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第十六話 シークレット=ミッションその六
「あまり熱くは」
「いいじゃない、別に」
 それに応えるのはリオであった。
「どうせ戦いだし」
「だから戦いだから」
 リョウトは彼女にも言う。
「軽率なことは」
「大丈夫よ」
 リオの今の言葉は一見すると軽率なものであった。
「あの二人ならね」
「そうかなあ」
「それよりもリョウト」
 今度はリオが彼に声をかけてきた。
「何?」
「私達も競争しない?」
 にこりと笑ってこう提案してきたのだった。
「競争ってまさか」
「そう、そのまさか」
 笑顔はそのままである。
「それでいいかしら」
「そんなのはやっぱり」
 だがリョウトは渋る顔であった。
「よくはないよ」
「そんなこと言うから面白くないんじゃない」
「けれどさ」
 二人は言い争いになりだした。
「結局は」
「こら、二人共」
 オウカがそんな二人に声をかけてきた。
「あっ、はい」
「すいません中佐」
「わかっていたらだ」
 そうしてまた二人に声をかける。
「そちらにも敵が集中している。的確に対処しろ」
「はい。それじゃあ」
 リオはその敵達を見ながらすぐに動きだした。そうしてまたリョウトに声をかける。
「いい、リョウト」
「うん」
 今度は彼も普通に言葉を返す。
「私が前に出るから」
「僕が支援だね」
「ええ、それで御願い」
 ボクサーとガンナーの適正を見極めての判断であった。
「仕掛けていくわよ、ヒュッケバインの機動力でね」
「うん」
 二人もそれで覚悟を決めた。戦いはさらに激しさを増し敵の攻撃はまるで台風のようであった。その中で二機のマシンが舞っていた。
「いいですか、ラウルさん」
「フィオナ!」
 ミズホとラージがそれぞれヒリュウから指示を出していた。見ればそこには二機のエクサランスがある。
「そのまま前に」
「フィオナは左だ」
 エクサランスのパイロットに指示を出していた。
「それでいけます」
「いいぞ、そのままだ」
「わかった」
「わかりました」
 エクサランスのコクピットから返事が返る。そこには双子の兄弟がそれぞれ乗っていた。
「前か」
「左でしたら」
 ラウル=グレーデンとフィオナ=グレーデン。二人はそれぞれのマシンを駆っていたのだった。二人はそれぞれ独特の動きで前と左の敵に攻撃を浴びせる。
「はい、その調子です!」
「いいぞ!」
 ミズホとラージはまた言う。
「そうして倒していけば」
「いい。いい感じだ」
「わかった。しかしな」
「どうしたんですか?」
 ミズホはラウルの言葉に目を止めた。
「レーダーには何も」
「いや、いるぞ」
 彼は不意にこう言い出したのだった。
「バルマーの後ろに。何だ一体」
「艦長」
 ラージはそれを聞いてレフィーナに声をかけた。
「バルマー軍の後方に何かいるようですが」
「バルマーの」
「はい。何か見て頂けますか」
「わかりました」
 レフィーナもそれに頷く。そうしてレーダーの有効範囲と精度を最大限にしてみた。
 すると何かが引っ掛かった。これは。
「何でしょう、これは」
 彼女はすぐにショーンに問うた。
「やや小型のマシンがバルマー軍に近付いていますが」
「そうですな」
 ショーンもレーダーを見ていた。そうして艦長に応える。
「間違いなくいます。ですが」
「バルマー軍に向かっていますね」
「少し。様子を見ますか」
 それがショーンの判断であった。
「ここは」
「はい」
 レフィーナもそれに頷いた。
「そのように。それでは」
「とりあえずはそのまま目の前のバルマー軍に集中してくれ」
 ショーンはあらためて皆にそう指示を出した。
「それでいいか」
「了解」
 ラウルが答えた。
「じゃあそういうことで」
「わかりました」
 フィオナも続く。彼等は今のところはそのまま円陣で戦うのであった。
