第十六話 シークレット=ミッションその二
「特殊部隊の全滅は」
「そうだね」
それにカレンが頷く。
「まずは自分達と同じ奴等を叩くってのはセオリーの一つだしね」
「そうだな」
「それでさ」
サンダースがカレンの言葉に頷いたところでミケルがダコスタに問うた。
「生き残りはいるの?その特殊部隊に」
「今調査中です」
ダコスタはやや事務的に答えた。
「ですが。おそらくは」
「そうか」
シローも皆もそれを聞いて顔を暗くさせた。
「それがバルマーだったら仇を取りたいわね」
アイシャが言ってきた。
「絶対に」
「そうだな。けれど相手がどこにいるのかわからない」
バルトフェルドが少し困った顔でそう述べた。
「残念なことにね。その相手の素性すらも今は」
「明日はそちらの方面の哨戒ですね」
ラクスは何気なく述べた。
「それで宜しいでしょうか」
「明日の哨戒は誰だったかな」
シローはふとそれを問うた。
「確かSRXチームとレイアースだ」
「そうか。じゃあ彼等に伝えておこう」
「それに母艦はあの三隻」
オートザムとファーレン、チゼータの三国のものである。
「あと応援でバーチャロンチームもだったかな」
「わかった」
シローはそこまで聞いて頷いた。
「それじゃあ俺が言っておく」
「御願いできますか?」
ラクスがシローに声をかけてきた。
「何でしたら私が」
「いや、それはいいさ」
シローは穏やかに笑ってそれに返した。
「どっちにしろ大したことじゃないしな」
「そうですか。それでは」
ラクスはそこまで聞いてにこりと笑ってきた。そして。
「では任務も終わりましたしお食事でも」
「うっ」
それを聞いて皆顔が凍った。
「今回は」
「まさか」
「ひょっとして」
「ケバブなんかどうかな」
だがここでバルトフェルドが言ってきたのだった。
「アイシャの作った。絶品だよ」
「何だ」
「よかった」
シロー達は楽すの料理ではないと聞いてとりあえずは安心した。
「ケバブにはやっぱりあれだね」
「ヨーグルトソースだよね」
「流石だ、わかっているじゃないか」
バルトフェルドはカレンとミケルの言葉に満足そうに笑みを浮かべた。
「どうもねえ。それがわかっていない人が多くて」
「おい」
そう言った途端にモニターにカガリが姿を現わした。
「それは一体誰のことだ?」
「うん、それはね」
「御前のことに決まってるだろうが」
急にモニターが半分になってそのもう半分にシンが出て来た。
「そんなこともわからねえのかよ、このメスザル」
「何ィ、猿だとお!?」
またシンが言わなくていいことを言った。
「貴様!よりによって!」
「ケバブにはタバスコに決まってるだろうが!」
シンの意見であった。
「チリソースなんて邪道だ!」
「それは同意だけれどねえ」
バルトフェルドはそれは納得する。
「しかしタバスコというのもどうにも」
「御前みたいな味のわからない奴が国家元首かよ!」
「私はグルメだ!」
カガリはそう反論する。
「御前みたいにステラやマユの手料理だけで充分な奴とは!」
「ステラもマユも料理は天才的だ!」
完全にシンの主観による言葉だ。
「御前のガサツな料理と一緒にするな!」
「私だってな!」
二人はモニターで喧嘩をしていた。シロー達はそれを呆然として見ている。
「あいつ等どうやって喧嘩しているんだ?」
「乗っている船は違うのによくもまあ」
見ればカガリの背景はクサナギの艦橋だ。シンはミネルバである。二人はそこから互いをけなし合っているのだ。実に奇妙な光景であった。
「ちゃんと料理はできるぞ!」
「だったらいいんだけれどねえ」
「全くです」
そのカガリの後ろからユウナとキサカがぼやく。トダカも一緒だ。
「せめて女の子らしく育って欲しかったです」
「御前等!!」
カガリはその三人の方を振り向いて叫ぶ。
「せめてフォローはしろ!」
「いや、嘘はいけないし」
「そうです」
こんな時だけは正直な三人であった。
「ですからここは抑えてだね」
「もう少し国家元首としての」
「くっ」
それを出されては黙るしかないカガリであった。
「わかった」
「それでね、シン君」
「君もだね」
ユウナとトダカがシンにも注意する。
「もう少し大人になって」
「確かにカガリ様の料理はあれだが」
「まだ言うのね。それ」
タリアがシンの後ろで呆れていた。
「そんなにまずいの」
「少なくとも外見は」
アーサーがそうコメントする。
「かなりのものです」
「それでも食べられるのね」
「最近は」
「けれど酷いのは事実だろ?」
シンもシンで言う。
「あんなとんでもないものよお。そりゃクスハのジュースに比べたら」
「美味しいじゃないですか」
アズラエルが参戦してきた。
「僕はクスハ君のジュースをいつも楽しみにしているんですがね」
「あんた、本当に普通の人間なんだろうな」
シンはアズラエルにも突っ込みを入れた。
「前から凄い気になっていたんだが」
「普通ですが」
「そうか?」
カガリもそれには甚だ懐疑的であった。
「本当にニュータイプとかSEEDとかじゃないよな」
「いえ、全然」
少なくとも本人はそうコメントする。
「言っておきますが強化されてもいませんし超能力もありませんよ」
「そうなのか?」
「怪しいな」
カガリもシンもそれは信じてはいない。
「そういえばラクスさん」
「はい」
ラクスはにこやかにアズラエルに応える。
「また貴女の手料理を」
「喜んで」
「ううむ」
コーディネイターのバルトフェルドも今回ばかりは言葉がなかった。
「ひょっとしたら案外人が人を超えるっていうのは簡単かも知れないねえ」
「同感ですね」
シローが彼に答える。
「あの料理を好き好んで食べられるなんて」
「俺もあれだけは駄目だ」
凱が来ていた。真顔で述べる。
「サイボーグだった時でもな」
「そうなのですか、隊長」
ボルフォッグもいた。彼の言葉に顔を向ける。
「倒れた」
「私もです」
「おい、ロボットもって」
「何だよ、それ」
サンダースとミケルはそれに大いに驚く。
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