BLACK【6】
「あれから三年か・・・。それより・・・なぜお前がここにいるんだ?・・・
咲夜湊・・・」
長い沈黙の中、先に言葉を発したのは赤井の方だった。
「・・・組織の仕事よ・・・。」
湊が冷静に言う。
「・・・。まだ組織にいたのか・・・。」
「えぇ・・・明美さんの事を解決しなきゃ・・・気が済まないのよ。」
言葉を発すると、湊が少し俯いた。
「・・・・。」
赤井は黙る。
この二人が出会ったのは、赤井が組織に潜入捜査をしていた最後の年。
宮野明美・・・赤井が潜入捜査している頃に交際していた人物だ。
湊と明美は組織内の階級は違ったものの、かなり仲が良かった。
赤井に湊を会わしたのも、明美だ。
『自分の一番の親友。』と言って。
赤井と湊。あまり話はしなかったものの、印象は強かったのだ。
「貴方だって・・・組織を追い続けている一番の理由は・・・明美さんの仇を撃つため・・・なんでしょ?」
湊が問いかける。
「・・・。」
その問いに赤井は何も答えなかった。
二人の間を風が抜ける。
「・・・じゃあ私はこれで失礼するわ・・・。組織の仕事があるから・・・。貴方と・・・今度会うときは、敵同士じゃ無いことを祈るわ・・。」
そう言って、湊がドアの方に向かおうとした瞬間、赤井が言葉を発した。
「・・俺もそれを願おう・・・。・・・最後に一つ質問だ・・・
お前は・・・組織を抜ける気は無いのか?」
今度は赤井が質問した。
「・・・・。そろそろ・・・かしら?」
湊は一瞬笑顔を見せて、階段を下りていった。
「・・・・。」
次の朝、蘭が学校に着いた途端、園子が駆け寄ってきた。
「ねぇねぇ、蘭!あの噂の美少女、見に行かない?」
園子は興奮気味だ。まぁ、いつもの事なのだが。
「美少女って・・・・あの転校生の『咲夜湊』さんの事?」
「もう!他に誰がいるって言うのよ!?・・・あ・・・蘭も美少女の一人だったわね〜。」
園子が笑いながら言った。
「何言ってんのよ!園子!」
少々照れながら、蘭が否定する。
「とにかく言ってみよ!今なら絶対いるからさ!」
「う・・うん!」
蘭は園子にひっぱられ、A組へと向かった。
「いたいた!あの子よ!」
園子が指を指した先には、確かにいた。
腰まで長さがある赤みがかった茶髪。
大きな目は、吸い込まれそうな深い黒。
さすが、美少女と呼ばれるだけある。
だが、何か違和感がある・・・蘭はそう感じていた。
「ホントに美少女ねー・・・」
園子が呟く。
蘭も感心して見ていると、目線が合った。そう、今見ている咲夜湊とだ。
「え?」
「どしたの?蘭・・・」
コツコツ・・と靴の音を響かせて、湊がこちらに向かって来た。
「毛利・・・蘭さんよね・・・?」
湊が蘭に尋ねた。
「え・・・え!?・・あ・・・は、はい!」
いきなり聞かれた蘭は、言葉をつっかえながらも、なんとか返事をした。
「ちょっと・・・一緒に来て?貴方と・・話がしたいの。」
湊が蘭と話をしたい、と言ってきたのだ。
「あ・・・はい!」
突然のことに驚いた蘭だが、素直について行った。
廊下を歩いていく蘭達を、園子やA組の生徒はただ呆然と、その後ろ姿を見つめていた。 |