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Sunny Day Bloom1
作:高橋はさみ



7.天使


7.天使


僕はやっともとの身体に戻ることが出来た。
ブルームも安心したように意識を静かに潜めていく。
ナーレスがとても格好よく、僕たちの前に立ち、セシルと向き合っている。
「一体どうするというのです?私を殺しますか?何のために?」
「ちょ、先に攻撃してきたのはそっちじゃない!!正当防衛よ」
スリィの言葉にセシルは肩をすくめ、明るい声色でこんなことを言い出した。
「取引をしましょう。
私の邪魔をせずにここから立ち去れば、あなたたちに何もしませんよ。」
「じゃあ、何で俺たちを攻撃したりした?」
「部外者というものは厄介ごとに首を突っ込みたくなると聞きますから。
人質をとって、全員城に呼び込み、まとめて始末してしまえば良いと思っておりました。
でも、あなたたちの能力を甘く見ていたようです。
逃がして差し上げますので、この町から立ち去ってください。」
「随分勝手だな。でも、まぁ、いいだろう。」
「ナーレス?」
ナーレスが以外とあっさりOKしたので、僕は驚いた。
「お互い手出しはしないってことで、じゃあさよならだな。行くぞ。」
「う、うん……。」
僕は何となく腑に落ちなかったが、彼に従った。
僕たちはお城の出口に向かう。
静かな沈黙に包まれて、僕たちの靴音だけが響いている。
なんともいえない悪寒が僕から離れなかった。
なんだろう、このもやもやした嫌な感じは。
そう、これは殺気だ。
僕たちに向けて恐ろしい殺気が取り巻いている。
……本当にこれで終わりかな?
「そんなわけ、ないじゃない!!」
「!!」
突然、ナーレスが剣を召喚し、僕に向かって突いてきた。
一瞬、僕が刺されるのかと思ったが、剣は僕の頬のすぐ横を通り過ぎ、僕の後ろにいた黒い物体に突き刺さっていた。
そいつがこの世のものとは思えない不気味な悲鳴を僕の耳元で下かと思うと、どろっと溶けて地面に広がった。
いつの間にか周りには闇にまぎれて黒い物体がたくさん。
「殺気はこいつらか。」
「え?いつの間に?」
スリィがやっと黒い物体に気づき、少し遅れて歩いていたウサギさんを慌てて抱えて、僕たちの後ろに隠れた。
「そういえば、そのウサギさんの名前は??」
「ステアです。遅れながらよろしくです。」
「しゃべれるんだね。僕はサニー。」
「スーパーウサギだね。俺はナーレス。よろしく。」
瞬く間に自己紹介を済ませ、僕たちは黒い物体と向き合う。
「セシル!これは一体どういうことだ?お前はウソツキか?」
「約束は破るためにあるんですよ。」
セシルは黒い物体の後ろで巨大な魔法陣を描いていた。
その魔法陣からは湧き出るように黒い物体が召喚されていた。
「あれじゃあ、キリがないな。」
「とりあえず、元を断たなきゃな。行くぞ!」
「うん!!」
僕はアックスを自らの手に召喚した。
ナーレスも剣を握りなおし、勢いよく黒い物体に飛び込んでいった。
僕はその場に残り、スリィとステアの前で近づいてくる黒い物体を振り払っていく。
スリィとステアもうまく黒い物体の攻撃をかわしているようだ。
その間も魔法陣からは黒い物体が召喚され、その数はどんどん増えていく。
セシルはいつの間にか階段をのぼり、そこで魔法陣を描く。
そのため、上からも黒い物体が降ってきた。
「ナーレス、大技使うからよけてね!!」
僕はそれだけ言うと、右手を天にかざした。
それを見たスリィが慌ててステアを抱えて僕のすぐ横に来る。
ナーレスも、僕の丁度真上に陣取り、僕に振ってくる黒い物体をなぎ払ってくれる。
「聖なる天使の名において、闇の住人である汝らを浄化する!!」
僕の声とともに、右手が白い光を発する。
これを見た黒い物体が驚いたように奇声を発している。
僕はその白い光を握ると、しゃがんで地面にそれを埋め込むように手を地においた。
すると、光が僕を中心に円形に広がっていく。
その白い光の上に立っていた黒い物体たちが一瞬して溶けその残骸すらも消し去っていく。
宙に浮いていた彼らもその光に当たると、同様に消えていった。
やがて光が消えると、その場に黒い物体の姿はもうなかった。
「やったぁ!!」
スリィがステアを抱えたまま、喜んでぴょんぴょんとはねている。
僕もうまくいって、ほっとした。気が緩んだ。
「サニー!!!!」
ナーレスの叫び声が聞こえたが、その時はすでに僕の視界は真っ暗になっていた。
僕が魔法を使った直後から、僕の足元には黒い魔法陣があった。
それが光が消えると同時に発動し、僕はその中に引きずり込まれていき、気を失った……。

ナーレスが叫んだときにはサニーは魔法陣に飲み込まれていた。
セシルのほうを見ると、彼がサニーを抱えて階段の先にある。
「待て!!」
ナーレスが飛んで、セシルの元へ向かう。
セシルは階段の先の部屋に入っていく。
それは王座のある部屋だった。
「アノ部屋は…。」
ステアが小さく呟いたかと思うと、スリィの腕から飛び降りて、階段を駆け上がり始めた。
「え?待ってよ!!」
スリィも慌てて、ステアの後を追う。
部屋の前でナーレスが扉をこじ開けようと体当たりしたり、剣を振り上げたりしたが、扉はびくともしなかった。
「ナーレスさん!私なら扉を開けられます!!そこに連れて行ってください!!!」
ステアの声にナーレスは頷き、彼を抱えて扉の前まで運んでやった。
ステアは慌てて、扉の脇にあるブロックを一つ押すとそこからいくつかのボタンが現れた。
それをすばやい手つきで押すと、扉はゆっくりと開いていった。
「サニー!!!」
部屋に入るとセシルが王座に跪いていた。
王座にガイコツの姿はなく、うずくまったサニーの姿が見えた。
「サニー?」
スリィが消えそうな声でサニーを呼んだ。
サニーはゆっくりと立ち上がった。
肩までの長さであった髪が地面に付くぐらい伸びている。
線の細い身体にかすかに丸みを帯びている。
ゆっくり手をかざすと白い翼が広がり、ぽつぽつと血の汚れが付く。
「遅かった……。」
ステアが悲痛な声で言った。
「天使との融合を果たした真のユードラ女王ジェシカの復活だ!!」
セシルの声が王座に響き渡った。
「サニー……。」
ナーレスがあ然とした表情で、サニーの変わり果てた姿を見ていた。












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