ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  彼女の秘密2 作者:Mu
 
 前作『彼女の秘密』に、
「もう少し長く読みたかった」「続編があれば読んでみたい」
 などという、作者感涙のコメントをいただいて、感激して書いてみました。
 前作同様よろこんでいただけるか、もう、ドキドキです。
1ーきっと素敵な日になる!ー
 駅の改札前に、彼女はすっと立っていた。
 まるで、まわりの景色から浮き上がっているみたいに、その姿が輝いて見えた。

 彼女の着ている膝上丈の薄い水色のワンピースは、少し大きめのボタンが上から下まで綺麗に並んでいた。
 夏用のデザインなのか、胸元が大胆にカットされている。
 それを隠すように彼女は、白いサマーセーターを羽織り、太陽の光を避けるための少し幅広の帽子を被っていた。
 やって来た僕に気づいて、彼女が笑顔で小さく手を振った。
 わあ! その笑顔がすごくかわいい。
「お、おはよう」
 しまった! もう昼過ぎなのに、なんでこんな挨拶をしてるんだろう?
「あ、うん。おはよう?」
 彼女が首を傾げ、笑いながら返してくれる。
 うー、しあわせ。
 今日は、きっと素敵な日になる!
 僕はそう確信した。

 夏休みに入って、彼女とクラブ以外で会う初めての日。
 初めてのふたりだけのデート。
 朝から僕はわくわくしていた。

 あの日、一学期の最後の日。
 彼女は僕に秘密を打ち明け、僕はそんな彼女をもっと好きになった。僕らは恋人になったんだ。
 それから一週間。
 いろいろと忙しくて、ふたりっきりになることも、一緒に帰ることもできなかったけれど、ようやく、この日がやってきた。
 そう思うと、なんだか緊張してくる。
「どうしたの?」
 彼女がそんな僕を見つめて訝しそうに訊いた。
「あ、ううん。なんでもないよ」
「そう?」
「うん。じゃあ、行こうか?」
 僕らは改札に向かって歩き出した。

 電車に乗って10駅以上。
 僕らの住む町からけっこう遠い都会に出ないと、今日の目的地の映画館はない。
 改札を抜けてホームに上がると都合よく電車が滑り込んできた。
 ラッキー。今日は幸先がいいぞ。
「これ、乗ろう!」
「うん」
 電車の起こす風に飛ばされないように彼女が帽子を押さえながら笑顔で肯いた。
 う〜ん。かわいいなあ。ドキドキしてくる。

 乗り込んだ電車は、昼だけど適度に込んでいた。やっぱり都会行きだけのことはある。
 ふたり並んで座れそうにないな。
 僕は座席の端の空いている場所に彼女を促した。
「え? いいよ。立ってる」
「でも、けっこう時間掛かるから、座ってなよ」
「そう?」
「うん」
 彼女は、じゃあ、といって座席に腰掛けると、帽子を取ってちょこんと膝に乗せた。
 それから顔をあげて、僕を見上げると楽しそうに笑う。
 その笑顔が、めちゃくちゃ、かわいい。
 うー、俺、大丈夫かな? 
 最初からこんなにドキドキしてたら、今日死ぬんじゃないだろうか?
 そんなおバカなことまで考えてしまう。
 それから、ふたり、お昼御飯はなにを食べてきただとか、今日は、なんの映画を見たいとか(シネマコンプレックスだから、行ってから見たい映画を選べるんだ)、映画を観終わったら、どこに行きたいだとか、そんな今日の予定を話した。
 屈託なく笑う彼女の笑顔が本当にすてきだ。

