第4話 初めての依頼
「起きろォォォォォ!!!」
マインの騒ぐが朝のギルドに広がる。ギルドは牧場のように夜明けから始まる。
弟子達はギルドの門へ出た。昨日、デルタ達が立ったあの木の網がある場所である。当然、他の弟子達を追ってデルタ達も続く。
「全員、揃ったな♪」
外ではリーンとラップが待っていた。扉を開けていたのだろうか、疑問は尽きないが、間違いなく彼らより早く起きているのは確実だろう。
「では、親方様一言お願いします」
ラップが言うとリーンが言った。
「ぐぅ……ぐぅぐぅぐぅ……」
しばしの沈黙の後に、デルタは思う。
(完全に寝てるだろ、リーンは!)
しかし、口に出せばどうなるかわからない。迂闊に口には出さなかった。
「ありがとうございましたぁ♪では、掛け声、始めッ!!」
ラップの声と共に全ての弟子が声を上げて、さらにはタイミングも揃えて言い出した。
『ひとーつ!仕事は絶対サボらない!!』
『ふたーつ!脱走したらお仕置きだ!!』
『みっつー!皆笑顔で明るいギルド!!』
「では、皆、仕事にかかるよ♪」
「「オォー!!!」」
弟子達は一斉に散る。トレジャータウンに向かう者あれば、ギルドに戻る者もいた。
「……」
「何したらいいんだろ」
「私に聞かないでよ……」
トリプルズとラップが外に残る。ラップが3人の前でこう言った。
「では、お前達にも仕事を与えるからついて来てくれ」
ラップがギルドに入ろうとした時、3人の背後から声が響く。
「あの、すいません!」
「「ん?」」
4人が振り返る先にはロコンがいた。彼女の名はコン。
依頼があってきたのだ。
「依頼って何?」
同じ女子のエネが聞く。コンは答えた。
「実は私の宝物が無くなったんです!あの宝物は姉さんがくれた大切な物……」
「その宝物は?」
「炎のオーブです……」
専用道具の炎のオーブについて詳しく知らない。4人とコンはゲラーの元へ向かった。
「炎のオーブ……か。聞いたことならある」
「どんなアイテムなの?」
「確か、炎が使える専用道具でとても高価な物だ。売れば一万近い額になる」
デルタはコンに尋ねた。
「落とした場所は?」
「多分……湿った岩場だと思います」
ラップは突然、トリプルズに不思議な地図を開けと言った。ラップが翼で指差すはトレジャータウンを南東へ少し行ったトコロにある岩場のような場所の絵だ。
「湿った岩場はココだ。お前達の……初めての挑戦だ!!」
それは、コンの落とし物を拾うだけのものだが、充分である。特にデルタにとっては。
「じゃ、支度しに行きましょうか」
「うん、トレジャータウンに!」
3人はトレジャータウンへ向かった。
トレジャータウンはギルドの丘を下ったトコロにある交差点をギルドから見て右の方向にある。また、交差点にはパッチールのカフェの入口もあるのだ。
トレジャータウンはかなりの賑わいっぷりだ。これが年がら年中らしい。
その広場で大きな声がする。
「あたちは風邪薬じゃないよー!」
卵の殻に包まれたポケモンがデルタに寄ってくると突然、デルタを持ち上げる。
「「デルタ!!」」
ポケモンがデルタを思い切り投げ飛ばした!
「投げつける!」
デルタが見事にポケモンに直撃する。ポッポは呆然としている。デルタとオニスズメが綺麗に目を回していた。
「大丈夫ですか!こら、ルル!!」
やってきたのはトゲチック。投げ付けたのはトゲピーのルル、というポケモンらしい。
「だって、そいつあたちを風邪薬って!」
「だからといって投げ付けるのは止めなさいって昨日も言ったでしょ!」
ルルとトゲチックに繰り広げられる大口論。トレジャータウンの広場は騒然となる。
「ルトナ!ルル!!」
怒るような口調で乱入するはトゲキッスだ。そして、トゲチックはルトナという名らしい。
「姉さん!」
「リー姉!」
「な、なんだよ……」
デルタが頭を手で抱えながら立ち上がる。その眼中ではお説教をくらうルルとルトナがいた。
「ったく、これじゃ、私フェリス……いえ、チームハッピーの名が泣くわ!」
フェリスの一言にポケモン達は騒然となる。実はチームハッピーはこの辺りでは中々の実力を持つチームで、幸せを運ぶ探検隊の如く、困っているポケモン達を助けたり、お尋ね者を捕まえたりしている、ハイパーランクの凄腕チームなのだ。
この際なので説明しておくが、ランクはかなりの数で分けられている。
まず、一番低いのがノーマル、順に高くなり……ブロンズ、シルバー、ゴールド、ダイヤモンド、ウルトラ、スーパー、ハイパー、そしてマスターに分けられている。
噂ではそれ以上もあるらしいが、あまり知られていないのだ。
一騒動を終えて、チームハッピーの3人がデルタに謝る。
「ごめんなさいね、私がうっかりカクレオンと話をしていた隙にこうなって……」
「構わない。済んだ事だ」
フェリスの謝罪を受け入れるデルタ。そこへシギとエネが戻ってくる。冒険の支度を整えていたのだ。
フェリスが懐から3つのアイテムを取り出して、デルタに手渡す。
「コレは?」
「まず……ピンクと黒のがモモンスカーフ。灰色と黒のが防御スカーフ。そして、最後の茶色いのが、パワーバンダナよ」
「こんなにいいのか?」
「構わないわ。お詫びの印。受け取って!」
フェリスが満面の笑みを送ってくる。断る理由などありはしない。有り難く受け取って、デルタは防御スカーフを、シギはパワーバンダナを、エネはモモンスカーフを身につけた。
「キャハハハハ!!!頑張ってね!」
ルルの不気味な笑い声。いつ転げても可笑しくは無かった。
「じゃ、行ってきます!」
チームハッピーに別れを告げて、3人は太陽の日射しが差し込む中、湿った岩場へと向かう。
そして、また、チームハッピーも自らのやるべき事をするために動くのだった。
そんな中……岩で謎の機械がこっそりと何かを観察していた。まるで、スパイのように静かに丘の上へと向かう。
今、ポケモン達の知らぬ所で闇が暗躍をし始めるのだった……。
デルタ達の目的地は湿った岩場。炎のオーブは果たして、見つかるのか……?
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