Chapter14:Find
雪音との帰り道。
何故、あんな人を心配させるような冗談を実行に移したのだろうか。
それこそ、近所のおじさんまで使って…。
その理由を歩きながら聞いた。
「だって、…不安だったんだもん…。」
「不安って…、何がだよ?」
雪音はとつとつと話し始めた。
「昼間、龍也くんはもう少し待ってくれって言ったよね?わたしたちがいかがわしい行為に及ぼうと龍也くんを追い掛け回してたときにさ?わたし、その時は勢いで納得しちゃって、龍也くんに、もう少し経てばその気が起きてくれるんだと思って、舞い上がっちゃって…。
得意のツンデレまで披露しちゃったし。
…でもね、家に帰る途中で考えたの。もしかしたら、さっきの言葉は嘘なんじゃないか、って。それこそ、臭いものにふた、みたいな感じで…、わたしが邪魔っけだったからその場でぱっと嘘をついてわたしを追い払おうとしてたんじゃないかって。
…わたしは龍也くんが大好きだから、龍也くんを疑いたくなかった。でも、それと反面、きっと龍也くんならそういう嘘、平気で吐きかねないって。…思っちゃったんだ。
…ほら!わたしって活動的な方じゃない?考えたらすぐ突っ走っちゃうっていうか、考えなくとも体が勝手に動き出すっていうかさ。
だからわたし、珍しく考えたんだよ?どうすれば龍也くんがわたしのことを大切に思ってるかわかるかな、って。そして、考えて、考えて、さっきの嘘を思いついたの…。
龍也くん、お金持ちでしょ?でも、その割にはお金を使うのを嫌がってたし、ホントに必要なものにしかお金を使わないじゃない?
だからもしわたしが誘拐されて身代金を要求されたら、龍也くんはわたしのためにお金を使ってくれるのかな、って…。
ここまで考えて、最初は考えるだけだったのに、そのときになって脳の活動的な部分が働き出しちゃった、っていうか…。確かめたくなっちゃって…。
それで、近くを通りかかったおじさんに無理矢理手伝わせて、おじさんに電話をかけさせたの。…あはは、おじさん大活躍だよね。
それで、三十分くらいたったあたりで、おっきなバック持った龍也くんが、汗だくで公園に走りこんできたの。…龍也くんの姿が見えたときには嬉しかったなぁ。…ところで、なんで乗り物使わなかったの?…え?そこまで頭が回らなかった?必死だったから?…えへへ。
ま、それで、わたしの無事を確認した途端、龍也くんはわたしに抱きついておんおん泣いちゃったのでした!おしまい!
今回のことで、龍也くんがわたしのことを大切に思ってくれていることがわかったから、満足しました!ゴメンね?龍也くん…。二度とこんなことしないよ。まさか、龍也くんが泣くほどわたしを心配してくれてるとは思ってなかったから…。期待はしてたけどね?」
とまあ、そんなことらしい。
まったく、なんたることだ。
俺としたことが、情けない…。
雪音に涙を見せたことは、どうでも良い。
問題は、雪音にすべて見破られていたことだ。
あの時に言った言葉は、その通り、その場凌ぎの嘘だったこと。
俺ならば、そんな嘘を平気で吐けるということ。
俺の所為で雪音に不安感を抱かせてしまったこと。
それは俺にとって、最大の汚点となるだろう。
俺は、嘘を吐くのが得意なつもりだった。
誰も俺の嘘を見抜けないと思っていた。
何故なら、俺はこれまで、自分に嘘を吐きすぎたから。
俺は自分を騙してたんじゃない。
俺は、自分自身を誤魔化して生きてきたんだ。
自分に嘘を吐き、その嘘に自ら騙されることを強要してただけなんだ。
そんな奴の嘘なんかに。
誰が騙されてくれるものか。
俺はこれまでの所業に絶望した。
人を騙して生きてきたと思っていた。
他人は生きる価値など無い、何故なら俺の嘘に簡単に騙されるから。
そんな程度の人間など、生きる意味など無いだろうと。
そう思っていた。
だけど、本当は違った。
生きる意味が無いのは、俺のほうじゃないか…!
「ほらほら!なにをそんなに悲痛な顔をしてるの?わたしは無事だったんだから、それでいいじゃない!」
「……ごめんな」
「……へ?」
「ごめん、俺がいつも適当に雪音のことをあしらってたから、お前を不安にさせちまった…。」
「べ、別にいいんだよ?今回のことで、龍也くんがわたしのことを人並みに大切に思ってくれていたことがわかって、わたしは安心してるんだから!」
「いや、俺は安心できないし、満足もできない」
「…だからぁ、別に大丈夫だって」
「俺が大丈夫じゃないんだ。今回のことではっきりした」
「認めたくないが、俺は雪音のことが好きだ」
「俺と付き合ってください、これから俺をよろしく頼みたい」
うまれて初めて、俺は告白というものをした。
今までは、言い寄られることばかりだった。
誰とも付き合ったことは無いとも言わない。
でも。
こんな気分になったのは初めてだ。
結果を聞くのが怖くはあったが、それでも少し、すっきりした。
心をがんじがらめにしていた鎖がとれた気が、した。
「そんなことをいちいち言わなくても」
「わたしはずっと、龍也くんをよろしくしてあげるよ?」
「ありがとう、龍也くん、わたしもだいすきだよ!」
頬を赤らめながらも、ちゃんと口にだして言ってくれた。
そのときの雪音を、俺は今までで一番愛しく感じた。
どちらからともなく抱き合い、口付けを交わす。
今までの誰ともしたことが無いような、深い、口付け。
俺はこの瞬間。
自分が生きていく意味を見つけた。
乱筆乱文誠に失礼。
遅い更新でしたが、待った甲斐はあったでしょうか?
今回は、無い脳みそを絞って絞って書きました。
正直、書いた後自分で読み返し、泣きました…。
多分僕が親バカなだけかも知れないですけど。
僕が味わった感動を、是非読んだ皆さんが感じ取れたらと心から思います。
ちなみに、最終話っぽいですが、まだ続きます。
感想、意見等、よろしくお願いします。
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