 そのうち電車は走る方向が変わったのか、彼女の後ろの窓から夏の光が降り注ぐようになった。彼女が眩しそうに窓を見上げた。
「下げようか?」
「うん」
 僕は、ちょっと窓の方に身を乗り出すと、ブラインドに手を伸ばして、それを下まで降ろした。
 その時、ちょうど彼女を上から見下ろすような格好になった。
 彼女の綺麗な髪が肩から胸に掛かっている。
 白いサマーセーターの間からワンピースの大胆に開いた胸元が覗いて、その奥に……
 白い肌の綺麗な膨らみが、そのまま見えていた。
 瞬間、ドクンと心臓が鳴った。
 あ……? う、うわぁー! 
 彼女、ブラを付けてないんだ! ここからだと、丸見えだよ!
 奧にはチラチラとピンク色の部分も覗いていた。
 僕の心臓が、ドクドクと音を叩きだした。
 あれ? でも、だって……
 彼女、学校ではちゃんとブラしてたよな?
 僕は、彼女の夏服に透けるブラの線を思い出して、それはそれでドキドキが増していく。
 まして、今、目の下に、彼女の裸の胸がちらちらと覗いているんだ。
 ブラインドを下ろした変な体勢のまま、やばいと思っても、彼女の胸から目を離すことが出来なかった。
 心臓が早鐘のように拍っている。

「あれ?どうしたの?」
 彼女が上目づかいに僕を振り返った。
 うわあ! 慌てて、彼女の目と胸を交互に見つめてしまった。
「あっ……」
 彼女が僕の見ているものに気づいて、いきなり頬を染めた。
 僕は、ようやく顔を逸らした。これ以上見ていたら、心臓が爆発しそうだ。
 体制を立て直して吊革につかまった。
 恐る恐る彼女の方を振り返る。彼女は俯いていた。
 膝の上で帽子を持つ手が、なんだか震えて見えた。
 それから、彼女が顔をあげた。頬が綺麗にピンクに染まっている。
 彼女は僕を見上げ、恥ずかしそうに微笑んだ。
「あは、あははは……」
 お互い、間の抜けた笑い声を出して、それから、俯いてしまった。
 なぜだろう? なんだか、こっちまで、すごく恥ずかしい。

 目的の駅に着くまで、彼女の方をまともに見ることが出来なかった。
 今は見えないけれど、少し彼女に近づけば、座った彼女の胸元から、彼女の生の胸が見えてしまう。
 ちょっと電車が揺れたりしたら、どうすりゃいいんだ?
 だから、出来るだけ窓の外を見つめていた。
 彼女は時々顔をあげたようだけど、恥ずかしかったのか、ほとんど俯いていたようだった。


 駅に着いて改札を出た。映画館まで少し歩かないといけない。
 なんだか最初の勢いを無くして、僕らは少しもじもじしていた。
 ダメだな。彼女の秘密は知ってるのに、こんなに動揺するなんて。
「あ、あの……」
「え?」
 彼女が恐る恐る言った。
「手を、つないでくれる?」
「あー」
 僕は彼女のその言葉に救われた思いだった。
「うん。いいよ」
 そういって彼女が控えめにさし出した手を取った。
 柔らかい感触。それだけで、また胸がドキドキしてくる。

 手をつないで一緒に歩き出したら、初めてわかった。
 傍らを歩く彼女の胸元は電車の中でよりも、はるかに近くにあって、もっとはっきり見えるもんなんだ。
 歩くたびに揺れるその胸が気になって、眼のやり場に困る。
 でも、どうしても、ちらちらと見てしまう。
 いったい、どうすりゃいいんだよ!
「えっと、あのさ……」
「う、うん?」
「その……その、む……胸、だけど……」
「あ、あぁ……そう、そうなの。えっと……」
 彼女もうわずった声で答えた。彼女がつないだ手に力を込めたことがわかった。
 僕は思わず振り返る。でも彼女は僕を見ないで言った。
「初めての、デ、デートだから、その、思い切って……」
 お、思い切って? なに?
「つけないで来ようと思って……」
 彼女の頬が真っ赤になっている。

 僕は思った。
 初めてのデートだから、つけないって? 
 ……い、いや、少しは想像してたけど、でも……やっぱり動揺してしまう。
 だって、勝負下着って言うのは聞いたことがあるけど、これって、やっぱり、普通じゃないよなあ?
 ていうか、なんていうか……
 あれ? 
 ということは、下も、やっぱり?

 恥ずかしくて、それはとても訊けそうになかった。
 
 
春エロス参加作品はコチラ春エロス2008


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。