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第十六話 シークレット=ミッションその三
「どっちにしろあれは戦略兵器さ」
 カレンもラクス細大の武器の脅威は知っていた。
「BF団だろうがマスターアジアだろうが倒せるだろうね」
「するとですね」
 その言葉にダコスタが突っ込みを入れる。
「アズラエルさんとオルガ君達はガンダムファイター以上の超人になるんですが」
「かもね」
 しかもカレンはそれを否定しない。
「ひょっとしたらね」
「ううむ。世の中は広い」
「そうだねえ」
 バルトフェルドもそう言うしかない。
「全く以ってね」
「あとですね」
 アズラエルはふらりと言う。
「援軍が来るそうですよ」
「援軍!?」
 シローは援軍と聞いて声をあげた。
「もう何処にも余裕はなかったんじゃ」
「統合ですよ、所謂」
 アズラエルは彼にそう説明する。
「第一特殊部隊との合流です」
「第一特殊部隊!?」
 ユウナがそれを聞いて声をあげた。
「というとあれかな」
「そうですね」
 キサカが彼に応える。
「クロガネにヒリュウ改の二隻の戦艦を主軸として構成されている」
「確か連邦軍の開発した特殊マシンばかり集まっていると聞いているけれど」
「そうなのか」
 カガリはそれを聞いて声をあげる。
「そんな部隊があったのか」
「あったのかってねえカガリ」
 ユウナはまた彼女の言葉に呆れた顔になる。補佐役も大変である。
「前に資料を渡したじゃない」
「そうだったか?」
 そんなことは完全に忘れていた。
「覚えていないぞ」
「やれやれ。いつものことだけれど」
「困ったことです」
 ユウナもトダカもこれには呆れる。当然キサカも。
「とにかくね。彼等も凄い戦力だよ」
 ユウナはそうカガリに説明する。
「正直に言って有り難いよ。これからの戦いが楽になる」
「そうなのか。そんなに」
「これでカガリがもう少し大人しくなれば」
「おいっ」
 これにはすぐに突っ込みを入れる。
「結局それかっ」
「おっとと、これは失言かな」
「いつも失言していません?」
 アズラエルがユウナに突っ込みを入れる。
「何か」
「まあ気のせいです」
「しかし。第一特殊部隊が」
 タリアもそれを聞いて真剣な顔になっていた。思案に耽る顔であった。
「大きいわね。本当に」
「そうですね」
 それにアーサーが頷く。
「これで九一三番の奴が来ても怖くありません」
「前から気になっていたけれどアーサー」
「はい」
 タリアは怪訝な顔でアーサーに声をかけた。彼もそれに応える。
「その九一三番の人って誰?随分怖がっているけれど」
「私の天敵ですよ」
 彼は怯えた声で答える。
「それも恐ろしい」
「恐ろしいねえ」
 タリアにはよくわからない話であった。
「確か仮面被ってサイドカーに乗っていたかしら」
「御存知なんですね」
「まあね」
 ヤマが当たった。まさかと思ったのだが。
「彼ね。どういういきさつでそうなったのか知らないけれど」
「色々ありまして」
 アーサーの顔が強張る。
「何かことあるごとにやられています」
「そういえば彼は二回死んでるのに」
「二回目は灰になっていましたよ。それなのに」
 何故生きているのかと。忌々しげに言うアーサーであった。
「全く。世の中訳のわからない奴が多過ぎます」
「それはわかるわ」
 タリアも今の言葉には納得した。
「BF団もそうだったしね」
「あの連中本当に壊滅したんでしょうか」
「そう思いたいわ」
 これは皆が思う願望であった。
「またプラントを宇宙空間から攻撃されたらたまったものじゃないから」
「ですね」
 また直系の怒鬼のことを思い出す。
「あの時は我が目を疑いましたよ」
「私もよ」
「また彼等の話なんですね」
 アズラエルは黙ってその話を聞いていたがこうコメントしてきた。
「話が尽きませんねえ」
