第6話 遭遇
水の中を必死に泳ぐデルタとエネ。ようやく、例の水路の入口に辿り着く。
「……ガハッ……」
シギが耐え切れずに息を吐いてしまう。
「――!」
デルタは一気にムチを力強く持ち、水路を泳ぐ。人間もポケモンもきっと溺死というのがある。
とにかく急がなければ……そんな気持ちで精一杯である。
(――!光……)
水路の行き止まりに光が見える。ゴールはすぐそこだった。
(よし、行くぞ……)
足と手が動く。されど、前へは進まない。もがいているようだった。エネはデルタの異変に気付く。きっと、体力の使いすぎだろう。
(捕まって!)
エネが尻尾を出す。デルタは必死に腕に力を入れて、エネの尻尾を掴んだ。
数十秒後、エネはデルタ、シギを連れて水の上に顔を出す。
「……!」
松明が燃えている。そのおかげか、空間は明るい。
いや、それ以前に穴がある。洞窟だろう。
「少し休んだら、出発だ」
「うん」
「えぇ」
シギとエネは疲れながらも首を縦に振った。
その頃、シーンとオーダイルは湿った岩場の入口にいた。
「急ごう!」
「分かっている」
密かな足音と大きな足音。
ダンジョンのポケモンは何故か分からないが、シーンとオーダイルには襲い掛からない。体が危機を伝えているのだ。
「しかし、アーマルドはどこに?」
「アイツは誰にも見つからない場所に住み込む癖がある。例えば……隠された洞窟とかな」
シーンとオーダイルがアーマルドの情報を交換する中、トリプルズは探索を開始した。
中にはポケモンが住み着いている。
「シギ!」
「うん、つるのムチ!!」
緑のムチがトリトドンを叩きつける。トリトドンは目を回してしまった。
「急ぐぞ」
「えぇ」
「うん」
数々のポケモンを退けるトリプルズ。そして、あっさりと……洞窟の奥底に辿り着く。
水滴が落ち行く音が洞窟の全てを包む。そこへやってきた3人を威嚇しようとする影……そう、アーマルドがいた。
「グオオオオォォォォッッ!!!」
気高い雄叫びが洞窟の全てを包む。突然の事に3人も驚きを隠す事が出来ない。
「貴様等は何者だ!?ココは……オレの縄張りだ!」
怒り狂うアーマルド。しかし、デルタが冷静に反応した。
「俺達は落とし物を探しているんだ!アンタは誰なんだ?教えてくれ」
アーマルドもさしもの冷静さに驚き、姿を現す。すると、その眼前には水タイプのポケモンはいない。まさか、自力で来たというのか……アーマルドは息を飲む。
「アンタは?」
「オレはアーマルド。お前達は探検隊か?」
「あぁ。新米だがな」
アーマルドはいくつもの考えが出ている。少なくとも、コイツらは自分の事を知らない。だから、その落とし物についてうまく流せればいい。
しかし、それは簡単でもあり、難しさもある。あのリオルは他の2人と違い、今も平静を保っている。かなりの精神力の持ち主なのは嫌でも分かる。さらに、嘘をつくのがヘタだから中途半端は言えない。どうすればいいのだろう……。
アーマルドに釘を刺す一言を偶然、エネは放ってしまう。それはまるでトリプルズの命運を分ける一言であった。
「アナタは大悪党、アーマルドなの?」
「は?」
アーマルドは顔はうまく誤魔化せた。しかし、自分の正体がばれそうである。どう動くか……息をうっかり飲んでしまった。
「構えろ」
デルタが言った。エネが構えるとシギも構える。
アーマルドは仕方ない、そういう面持ちで構える。
「ばれたなら仕方がないな。生きて返すワケにはいかん!」
「最後に聞いておく」
「遺言か?」
「炎のオーブを知らないか?」
炎のオーブ?まさか……と偶然拾ったお宝を出す。炎とは赤き物を象徴する。
当たりだった。
「合ってるな……」
デルタが言うと、アーマルドが一気に距離を詰めた。そして、こう言う。
「死ね」
アーマルドの強靱な爪が鋼色に変わり、
「ブレイククロー」
刹那、洞窟では土煙が起こる。しかし、その衝撃音は地上の岩場までは到達しなかった。
その頃、シーンとオーダイルは岩場の奥底に来ていた。やけに時間がかかった理由は簡単だ。シーンの方向音痴のせいである。
「アーマルドとデルタ達は……」
「早く見つけないと、接触するかもしれない!」
この時、ちょうどデルタとアーマルドが対面していた。ポチャンという音と共に1つの不思議玉が岩場の水場に浮き上がってくる。
シーンとオーダイルはすぐに寄る。
「この水……。オーダイル、ちょっと顔浸けてくれ」
「分かった」
オーダイルが水に顔を浸けるとあの水路を見つけた。
そして、浮かんだ線。いや、確信だった。
「アーマルドとトリプルズはこの中だ!」
「マジか!?」
「あぁ、急ぐぞ!!」
泳げないシーンはオーダイルに掴まる。元々シーンはヒノアラシ。炎タイプは水が苦手なのだ。
特に海水浴やプールなんかは。
「よし、いくぞ!」
オーダイルは思い切りダイブして、水路を越え、あの洞窟の入口に辿り着く。
「岩場の洞窟……と呼ぶべきだな」
「とにかく、急ごう!」
シーンとオーダイルも奥底へ急ぐ。
果たして、トリプルズが倒れるのが先か、シーンが辿り着くのが先か?
大きな駆け引きが始まった……!
アーマルド
「オレはアーマルドだ!」
ま、脇役だけど。
アーマルド
「それを言うなァァァ!!!」
次回はトリプルズとアーマルドの激突!
星5つ級の大悪党を倒し、炎のオーブを取り戻せるのか!?
アーマルド
「言っとくが盗んでない。落とし物を拾っただけだからな!」
自己主張はいいからねー。
アーマルド
「白状者(泣)」
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