第2話 プクリンのギルドへ
3人はギルドの前に立っていた。
プクリンのギルド。
この辺りでは超一流といわれるギルドであるらしい。
数々のお宝を発見し、中には前人未踏の地にまで踏み込んだ事もあるんだとか。そんなギルドも設立からもう100年近く経つが、建物はあまり老朽化していない。ギルドに訪れる者が皆、暴れたりしないからだ。いや、実際には暴れたらプクリン……親方の堪忍袋の尾が切れる。その逆鱗に触れて無事な者などいない。
ギルドの建物はまるでテントのようにも見える。しかし、頭にはプクリンの上半身が描かれている。プクリンの両手は開き、目は何者も歓迎するようだ。
しかし、それとは対照的に門は鉄で固く閉じられ、その目の前には木でできた網目がある。かなり頑丈にはできているようだ。
シギはココに来るまで、不気味と連呼していたが、確かに言われる通りに不気味以外の何物も無い。もしかしたら、ココで勇気ある者を試しているのかもしれない。1人で行けるかどうか。それが後の探険に大きく影響するのは一目瞭然である。
エネが先陣を切り、網目に立つ。大地から突然声が響いた。
「ポケモン発見!ポケモン発見!」
「誰の足形?誰の足形?」
100年前から変わっていないようだ。するとエネが叫ぶように網目に声をかけた。
「ツチ、私よ!エネ!!私達、探検隊になりにきたのよ!」
「エネ!?」
ツチ、そう呼ばれるポケモンとエネが会話を始めた。用件を言えば、ギルド側も対応しやすい。
「……他の方々!すいませんが、念のために足形を鑑定させて下さい!」
それがギルドのしきたりでもある。簡単に言うとルール、というものだ。不審なものを通すワケにはいかない。
シギが網目に立つ。代わりにエネが戻ってきた。
「やけに詳しいな?」
「母が昔、ここで修行しててね、それで遊びに来る事があったのよ」
「成る程な」
「今から6、7年前の話だけどね」
笑顔でエネは言い返した。そのスマイルは太陽のように美しい。
シギが帰ってくる。次はデルタの番だ。網目に立つ。
「ポケモン発見!ポケモン発見!」
「誰の足形?誰の足形?」
「えーっと……」
ツチの言葉が止まる。暫し沈黙の時が続いた。
「どうした!?応答しろ、見張り番のツチ、応答しろ!」
「……多分リオル!多分リオル!」
「何だ、多分って!足形を見てポケモンを見分けるのがツチ、お前の仕事だろ?」
「解んないものは解らないよ……」
少し泣きかけである。
数分間、ツチと誰かは知らないが口論を続けていた。やがて、
「入っていいぞ!」
その声と共に大きな音を立てて、鉄の門が開く。中からラップが現れた。
「久々だな、エネ♪」
「はい、ラップさん」
「「誰?」」
ラップは睨む事もしなければ、笑顔も出さず、真顔で答えた。
「私はここ一番の情報屋であり、このギルドの一番弟子だ♪ ……このセリフを3代続けるの面倒だなぁ……」
少し、愚痴も溢す中で気になる一言があった。3代目?
「おい、ラップ……」
「ラップさんと言え」
「初認識だから仕方ねぇだろ。それも3代か?」
デルタは引く気が無い。ラップは不意を突かれてうっ……と言った。そして、デルタの質問の内容が100年前の事なのは薄々感づいていた。しかし、聞きたい事は意外なものである。
「親方に聞きたい事があんだよ」
「親方様に?」
ラップはデルタの真面目な顔をみると構わない、と言ってギルドへ入る。3人もその後に続いた。プクリンのギルドの親方は現在3代目。初代の孫、リーンが親方を務めている。このギルドは超一流と言われるから修行も厳しく、リーンの名は父、祖父と共に世界全域に名は知れ渡っていた。
ラップは階段を降りる。木でできた至って簡単なモノだ。デルタ達も一気に降りる。そして、やってきたのは地下2階。ラップが言うには、主に弟子達が働く場所で親方の部屋もココにある。
「くれぐれも粗相の無いようにな」
そう言うと、ラップは扉を開けて、中へ入った。3人もそれに続く。
中にいたリーンは入口のあのプクリンとやはり同じだった。ピンク色の体に中心を白が包む。目は綺麗な緑色、いや、エメラルドグリーンである。そんなリーンが堂々と椅子に座っていた。
「やぁ!僕はリーン。ここのギルドの親方。一緒に探検隊をやるんでしょ?なら、頑張ろうね!」
3人の前でマイペースに話すプクリン。ラップが入る前に言っていたが、リーンも、父のプクも、そして祖父のプクリンも皆マイペースで喋る事がしばしばらしい。
そして、デルタが視線をチラチラと反らす。リーンも気付いたようだ。
「ココには僕達が集めたお宝が置いてあるんだよ」
確かにどれもこれも綺麗な物ばかりだ。しかし、中でもデルタが気になったのは一枚の黄色の石版……そう、あのプレートだった。
「コレは?」
「それはいかづちプレート。大昔のモノみたいなんだけど、それ以外は全く解らないんだよ」
あの超一流でも解らないんなら永久に謎なんじゃないかと、デルタは思った。そして、いかづちプレートの事を考えていて、ある事を思い出して、口が自然に動いた。
「親方、1つ聞きたいんだがよ」
「何?」
デルタはこれまでの経緯を全て話した。ラップも同様に聞いていた。そして、その反応は驚き以外の何物も無かった。
「確かに実在してるよ。その者の名はレッカ。伝説の探検隊、フレリーズの長だよ。100年前、彼らもココの弟子だった時期があるんだよ」
ラップは顔を歪ませていた。
「しかし、まぁまたこんな者が現れるとは……」
とにかく、リーンは自分のペースに戻すためか、こう言った。
「それはじっくり探す事が大事だよ。 で、チーム名はどうする?」
「「ぁ……」」
全く考えてなかった。どうすればいいのか検討がつかない。3人チームとなれば尚更である。するとデルタがこう言った。
「トリプルズってのはどうだ?」
「「それだ!!」」
2人も即効で承諾する。それを見たリーンは、
「じゃ、決定だね。皆登録……」
リーンが息を大きく吸い込む。ラップはぞっとして、羽で耳を塞いだ。3人は意味が分からない。やがて、辺りが揺れだす。
「たぁーーーーーー!!!」
リーンの口から放たれる光。それはハイパーボイスである。扉も声の力に負け、勢いよく開いた。
「また弟子入りか……」
それを最も至近距離で聞いていたのは弟子の1人で、トレード店の経営を任されているユンゲラーのゲラーである。
さて、一方、親方の部屋ではラップが探険に必要な物……トレジャーバッグに不思議な地図、そしてリーンが投げ渡した探検隊バッジ。
「コレから頑張ろうね!」
「「はい!!!」」
3人は元気良く返事する。すると花粉の匂いが舞う。リーンの眼の色が変わった。
「あっ、セカイイチ〜♪」
リーンが3人の間を通り、食堂のある地下2階の左端へ走る。
「……コレは悪化してるんだ……」
ラップはため息をついて、親方の部屋を出る。ラップは食堂に来い、と言った。
その食堂に着いたら既に他の弟子達が今か今かと腹を減らして待っていたのである……。
次回はギルドの弟子が総集合!
デルタ
「ていうか、リーンのセカイイチの愛はヤバくないか?」
そこへは怒りっぽくなってる(汗)
デルタ
「マジかよ」
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