「それはアズラエルさんも同じじゃないですか?」
 アーサーはこう彼に返してきた。
「あれでしたよね。そちらは」
「思い出したくもありません」
 顔を強張らせての言葉であった。
「基地があっという間に崩壊でしたから」
「そうでしたね」
「何であんな奇人変人が来たのか」
 彼は今でも納得していない。
「正直あれを見たらどんな人間でも普通に見えます」
「ですね」 
 タリアが彼の言葉に頷く。
「あれを見たらとても」
「何か世の中って広いんだな」
 シンはしみじみとそれを感じていた。
「ステラみたいな可愛い娘もいればカガリみたいなのもいて」
「おい、またか」
 またカガリが怒る。
「私は何なんだ」
「そんなに気にすることないから」
「そうです。さあカガリ様」
 ユウナとキサカがそっと二人を後ろにやる。
「マユラ達が呼んでいますよ」
「ガンダムの整備で」
「ああ、わかった」
 まだ何かと気に障っているがそれを収めることにした。
「じゃあな。すぐに戻るからな」
「すぐに戻らなくていいから」
「ささ、ごゆっくり」
 二人はそのままカガリをトダカに渡して格納庫の方に案内させた。そうして残ったのはとりあえず話のできる面々であった。シンもメイリン達により格納庫に連れて行かれていた。
「騒がしいのがやっといなくなりましたね」
「それ言うとまた二人共来るわよ」
 タリアはアーサーにそう返した。
「話が出たら来るんだから」
「そうでした、失礼」
「それでね」
 何はともあれ話をする。それは合流する部隊についてであった。
「戦艦二隻が加入するのは大きいわね」
「そうですね。確かに」
 ユウナはタリアのその言葉に頷いた。
「それもかなり」
「今の戦力でもかなり辛くなるのが予想されていたし」
 タリアは言う。
「二隻も入ってくれるのが嬉しいわ」
「しかも強力なマシンとパイロットまで」
 ユウナにとってはそこも有り難かった。
「嬉しい限りです」
「そろそろゼダンの設備も復旧していますしね」
 アズラエルはそこも見ていた。
「彼等が入っても補給はいけます」
「いいことづくめですね」
 アーサーは能天気にそう述べる。
「これでロンド=ベルはさらに強くなって」
「といきたいけれど」
「じゃあまた」
「油断は禁物よ」
 タリアの言葉は厳しかった。
「いいわね」
「は、はい」
「まあそれでもね」
 背筋を伸ばすアーサーだったがユウナはあえて楽天的に述べてみせた。
「仲間が増えるってのはやっぱり有り難いね」
「カガリ様が増えるかも知れませんが」
「シン君も」
「ねえ君達」
 考えたくもないことを言うキサカとトダカにうんざりした顔を向けて述べる。
「不吉な未来は考えないでおこうね」
「そうですが」
「今までのパターンでいくと」
「流石にそれはないよ」
 ユウナは殆ど自分に言い聞かせていた。
「多分ね」
「多分ですか」
「不確実でもね。あんなのがそうそういたら困るよ」
 自分の国の国家元首をボロクソに言う。なおユウナとカガリは幼い頃から知っている仲である。
「そうじゃないかい?」
「ごもっともです」
「ではここは」
「そうだね。ブライト艦長やアムロ中佐が増えることを願おうか」
「ユウナさん」
 流石に今の言葉にはタリアも呆れた。
「それは幾ら何でも贅沢では」
「何。願うのはただですから」
 商業国家でもあるオーブ人らしい言葉であった。
「それはそれでいいではありませんか」
「はあ」
「ささ、タリア艦長も」
 タリアにもそれを勧める。
「ここは願われて」
「わかりました。それでは私は」
 それにつられて彼女も願うのであった。
「美少年が増えますように」
「そちらですか」
「はい」
 案外彼女もロンド=ベルに染まっていた。にこりとした笑みがそれであった。
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