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  I with... 作者:戯言

ちょっとシリアスに仕上げてみました。
Chapter13:探し人
「ひぃ…、やっと家に着いたぞ…。」

夢にまで見た玄関の扉。
どうやら必死に雪音から必死に逃げていたから、随分遠くまで走っていたようで。
帰ってくるのに二時間かかった…。
俺はいったいどれくらいのスピードで走っていたんだろうな?

不幸なことに財布も持っていなかったため、徒歩での帰り道。
あれほど金が欲しいと思うのは、最初で最後だっただろうな…。
鍵がかかっている扉を開けて、家に入る
「ただいま〜…。」

疲労困憊した俺は、すぐさまソファに寝っ転がる。
シャワーを浴びる元気もないぞ…。
やっと家に着いた安心感で眠気が襲ってくる。
そこでひとつ気付いた。

「……雪音たち、どこにいるんだ?」

いつもなら帰ってくるとすぐ玄関に顔を出し、じゃれてくるあいつらが。
俺が帰ってきてもなんのアクションも見せないとは。

「明日は、トマトの雨が降るかもな」

くだらない思考はおいといて、あいつら、家にはいないのか?
………そういえば家に鍵がかかってたな。
いつもならあいている筈なのに。

もしかして、

「まだ帰ってきてないのか?」

俺を追いかけてきてから、まだ俺を探し彷徨ってるとか…。
………。
恐ろし過ぎる!!
あいつらのことだから絶対他人に迷惑をかけている。
たとえば、


「オラァ!龍也先輩はどこにいるんですかぁ!!吐きやがれですぅコラァ!!」

「ひ、ひぃ!お助け〜!」


みたいな。
このはに限ってそんなことは無いだろうが、それに近いことはしてそうだな。
あいつは俺がかかわると見境なくなるし。

「…じゃあ何で雪音は帰ってこないんだ?」

あいつには俺が言って聞かせたし、それで納得して帰っていったはずだ。
あいつが俺のことを探しているなんて事はない筈なんだが…。

「…とりあえず探しにいってみるか」

やれやれ、息つく暇も無い。

俺はすぐさま外に出て、三人の捜索を開始した。

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三人は携帯をもって行ってなかった様で、町中を虱潰しに探すしかなかった。
躑躅は予想通り、帰宅途中のサラリーマンに襲い掛かっているところを発見した。

「お前はいったい何やってんだよ…。」

「だって先輩がいなくなっちゃったんですよぉ?誰かに襲い掛かりたくもなっちゃいますぅ!」

「………。」

こいつは絶対一人にしてはいけない。
かばんの中にでもいれて持ち歩かなければ。


このはは隣町のスーパーマーケットの前で体育座りで縮こまって泣いているところを発見した。
心配のあまり近所のおばさんが隣で慰めてくれていた。
………。
こいつはこいつで何やってんだか。

近くによると、

「あんた!なんでこの子のそばにいてあげないの!」

「い、いいんですおばさん!私が勝手にそばにいただけなんです!その人は悪くないんです!」

「でもねぇ、こんな可愛い子を泣かせちゃ駄目じゃないの!この子はこんなにあんたのことを想ってるんだから」

「そんな!いいんです!龍也さんの所為じゃないんです!」

………。
そんなやり取りが五分ほど続いて。
おばさんから解放された俺たちは雪音を探す。
しかし、

「なんでこのははペロペロキャンディーなんか握り締めてるんだ?」

「さっきのおばさんがくれたんです、わたしが泣き止まないから」

「…お前はガキか」

うれしそうにキャンディーをなめるこのは。
ほんとに子供っぽいな…。

「…あとは雪音だけなんだが」

なかなか見つからん。
一体どこをほっつき歩いてるんだか。
そのとき。

携帯の着信音が鳴った。

画面には見慣れない番号が映っている。

「誰だ?」

とりあえず出てみる。

「もしもし?」

「宮内龍也か?」

聞き覚えの無い男の声。

「どちら様でしょうか」

「棗雪音を預かっている。返して欲しくば今すぐ三千万用意して六丁目公園へ来い」

それだけ言って電話は切れた。

おい。
ちょっと待てよ…?

俺は、二人に先に家に帰っているよう言って、銀行に走った。
犯人に言われた通りにするのも癪だったが、今はそうするしかない。
俺は、かなり焦って気が動転していた。

銀行で金をおろしたが、どう持って行ったものか悩んだ挙句、銀行の人にバッグを借りて公園へ走った。
このとき、初めて両親が残した莫大な遺産に感謝した。

六丁目公園は銀行から遠かった。
このはを探しに隣町まで来ていたので、また戻らなければならなかった。
ほんとに何も考えていなかったから、電車やタクシーを使おうなんて思いつかなかった。
やれやれ、今日はほんとに走ることが多い。


六丁目公園に行くと、雪音が一人で立っていた。
俺は慌てて雪音に駆け寄る。

「あれ?さっきの電話の男は?」

「…あれ、近所に住んでる通りかかったおじさんなの」

「………は?」

意味がわからん。
何で近所のおじさんが俺に脅迫電話を?

「だから、これはいたずらなの!」

「…なんだって?」

いたずら?

じゃあ、


「さっきの電話は嘘か?」


「う、うん…。」


「ば、」


馬鹿野郎、と。
大声で怒鳴ろうとしたのに。
安心感で声が出ない。



「無事で、よかった…。」



俺は思わず雪音を抱き締める。

「龍也くん、泣いてるの…?」


自分でも知らないうちに。
俺は涙を流していた。

久しぶりに流した涙。
両親が死んだ時にも流せなかった涙。
それが、なんでこんなときに。


俺は地面に投げ出した三千万も忘れて、しばらく雪音を抱き締めていた。


乱筆乱文誠に失礼。
今回はちょっぴりいつもと違う雰囲気で仕上げてみました。
僕の今の心がこんな感じなので…。
というか、自分でこの小説読み返してみたら、やたらと三点リーダーが多いんですよね…←これです。
ちょっと自粛しないとかも。
感想よろしくお願いします。


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