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え?どゆこと?いきなり何?

「・・・・ここが異世界か・・」


青々とした見晴らしの良い草原に俺は立っていた。

雲一つない青空に太陽が世界を照らしていた、ふと周りを見てみると見たことない、花が咲いており此処が異世界なんだと感じることにそれほど時間は掛からなかった。

俺は会社でもすぐその場に馴染むタイプだったので深く考えることなく受け入れることが出来た。


「さて、何をするのかはよく分からんけど、ミーティアは町が近くにあるから其処へ行けって言ってたな」

女神の言う通り周りを見渡しても町は見つからなかった・・・・


「・・・・え?」

あれ?近くにあるって言ってたよな?何も見えないのだが・・


「ま、まあ待てちょっと落ち着こう、まずは身の回りの確認からだな」

俺の服装は革靴にスラックス、カッターシャツ、いわゆるスーツを着ていた。

とりあえず死んだ時の服装だってことか。

ただし、それ以外は特に何も持っていなかった・・・・・・


「ま、マジで何も恩恵がないとは(汗) しょうがないか、願いも叶えちゃったし何とかなるでしょ、このままじゃいかんから町を探して歩くか」

うん、見事なポジティブシンキング!


草原を歩くと街道らしき場所に出ることが出来た、さすがに異世界だけあって整地はされておらず、草が無いだけの道だった。

暫く歩いていると、茂みから複数の人が飛び出してきた!


「よぉ、不思議な格好した兄ちゃん、有り金と持ち物を置いてきな」

前に3人、後ろに2人の見るからに盗賊らしき男達に囲まれた。


「お金とか持ってないですけど」

ここで、テンプレがきたかぁ、俺は両手を挙げ、何も持っていないことをアピールした。

するとリーダーらしき男が


「なんだとぉ! おい!野郎の体を調べろ!」


「へぃ!」

めっちゃまさぐられた・・


「頭ぁ、まじで何も持ってやせんぜ」

だから言ったじゃないか、こんな状況で嘘をつくわけないだろ。


「それなら、奴隷として売っ払ってやろう、若そうだから良い値になるぞ、おめぇら!そいつをアジトに連れてけ!!」


「へぃ!」

あ、積んだかも・・てか早くない?

そう考えていると後から衝撃が走り俺は意識を失った・・・・


「う・・・・ん、ここは・・・・いたっ!」

朦朧とした意識の中、辺りを見渡した。


「目が覚めましたか?」

声のする方を向くと、一人の女の子が声を掛けてきた


「俺はどれくらい意識を失ってたんだ?」

後頭部をさすりながら訪ねてみた


「1、2時間くらいだと思います」


「そっか、ここは何処かな?」

周りは茶色い壁、鼻に付く臭いが混じり合い、なんとも言えない不気味な雰囲気を醸し出していた。


「盗賊のアジトだと思います」

女の子は力なく答えた、そうゆうことか、さっき奴隷にするって言ってたな。

俺の体に逃げれないように手枷、足枷が付いていた

いきなりこれかぁ~、萎えるわ~、展開早すぎだろ、心の準備してないし!

異世界舐めてましたすんません!!

よしっ、反省終了!とりあえずどうするか考えないと・・

でも、俺は能力ないんだよなぁ~


「お?目が覚めたかぁ! お前には奴隷としてたっぷりお金をもらわないかんからなぁ、げっへっへっへっ」

なんちゅう笑いかたをする、てかげっへっへっへって初めて聞いたわ!


「さてと、今夜のお楽しみは誰にし・よ・う・か・な」

下品な笑いを浮かべながら、男は物色し始めた。

俺はバレないよう、何気なく女の子を隠すように移動した。


「!!・・あっ」

女の子は小さな声をあげた

そして、カタカタとか細く震えながら俺の服を掴んでた


「よしっ!今夜はお前にしてやろう」


「ひっ!い・・いやっ!やめてっ!」


「うるせぇ! さっさとこっち来い!たっぷり楽しませてもらうぜぇ」

一つ隣の檻から20代くらいの女性が連れていかれた。


「あ、ありがとうございます」

女の子は俺にそう言ってきた。


「あ、ああ」


何故だろう、思わず彼女を庇ってしまった。

彼女は俺に微笑みかけていた、よく見ると汚れてはいるけど青色の髪に幼く見える顔はとても可愛らしく見えた、身長は150cmくらいで年齢?に似つかわしくない凹凸のはっきりした体つきをしていた。

間違いなく、奴等に見られていたら慰み者になっていただろう。

連れていかれた女性には悪いが、彼女を守れて本当に良かったと思う。


「あ、あの~、お名前をお聞きしてもいいですか?」


「ああ、俺は神代和弘だ」


「和弘さんですね、私はフィオナと言います」


「フィオナね、よろしくな!」


「はい!よろしくお願いします」


3日ほどたった頃、すっかり俺はフィオナと仲良くなった、

どうやら彼女は木の実を取りに行った際、盗賊に捕まったそうだ、

最初は気づかなかったが彼女は狼人続という亜人であり、奴隷として売ると高く売れるという、更に若い娘なら尚更だ。

その日の夜、再び男がやって来た・・・

俺はいつもの様に彼女を隠したがついに見つかってしまった!


