第五話:世紀の対決
「おじゃまします」
誰だか分からない男は毎日いやというほど来る。正直来るな。
「比奈におみやげ。メロンだよ」
訂正。メロンを毎日買って来るんだったら来てもいいことにしよう。
メロンをハーフカットにしてもらい食べる。はぁ、やっぱりおいしい。
「おいしそうな顔をしてるね」
男はニコニコと笑っている。なにがそんなに面白いんだか知らないけど。
「比奈が幸せそうな顔をしてるからね」
初めてあった時に比べてそんな恥ずかしい言葉をさらっというようになった。
正直恥ずかしいですよ。ええ、そうとうなものなんです。私の口調がかわってしまうほどに。
そして、もうなんでなにも言っていないのに私が考えていることが分かるのか?なんて聞かない。そんなことを聞いてしまったときには
「比奈のことが大好きだからだよ」
なんてニコニコしながらいわれてしまうに決まっている。言っておくけどこれは自意識過剰なんかじゃない。なぜならもう何回もこの会話をしてきたから。
早くこの二人きりの状況を何とかして欲しい。明里と冬音こないかな。
そんなとき天の助けが私のもとへとやってきた。
「比奈、遊びに来たよ!」
「おじゃまするわね」
き、きた!
「2人ともきてくれたんだ!早くこっちきて!」
すると部屋の気温が下がってきた気がした。なんとなくその下がってきたところが男の所と明里の所の気が……。
「今、俺が比奈と話しているんだよね。どっかに消えてくんない?」
寒い。部屋の中が寒い。そして目の前の男の顔がさっきと全く変わらないのに声が1オクターブくらい下がっているのが怖い。
しかし、明里はそれを見てもひるむことがない。そして顔が般若へと変わっていく。こっちも怖い。
そっと冬音の方を見てみてもこちらは無表情。いや、でも少しだけあきらめがはいっている。
「こっちだって見舞いに来たんだよ!お前が消えろ」
「口が悪いよ。明里さん、だっけ?」
「お前は彼女のいつも一緒にいる友人の名前も知らないのか!?」
「悪いけど眼中にないから。それにいつも比奈と一緒にいるのは俺だしね」
口でも余裕な雰囲気も明里は負けてしまっている。がんばれ明里!負けないで!
「比奈はなにを考えているのかな?」
「いえっ、なにも!」
なんて勘がいいやつなんだ。その笑顔も本当に怖い。
そうこうしているうちにまた口論が始まってしまった。男はとても余裕そうに、そして明里は般若に磨きがかかりながら言い合っている。そして部屋の温度はどんどん低くなってきた。
見ようによっては世紀の対決と見えそうでもあるが、それは自分の身が安全な場所にあるときだけ。こんな戦っている場所にいては楽しめるわけがない。
お願いです。だれかこの2人を止めてやってください!!
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