 その謎のマシンは。遂にバルマー軍の後ろまで来ていた。
「さあて、やるわよ」
 そこには赤い髪の女がいた。はっきりとわかる美女である。しかもかなりプロポーションがいい。
「敵討ちね」
「はいです」
 コクピットに一緒にいる小さなロボットが彼女に応えた。
「セレーナさん、それで」
「一気にいくわよ」
 その美女セレーナは一気に突っ込むつもりであった。実際にそうしてきた。
「相手が相手だしね」
「けれどセレーナさん」
「何、エルマ」
 セレーナはエルマを名前で呼んだ。
「ここにはあのマシンは一機もいないようですね」
「そうね」
 セレーナもそれに頷いた。
「いつも通りの部隊みたいね」
「じゃああれは一体何なんでしょう」
「さあ」
「さあって」
 エルマはセレーナの答えがとぼけていたので呆れてしまった。
「無責任な」
「じゃあいきなり襲われてはいわかりましたってあるの?」
 そうエルマに問い返す。
「それはないわよね」
「ええ、まあ」
 エルマもそれは認める。
「普通はないですよね」
「そうよ。けれどバルマーなのには変わりないから」
「やるっていうことですね」
「さあ、覚悟なさい」
 その流麗な目に剣呑なものが宿った。本気であった。
「バルマーには大きな借りができたから」
「敵、気付きました」
 ここでエルマが告げる。
「何機か来ます」
「好都合ね」
 それがセレーナの返事であった。
「やってやるわよ。さあ」
 動きを止めず一気にその数機を屠った。ブーメランによって。
 その攻撃は第一特殊部隊からも見えていた。テツヤがそれを見て言う。
「味方なのか?」
「少なくともバルマー軍を攻撃していますね」
 エイタはそう答える。
「だとすると」
「いいかしら」
 ここでそのセレーナから通信が入った。
「むっ!?」
「あのマシンからです」
「こちらセレーナ=レシタール」
「セレーナ=レシタール」
 テツヤはその名前に眉を動かした。
「確か。第四特殊部隊のエキスパートの一人だったな」
「あら、知っていたの」
「ああ。だが第四特殊部隊は確か」
「・・・・・・そうよ」
 不意にセレーナの声が曇った。
「全滅したわ。私以外はね」
「そうか。そうだったな」
「それでね。マシンを一機持って来たのだけれど」
「そのマシンですね」
 エイタがセレーナに問うた。
「その赤いマシンですね」
「ええ。ASアレグリアス」
 マシンの名を紹介した。
「覚えておいてね。いいわね」
「わかりました」
「それでレシタール少尉」
「セレーナでいいわ」
 自分から言ってきた。
「何かしら」
「何故こちらに来たのか」
 テツヤが知りたいのはそれであった。
「よかったら教えてくれるか」
「ロンド=ベルのところに行くつもりだったのだけれど」
「ゼダンにか」
「ええ。どうやら貴方達もそうみたいね」
「ああ」
 テツヤはその問いに対してこくりと頷いた。
「そうだ。我々はこれからロンド=ベルに合流する」
「そのつもりなんですけれど」
「わかったわ」
 セレーナはその言葉に頷いた。
「それじゃあ道は同じね。だったら」
「合流してくれるか」
「勿論」
 明るい言葉を返してきたのであった。
「そういうことでね。じゃあ仕掛けるわよ」
「はいっ」
 エイタが応えた。
「御願いします。こちらも大変ですから」
「わかったわ。あらっ」
 ここでセレーナはまた声をあげた。
「どうしました?」
「何か来たわよ」
「あっ、そうですね」
 エイタもレーダーを見て応える。
「ええと、これは」
「間に合った!」
 レイアースから声がする。光がそこにいた。
「海ちゃん、風ちゃん、皆無事だぞ!」
「よかった、一時はどうなるかと思ったわ」
「本当です。皆さん御無事で何よりです」
 レイアース達と三隻の戦艦であった。バーチャロン達も一緒である。
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