「おっ!今まで気づかなかったけど、おめぇいい女だなぁ、へっへっへっへ」

不味い、見つかったか!


「よしっ!今夜はお前には決めたぞ、ぶっ壊れるまでヤってやるぜぇ」


「い、いやぁ」

彼女は凄く震えていた


「すいません、彼女は見逃して貰えないですか」

目の前の男に立ちはだかった


「あぁ?てめぇこの女に惚れてるのか?ひっひっひっ!残念だったなぁこの女は俺たちの慰み者だぁ!」

男が彼女の腕を強引に掴んだ


「待てって!」

立ち上がった瞬間、腹に衝撃が走り俺は吹き飛ばされた


「うぅ」


「てめぇ、舐めてんじゃねぇぞ!」

男は俺の頭や腹を何度も蹴りだした


「がはぁっ!」

や、やばい・・ここで、意識を失ったらフィオナが・・


「や、やめてください、私いきますから、あなた達の慰み者になりますから、もうやめてください!」

男は満足そうに彼女を見つめ


「最初から素直になってればいいんだよ、兄ちゃん残念だったなぁ、この女はお前の分もたっぷり可愛がってやるよ」

ま、待てよ・・・


「和弘さん、私の分も生きてき下さいね」

彼女は力なく俺に微笑んだ・・・その眼は全てを諦めていた・・


「あ・・ぁ・・」

なんだこれは、何故こうなった、何とかなると思ってたのに・・

自分の考えの甘さ、浅はかさを認識した瞬間だった・・・

ここは、ラノベでいう異世界物語、テンプレのように助けが来ると思っていた、だが現実は違った、当然のように弱者は弄ばれ喰われていく

俺は今初めて自分に力が無いことを呪った、なぜ3つの願いをチートスキルにしなかったのだろうか・・・


「さぁ、来いっ!」

俺は這いずるように追いかけたが無情にも牢屋の扉は閉まってしまった


「きゃあ!いやっ!いやっ!やめてっ!」

フィオナの叫び声が聞こえた

なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ

牢屋を掴むがびくともしない

なんどやっても傷一つ付かなかった、次第に俺の掌から血が滴ってきた


「やめろぉ!、出せよ!出してくれ!」

ガンガンと鉄格子を叩く、血が飛び散ってもお構い無しだ、


「うるせぇ!」

棒で突かれ俺は後ろに吹き飛んだ、見張りが中に入って俺の頭を棒でおもいっきり殴った!


俺は意識を失った・・・・



ガチャリ・・キ~~

鉄格子が開く音で目が覚めた

ドサッと音がした・・・・

ま、まさか・・・・


そこには全身痣だらけで目を見開いた全裸の女が倒れていた


「ふ・・フィオナ?」

俺は現実に直視出来ない状態でいた


「げっひゃっひゃっひゃ!てめぇがこの女が好きだって言ってたから、返してやるよぉ、但し俺たち全員の相手をしてもらったけどなぁ、いやぁ~、この女相当の好き者だったぜぇ、最後には自分から腰を振って喜んでやがった、まあ、もっと楽しみたかったけどよぉぶっ壊れちまったんだわ、俺の部下で首絞めながするのが好きなやつがいて、そいつが殺っちまったわ、ってことでもう用済みだからお前に返してやるよぉ、死姦くらいできるぞ、まあ中はぐちゃぐちゃだけどなぁ、ひーひっひっひっ」


フィオナの顔を見た、目を見開いたまま口から泡を出していた・・


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

なんだ、この理不尽な世界は、誰のせいだ?少なくとも俺に力があればこんなことにはならなかった・・俺のせいなのか?

ならどうすれば良かったのか?わからない、わからない


「ひっひっひっ、おいその汚いの片付けておけよ」

なんで、こいつらはここまでやれるのだ?

これがこの世界の常識なのか?

だんだんと俺の精神がこの世界に馴染んでいく・・・・


ああ、俺はどうしたのだろう・・・・、奴等をどうしたいのだろう・・

自問自答がループする・・

頭の天辺から足の先まで、理不尽というもので埋め尽くしたとき・・


プツン・・・




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