第3話 弟子達との邂逅
食堂でラップがデルタ達の紹介をする。
「というわけで、新しい弟子のチームトリプルズだ。リーダーのデルタに……」
リーダーのデルタね……って待て待て!
何勝手にリーダー扱い!?なんて、激しいツッコミをラップにぶちこむ。
「大体、チーム名を決めたヤツがリーダーなんだ」
それで一蹴されてしまった。
ラップが淡々と説明する。他の弟子達は静かに聞いていた。しかし、ラップが口を止めるとご飯そっちのけで騒ぎだした。簡単に言うと、ドンチャン騒ぎである。
「ワシはマルマインのマインだ。よろしくな」
この声は聞き覚えがある。そうだ、ツチと口論していたポケモンと声がそっくりだ。
「マインはツチとどういう……」
シギが聞くとマインが大笑いして、こう答えた。
「見張り番は元々、ツチとワシの2人が共同でする仕事なんじゃ。あ、大して歳はとっとらんぞ。親父や爺さんゆずりなんだ。ガッハッハッハ!!!」
もはや呆れる他にありゃしない。マインから目を反らし、次にチラリと目が入ったのはデルタやシギ、エネと同じ位の大きさのポケモンだった。彼方も気付いたようだ。
「よ!俺はヒノアラシのシーン。ココへはお前らの前に入ったんだ。要は一個上の先輩ってやつだ」
「そのワリには方向音痴だけどね〜」
「オ、オイ!キッパ、突然言うなよ……」
キッパと呼ばれる口の大きなポケモン。ただ、怖い部類に入るのかは微妙なところだ。
「ボクはマスキッパのキッパ。よろしくね〜」
呑気にキッパは挨拶を交わす。フレンドリーなのか、ただ単に呑気なだけなのか……よく分からないところである。
「エネ!」
さっきのツチと同じ声。まるで蝉の幼体だ。
「あれ、ツチニンってポケモンなんだよ」
シギがデルタの思考を読み取ったのか、訂正する。
「ツチ!」
エネはツチと雑談を始めだす。デルタとシギの横に蝉の成体らしきポケモンがいる。
「オレはテッカニンのテッカ。あのツチの父親で、ここでは情報収集を主な仕事にしている」
刹那、背後に気配を感じた。デルタは振り返る。しかし、何もいない。テッカは呆れていた。
「ヌン、止めろ」
ヌン、そう呼ばれるポケモンが突然現れた。唐突な事に2人はビックリの他ありはしない。
まるで蝉の脱け殻である。
「私はヌン。ヌケニンのヌンさ。長年、テッカの元で世話になってるんだ」
「へぇ〜」
「ま、居候みたいなもんだがよ」
テッカによると、テッカがテッカニンになった時に現れたらしい。それも突然。
後々、ラップに聞いたらそれは自然らしい。ツチニンが進化する時に脱ぐ脱け殻に突然命が宿り、ヌケニンが生まれる。
ただ、こんなことはツチニンがテッカニンになる時のみ起こるので謎が多いんだとか。
「いいかしら?」
2人が振り返ると、突然の笑みが2人を襲う。いつ、気絶してもかまわないくらいだ。
「私はイルミーゼのミーゼ。宜しくね」
「「宜しくお願いします!!」」
2人は頭を下げてしまう。効果抜群、とでも言おう。
エネがミーゼを睨み付ける。ミーゼとエネは目線を反らさない。正に女の戦いだ。どこかで火花が散っているように見えた。
「いいだろ……」
手を2人の間に入れるポケモン。何かツボの前でグッタリしていたそう、ゲラーである。
2人のにらみ合いはコレでお預けとなった。
「僕はユンゲラーのゲラーだ」
ただそれだけ言うと席に戻ってパクパクと食べだした。夕飯を。
辺りを沈黙が包む。ラップが寄ってこう言った。
「お前たちはシーンの横の端だ」
それは長いテーブルの左上側である。ボソッとさらに言った。
「レッカの席だったらしい」
「マジか?」
「マジだ」
とにかく、夕飯は遅くなったが、ようやくスタートとなる。ガツガツと豪快に食べまくる面々。
あっという間の時間だった。
その晩。
ラップに寝室へ案内される。
「お前達には住み込みで働いてもらう。朝は早いし、規則も厳しい。あまり夜更かしせずに早めに寝るんだぞ」
そう言うとラップは3人に背を向けて歩いていった。
黒くなり、ラップの背はやがて見えなくなる。
「……じゃ、寝るか」
「うん」
「えぇ」
シギとエネの鼾が響く。しかし、騒音とは言えない。デルタは1人、窓から見える月を見つめていた。
(俺は……何者なんだ……)
「眠れないのか?」
背から声をかけたのはラップだった。
「ラップ……」
「焦っても仕方ない。それは探検にしても、何にしても同じだ。当然、お前の失われた記憶を探すに関しても」
「……」
「朝は早い。なるべく寝ておく事だ。動けなくなるぞ」
「分かった」
月明かりに照らされ、デルタは眠りにつく。
しかし、その直後、月を2つに切るかのように1つの光が走っていった。
デルタの壮絶な一日が今、幕を閉じたのだった。
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