が一人。
その人の名は――
「り、凛子……」
千葉凛子。
そのときたしかに、翼たちがいる場所の時間が止まったようになるのだった。 |