挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
白の涙。 作者:朝登 優
1/11

白の指先。

キャラクター紹介

甲斐崎朝行/カイザキトモユキ
高校生。
自分の想いを押しつぶしながら先生とは身体だけの関係だったが…


西山清一郎/ニシヤマセイイチロウ
国語教師。
深く深く甲斐崎を想いながら身体をつないでいる。

 

 
 冬は嫌いだ
 人肌が恋しくなるから。



「せんせい」
「なに?」
「……蜜柑、美味しい?」


 身体だけ重ねる関係に、物足りなさを感じてしまう自分に嫌気がさす、午後9時。
せんせいの部屋のこたつに2人温まりながら事後のだるさも相まってだらだらと過ごすこの時間が、ずっと続けばいいのに。


「美味しいけれど…甲斐崎は言葉が足りないな」
「意味がわからない」

 やめてほしい、勘違いしてしまうから。
 手をとらないで。
 そんなに優しく触らないで欲しい。

(…重、症)

「寂しいなら寂しいと言えばいい」
「そんなの、いわない…いって困る、のは、せんせいだろ」

 言葉が足りない、と怒るから、言わないと決めていた小さな気持ちがぽろりとこぼれた。

「やっぱり甲斐崎は言葉が足りないな」

 せんせいの表情が知りたくて、そ、と盗み見るとひどく幸せそうに、微笑んだ。



「困る訳ないだろう?」



 冬は嫌いだ。
 雪は白くて冷たくて、せんせいの指先に似てるからどうしようもなく、せんせいに会いたくなる。


 二月も末の雪の降った日。
 せんせいがくれたくちづけは蜜柑の味で、触れた右手は冷たかった。



(…せんせいは、雪みたい)
(意味がわからない、よ甲斐崎。)
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