第58話 デルタVSレッカ!
会うはずなんて普通、まず出来ない。
話すなんてそれこそ不可能だ。
でも、そんな不可能が今、現実に僕の目の前で可能となった。
伝説の2人、レッカとナエトル。
遂に出会う事が――話す事が出来た――。
海岸でデルタは言い放った。
「俺はデルタ。俺達は未来から来たんだよ」
「未来から……か。あながち嘘じゃなさそうだな」
レッカがナエトルに問いた。
「うん、まぁ現にレッカだって未来から来たもんな、元は」
「あぁ」
デルタ達はその事実に驚く事は決して無い。とっくに知っているからだ。
「じゃ、改めて自己紹介するか。俺はレッカ。この時代のフレリーズのリーダーだ。宜しくな」
「ボクはナエトル。レッカとはずっとコンビを組んでるパートナーさ。まぁ、宜しくね」
フレリーズの2人が紹介し終えたから、続いてはデルタ達の番だ。
「私はエネ。このトリプルズの……そうね、司令塔みたいな役割を果たしてるわ。宜しく」
「僕はシギ。デルタの一番のパートナー……みたいな感じかな?まぁ、親友って事で。宜しくお願いします」
そして、デルタが自己紹介を始めた。言うまでも無く、大波乱になるのは間違いないだろう。宣言しておく。
「俺はデルタ。トリプルズのリーダーをしてる。あと、俺は元人間なんだ……レッカ、あんたと同じように」
「――!!?」
この一言に当然レッカは食い付く。ナエトルも同様だった。
「デルタ、記憶は?」
「殆ど(ほとんど)無い。覚えてたのは自分の名前と人間だったって事だ」
「………」
レッカはそれを聞くと黙り込んだ。すると、ナエトルが割って入る。
「デルタ、そっちの時代で何か奇妙な事は無いかい?」
ナエトルらしい質問だった。
現にレッカ達の時代で時が狂いだし、最終的には星の停止、と呼ばれる世界規模の騒動にまで発展した。
デルタの異変も何らかの関連があるのだと、ナエトルは踏んだのだろう。
「異変か……」
「あるにはあるわね」
エネが切り出した。アーマルドとグロス、この2つの関係を軽く話した。
「それでポケモンになったとは言い難い(いいがたい)しな……何かもっとない?」
「………………」
「………………」
シギ、エネと黙り込む中、デルタが1人解答を述べた。
「プレート」
「えっ?」
「プレートだ。異変とまではいかないが、プレートが妙な感じがする」
デルタはあの日見た雷プレートの事を述べていた。
「でもさ、妙だけなら他のお宝だって」
シギの意見をデルタは真っ向から否定した。否定した、というより少しだけだが具体的に説明した。
「違うんだ!アレだけはやけに妙で……」
「……まぁ、いずれ紐解かれるよね。その謎も」
そんな雰囲気を思い切りぶち壊すようにレッカが雄叫びをあげるようにデルタに言った。
「デルタ!お前は絶対に強い!ちょっと相手してくれ!!」
「は!!?」
不意打ちとも言える言葉にデルタ以外の面々も驚きを隠せない。
「デルタ、やりなよ!」
「は!?」
デルタを後押ししたのはシギだった。彼はこう言い続ける。
「伝説の戦士、って言われてる位の実力者だよ?やらなきゃ損だよ!」
「確かにそうね」
エネも首をウンウン、と縦に振った。
「コレを逃せば勝負なんて出来なくなるも同然よ。記念に一回やったら?」
エネにも押され、決心が着いたのかデルタはレッカから少し距離を置いて構える。
レッカもデルタを見て構えるとこう言った。
「じゃ、始めるか!」
刹那、レッカの動きが消えたように見えた。レッカの実力はデルタの想像を遥かに超えているようだ。ならば、アレを使うしかない。
「いくぞ、メガパワー・スピードタイプ!!」
その瞬間からデルタの目にレッカの姿が移る。スピードなら互角にまでなったようだ。
デルタの体の周りを包む青いオーラ。動きが見えるナエトルとレッカは絶句していた。
――アルツと同じ光を放っている!
しかし、メガパワー・スピードタイプはアルツのブルー・クラッシュと呼ばれる四大秘力とそっくりではあるがその正体は全くの別物だ。
「いくぞ、かわらわり!!」
先手はデルタ。右手を手刀のように振りかざし、レッカに迫って振り下ろす。
「喰らうかッ!シャドークロー!!」
レッカの右手が紫と黒が混ざった何とも不気味な色の爪のオーラに包まれる。シャドークローとかわらわりはぶつかり合い、双方吹き飛ばされる。
「くっ――!」
「やるな」
体勢を立て直すデルタ。一方のレッカはかなり余裕そうだ。さすが伝説の戦士、と呼ばれるだけはある。
「さぁ、勝負はこれからだぜ!火炎放射!!」
炎タイプの代名詞、とも言える大技、火炎放射。
エネやシギが見てもかなりの火力。レッカのレベルは過去戦ってきたどの敵よりも圧倒的に違う。
「くっ、ならば……!」
デルタが右手を走りながら、後ろに構えてエネルギーを溜めだす。
「直接破壊するだけだ!!」
デルタを包む青い光が赤い光へと変わる。メガパワー・パワータイプだ。
「まさか、真っ向勝負!?」
コレにはさしものレッカも驚きを隠せない。
デルタが今自身の持つ最強の技を放った。
「気合いパンチ!!!」
気合いパンチと火炎放射の激突。
本来ならば熱い!と直接攻撃はしないのが流儀だが、デルタはその法則を壊すように攻撃に出る。
「くそっ……!」
しかし、やはり実力差があり過ぎる。いかにパワータイプと言えど、今のデルタではレッカに歯など立つはずがない。
「コイツで終わりだぁ!!」
レッカが火力をさらに上げて、デルタは炎の中へ消えていった。
誰もがレッカの勝利を確信した次の瞬間、レッカは背後に妙な気配を感じた。
「――!」
振り返った目線には今にも気合いパンチを放とうとするデルタがいた。その距離は1mあるかないか、そこまでの至近距離だ。
「どうだ?俺のフェイント」
「フェイント……!?」
完全にレッカは火炎放射を放った時点で嵌められて(はめられて)いた事に気付いた。身代わりのような分身に目線を集中させ、本物はその隙に気合いパンチを構える。
しかも、この0距離に等しい状況ならどんな行動をしても、デルタのパンチが先にレッカに届く。
「どうだ?」
「……やられた。見事な戦法だ」
レッカは笑みを浮かべた。
――コレなら、久々にアレを使う気になれるぜ。
レッカは久々に使う気のようだ。あの力を。
「喰らえッ!!」
デルタ渾身の気合いパンチがレッカに炸裂した。
「どうだ……」
気合いパンチのパワーが強過ぎたのか、海岸に舞う土煙。
そして、土煙が晴れる頃、デルタは衝撃の光景を目の当たりにした。
「なっ……!?」
「さすがだぜ。俺が見込んだだけはありやがる」
レッカもまた、赤いオーラを体から発していた。
「さて、本当の勝負はこっからだ」
レッカは勝負を楽しむような笑みでデルタに言った。
デルタ
「もうすぐお盆か」
早いもんだよ、夏休みは。
デルタ
「はぁ」
明日こそ海に行くぞ!
デルタ
「クラゲ出るぞ」
……(汗)
次回予告
伝説の力、四大秘力を発動させたレッカにデルタはまるで歯が立たない。そんな中、レッカは驚きの一言をトリプルズに発した――!
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