MAGIC2-1〜目覚めの気分は…〜
朝日――それは目覚めのとき。
だがそれに逆らって目覚めようとしない少年が一人。
ピピピピピ――
十二畳ほどある部屋で、目覚まし時計が鳴り響く。床は木でできており、某猫型ロボットが引き出しから出てきそうな勉強机……と思われる上には山積みにされた漫画の本。そして机の下にはたくさんの教科書や参考書。普通逆でないといけないのだろうが、受験戦争で戦っている人たちを除けば、七割ほどがこれと同じ惨状だろう。
そしてその勉強机の隣にラックが置いてあり、その上に小型のテレビが置かれていた。そしてそのテレビから、にょろにょろっとテレビゲ―ムの配線が出てきている。しかも絡まって。その惨状と同じように床に転がっているゲ―ムのコントロ―ラ―も絡まっていた。おそらく片付けるのが面倒臭くなってほっといたら、いつの間にかこんなになってましたっと言う感じだろう。
そして、勉強机とは真逆の位置にベッドが一つ、そしてベッドの隣には目覚まし時計が置かれている小さな机が設置されている。
そして、その小さな机に置かれている目覚まし時計が、さきほどから部屋中に響いていた。
「うぅ〜……」
もぞもぞと動いて手だけ目覚まし時計に伸ばし、音を切る。
……が、五分後。
ピピピピピ――
再び鳴り始める目覚まし時計。
「………うるさい」
ベッドで寝ている人は、一度目覚まし時計を手で掴むとそのまま勉強机めがけて容赦なしで投げつける。
ガシャァンといかにも何か壊れましたという感じの音を出して、例にもれず目覚まし時計は壊れてしまった。勉強机には痛々しいくらいの凹みが発生。これから学生の間、この机を永遠と使わなければならないのに全く大切に扱おうとしないベッドで寝ている人。
その凹みを気にすることなく再び寝付くその人。なぜこの人はこんなにゆっくりできるのか。その理由は今日が日曜日だからだ。部活があるんじゃないかと聞かれてもこの寝ている人には関係ない。なぜなら無所属。あえて部活動として言うなら帰宅部だ。
そのため、休日の日はこのような平和な時間を楽しめるのだ。
そして、2度寝しようとしたとき、ガラリと部屋の引き戸が開かれる。
「兄上、そろそろお目覚め下さい」
と、開いて早々そんな女性の声が聞こえた。
腰の位置までとどくやや紅味がかった黒髪を赤いリボンで一つにまとめ束ねて、体格は至って華奢で、巫女服を着ている。……巫女なのだろうか?身長は157センチほどで、なぜか冷めた目をしている少女。先ほどこの少女が現在寝ている人を『兄上』と呼ぶところから考えると、寝ている人の性別は男で、しかもこの少女の兄。そしてこの少女はそんな男の妹ということになる。
「……兄上、いい加減起きてください」
しびれを切らしたのか少女は部屋にツカツカと入り込み、男の近くまで近寄ると懐から札を取り出し、男の耳元まで札を運ぶ。そして――
「泥水よ、降れ」
ザアアアアアァァァァァァァァァァ――
どしゃぶりの雨が降るように、札からたくさんの水が発生する。しかも泥水という辺りが、この少女の実に嫌味なところだ。
寝耳に水……どころではなく、顔に水。いや、顔に泥水状態のその男は一瞬で目を覚ます。
「ゴホ……ゲホッ!!」
「お目覚めですか?」
「うん。もうすごすぎるほどに」
「爽やかな朝ですね」
「僕はそうは思えないよ、緋睡」
目覚め最悪の少年は少女、緋睡に負けないくらいの冷めた目で実の妹を見る。
「……何か機嫌が悪いようですね、兄上」
「いや、おまえのせいだろ」
「――?わたくしめには全く覚えがないのでございますが……」
――ああ、この妹は本気で言っているようだ。
「……もういいよ。着替えるから部屋を出て、緋睡」
「わかりました」
そう言うと緋睡は少年の部屋から退室する。
「……最悪」
爽やかな目覚めが一瞬にして崩壊した少年は、今の気持ちをストレ―トに口にした。
少年の名前は『真道 翼』。高校二年、十六歳。
さらっとした黒髪を肩まで伸ばし、顔は童顔でやや女性のような顔立ち。身長は170センチにギリギリ届かない168センチほど。
七夕で青年は願うとすれば、『身長を170センチに伸ばしたい』だ。
性格は温和でやや真面目。部屋の状態や生活状況を見て信じられないと思うが、いざというときに真面目になるような人だ。それ以外はボケ〜、のほほんと言った感じだ。
「とりあえず着替えないと……」
少年はそう言うとまずは着替え始めた。
――ああ、ベッドも干さないといけないな。
そう思いながら―― |