Chapter5:部屋2
ちゅん・・・ちゅん。
穏やかな小鳥の声で目が覚めた。
「くぁぁ〜・・・」
あぁ、こんなに気分のいい目覚めは久しぶりだ・・・。
ふと、自分の寝てたベッドの横に目をやる。
「・・・?」
布団にわずかなふくらみ。
これはもしや・・・?
「んふぅ・・・」
ベッドの中には幸せそうに布団に包まっている雪音がいた。
「ぎゃーす!!!」
「うるさい・・・」
俺は、寝ている雪音にベッドから叩き落された。
「どういうことだ・・・?」
・・・・・・・・・思い出した。
昨日俺の部屋に押し入ってきたヤツは、いろいろ深い話をした後、しんみりしちゃったとか言って、びっくりするくらいアルコールを摂取し、倒れるようにソファで眠ってしまったんだった・・・。
俺は寝ている雪音に毛布をかけ自分はベッドで寝たんだった。
それがどうして俺のベッドで・・・。
「・・・。」
ふと時計を見る。
針は十二時三十七分をさしていた。
さいわい今日は学校もなく、昼まで寝てても良い時間だったので俺は少し安心する。
とりあえず、雪音を起こさなければ・・・。
「おい」
「・・・。」
「おきろ」
「・・・。」
「・・・。」
俺は無言で布団のふくらみに蹴りを入れた。
「げふぅ!」
布団のふくらみは、女の子らしからぬ悲鳴をあげてベッドから転げ落ちた。
ふっ、恐ろしい値段のパフェを奢らされた復讐だ・・・。
「ううぅぅぅぅぅぅ・・・。」
・・・。
布団の中から地獄の奥底から湧き上がってくるようなうめき声が・・・。
「蹴った奴ぁ誰だ〜・・・。」
「うっ!」
布団の中から手が出てきて俺の手をしっかり掴んでいる。
普通に怖えぇ・・・。
「蹴った奴ぁ・・・、誰だ〜!」
「ぎゃー!!」
ベッドの中に潜み住んでいる魔物が俺に襲い掛かってきた!
「・・・んぅ?龍也君?龍也君が蹴ったの?」
「す、すいませんでした!」
「じゃあ許す。おやすみ〜」
「おやすみ、じゃなくて!起きろ!」
「なんでぇ〜?今日は学校休みじゃん」
「そ、そうだけどさ」
「じゃ、いいでしょ。おやすみ」
「だめだ。お前は昨日ソファで寝ていたはずだ。なのになんで俺のベッドに寝ているんだ。その理由を聞かせてもらえたら寝かせてやる」
「ふぇ〜、めんどい」
「じゃ起きろ」
俺は雪音が包まっている布団を引き剥がしにかかる。
「分かった分かった!言うからあたしから布団を奪わないでー!」
「じゃあ早く言え」
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雪音の話によると、夜中に目を覚ました雪音は自分がソファに寝ていて、俺がベッドに寝ているのを見て、何であたしがソファなのよー!みたいな心境になり、腹が立って俺が寝ているベッドに侵入してきて一緒に寝ていたのだという。
・・・。
自分勝手過ぎだろそれ。
「そもそも、レディをソファに寝かせて自分はぬくぬくとベッドで寝ていて罪悪感を感じないの!?」
「そ、それは・・・。」
でもなぁ。
雪音だしなぁ・・・。
「きみ、今失礼なこと考えてない?」
「別に」
「ならいいけど」
「・・・。」
「という事で、今日はあたしの買い物に付き合ってもらいまーす」
「な、なんで俺が!?」
「この高貴なあたしをソファに寝かせたから」
話がつながってねぇ〜!
「じゃ、準備しなきゃ」
むくりと起き上がる雪音。
その格好は・・・!
「し、下着!?」
「え、・・・きゃっ!」
なんでこいつ下着姿で寝てたんだ?
「あたしの服・・・、どこ?」
「知るかー!」
俺、下着姿の奴と一晩一緒に寝てたんだ・・・。
「見たね・・・?」
「ごめんなさい・・・。」
「責任、とってね・・・?」
知らねーよ。
「今日は、スーパーウルトラスペシャルエキセントリックケーキおごってもらうんだから」
「もう嫌だー!」
今日一日も長くなりそうだった。 |