BLACK【7】
湊と蘭は屋上にいた。
「あのー・・・話って何・・・」
蘭が湊に問いかけた瞬間、それまで黙っていた湊が口を開いた。
「毛利蘭・・・帝丹高校の空手部女主将・・都大会で優勝する程の実力者・・。
高校生探偵、工藤新一の幼なじみで・・・お父さんは、名探偵、毛利小五郎。
・・・でしょ?」
「え?」
湊が発したのは、蘭にとっては衝撃的な言葉。
今、初めてあったのに蘭の事を全て知っている。
蘭が驚くのも当たり前だ。
「何か・・・違ったかしら?」
「あ・・いえ・・・何で私の事を・・・?」
「ちょっとした綱よ・・・。ま、この事を言いたくて呼んだんじゃ無いけど・・・。」
不敵に笑いながら湊が言う。
「それじゃあ・・・何を・・・?」
蘭が少し戸惑いながら、尋ねる。
「ヒロタマサミ・・・って知ってる?」
「ヒロタ・・・マサミさん?・・・・
あ・・もしかして、広田雅美さん・・・いえ、明美さんの事?」
蘭が思い出した様に言う。
「!知ってるの?」
湊が一歩、蘭に近づく。
「えっと・・・でも、もう明美さんは・・・・。」
「それは・・・知ってるわ・・・もう、この世にはいないんだから・・・。」
湊が俯く。
湊の脳裏には明美との会話がおもいだされる。
「え!?十億円強奪!?」
「そんなに声あげないで!極秘任務なんだから・・・。」
明美が口の前に人差し指を立てる。
「でも・・・なんでそんなの・・・。」
湊が焦る。
「ちょっと・・・ね・・色々あったの・・それで・・・組織から・・。」
明美が言葉に詰まる。
「大丈夫なの?かなりレベル高いんじゃ・・・。」
「大丈夫よ!何とか成功させてみせるから!・・・それに、これは私の最後のチャンスだしね・・。」
明美が明るく言う。だが最後の方の言葉は、かすかにしか聞こえない。
「最後のチャンス?」
湊が聞き返す。
「あ・・・何でも無いわよ!それより、湊は?貴方こそ大丈夫?」
「私は大丈夫・・・何とかね。」
「そう・・・ならいいわ!・・・あ!もうこんな時間!大学に遅れちゃう・・・。
じゃあ、私は行くわね・・・。またね!湊!」
明美が一歩歩いて振り向いた。
「後・・・妹を・・・もし、私に何かあったら・・妹をよろしくね・・・?」
明美が悲しそうな表情をした・・・ような気がしたのは湊だけだろうか・・。
「え・・・えぇ・・・。任せて・・!」
あれが最後の会話・・・
あの一週間後。明美はこの世を去った。
組織に問いかけても、正式な回答は返ってこない。
疑惑を抱きながらも、組織に居続けた。
そして、今に至る。
明美の件は、自分で真実を知った。
何もかも疑がった。信じられない。予想もしていない真実を知った。
「の・・・・さん?・・・咲夜さん!」
目を開けた先には、蘭の叫ぶ姿があった。
「明美さんが・・・どうかしたんですか?」
蘭が不思議そうに尋ねる。
「あ・・・何でも無いわ・・・。後・・・一つ聞いて良いかしら?」
「え?あ・・・はい・・・。」
「貴方の家に・・・『江戸川コナン』ってボウヤ・・・いるかしら?あと、近所に『灰原哀』って子も・・・。」
湊が尋ねる。
「はい・・・いますけど・・・。コナン君は、うちで預かってるし・・。哀ちゃんは、阿笠博士って人の所に住んでますよ?」
蘭が素直に答える。
「あの・・・そろそろ授業始まるから・・・。」
蘭が時計を見て言う。
「え・・・えぇ・・・ありがとう。ごめんなさいね・・・たかがこんな質問に時間をつぶして・・・。」
「いえ・・・大丈夫ですよ!じゃあ・・」
蘭が屋上のドアを開ける。
「えぇ・・・。」
バタン・・・
屋上のドアが閉まった。
「見ーつけた・・・。」
湊が不敵に笑った。
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