第二話 激戦のプレリュードその三
「ほら、言ってる側から」
エマがここで注意を敵に向けさせる。
「来たわよ」
「よっしやああ!」
オルガがその敵達を見て喜びの声をあげる。
「まとめて消し飛ばしてやるぜ!」
「さあ来るんだよ!」
クロトはその好戦性を剥き出しにしていた。
「どいつもこいつもさあ!」
「前にいるなら」
シャニもその目を血走らせている。
「死ね」
「それにしても」
エマは早速血気にはやる彼等を見て言う。
「彼等って戦えればそれでいいのね」
「そうかも知れませんね」
カミーユがそれに頷く。
「彼等を見ていると」
「まあそれでも頼りにはなるわ」
だがそれは事実であった。
「その型破りの戦闘力はね」
「はい」
「カミーユもよ」
そのうえでカミーユにも言う。彼は言うまでもなくロンド=ベルのエースの一人だ。
「今回も頼むわね」
「やるだけはやります」
いささか謙虚にも取れる言葉であった。
「それでいいですよね」
「ええ、それで御願いするわ」
こうしてカミーユもメガランチャーを派手に放つことになった。東京湾での戦いではロンド=ベルは防御に徹することになった。
これは成功だった。それにより彼等は敵を抑え東京への侵入を許さなかった。後方で指揮を採るウィガジはそれを見て断を下すのであった。
「頃合だな」
「司令、それでは」
「うむ、撤退だ」
そう部下達に告げる。
「新たな戦闘データは手に入ったな」
「はい」
部下の一人が彼に答えた。
「それは御安心下さい」
「前の戦いよりも精密なデータが」
「ならいい」
その報告に満足して頷く。
「それではな」
「はっ」
「それでは」
「脱出ポッドを回収して全機撤収だ」
彼はそう指示を出す。
「いいな」
「了解」
「わかりました」
皆それに頷く。そうして速やかに撤退するのであった。
撤退自体はあっという間であった。東京湾から離れていく。ロンド=ベルの面々はそれを見送るだけであった。積極的に追おうとはしなかった。
「また腕試しだったのかね」
勝平は消えていく彼等を見てこう言った。
「何かしみったれた奴等だな」
「慎重と言った方がいい」
そんな彼に宇宙太が言。
「敵を知り己を知らばというだろう?」
「!?何だその言葉」
勝平がそんな言葉を知る由もない。
「はじめて聞いたけれどよ」
「中国の言葉よ」
恵子が呆れた声で彼に突っ込みを入れる。
「相手も自分も知ればそれで戦争をしても間違いはないってことよ」
「何だ、そういう意味かよ」
「御前これいつも聞いてないか?」
宇宙太も呆れる顔で彼に問う。
「何で知らないんだよ」
「悪い悪い」
悪いとは思っていない。
「今覚えたからよ、安心してくれ」
「ホントかしら」
恵子はそれを察して首を捻る。
「けれど頼むわよ。こっちを調べてきてるんだから」
「弱点を衝かれるってことか」
「その通りだ」
宇宙太はその言葉に頷く。
「だからだ。いいな」
「ああ、それならわかったぜ」
こう言うとわかるのだった。
「それじゃあよ」
「けれど。インスペクターよね」
恵子はそこに注目する。
「どうにもこうにも。敵が減らないわね」
「そうだな。ただガイゾックみたいに無差別に攻撃をする相手でもないようだな」
宇宙太はそれを冷静に見抜いていた。
「それだけは安心していいな」
「そうね。人間爆弾なんかはないみたい」
「ああ、インスペクターもゲストもそれはないよ」
エイジが三人に言ってきた。
「彼等は一般市民を巻き込む戦いはしないんだ」
「そうですか、よかった」
恵子はそれを聞いて安心した。
「そんな相手ってやっぱり嫌ですからね」
「ただしだ」
だがここでエイジの顔が曇った。
「バルマー外宇宙方面軍、そしてその主力であるグラドス軍は違う」
「というとつまり」
「そうだ、彼等はむしろ一般市民を攻撃対象とするんだ」
そう勝平にも答える。
「だから。戦う時には気をつけてくれ」
「随分と嫌な奴等だね」
沙羅はエイジの今の言葉に顔を顰めさせた。
「あのユーゼス=ゴッツォを思い出すよ」
「そうだな」
亮は沙羅のその言葉に頷いた。
「正直戦いたくはない相手だ」
「けれどそいつ等も来るんだよね」
雅人は沙羅に比べると少し弱気な感じだった。
「だとしたらこれからは」
「簡単な話だ」
しかし忍はいつもの調子であった。
「来やがったら全員ぶっ殺す。それだけだ」
「ああ、その通りだ」
エイジの答える顔は微妙に影がさしていた。
「グラドス人は間違っている。自分達こそが偉いと思っているから。十二支族の誇りが彼等を間違った方向に進ませているんだ」
「そうか」
「そうなんだ。だから彼等は」
「けれどよ」
忍は苦い顔をするエイジに問うてきた。
「あんた、そのグラドス人だったよな」
「うん、その通りさ」
苦い顔で彼に言葉を返す。
「地球人とのハーフだ。僕はそんなグラドスに嫌気がさして」
「ここに来たってわけか」
「彼等はバルマーの中でも特に憎まれている」
それも道理であった。高慢で居丈高ならば自然とそうなる。
「彼等がそれに気付いてくれればいいんだけれど」
「少なくともあんたは気付いたよな」
「ああ」
忍の言葉に頷く。
「誰かなんて関係ねえよ。気付くか気付かないかだ」
彼にとってはそうだった。
「それだけのことさ」
「有り難う」
「礼なんていいさ。ところで御呼びだぜ」
「あっ、うん」
また忍の言葉に応える。
「帰還だ。まあ戦艦の中でゆっくり話そうぜ」
「わかったよ。それじゃあ」
こうして戦争を終えたロンド=ベルは一旦は戦争から心を離した。しかしそれはほんの一瞬に過ぎなかった。また一つ勢力が現われたからであった。
「えっ!?」
「まさか」
それを聞いて誰もが驚いた。それは当然のことであった。
「邪魔大王国が」
「まさか」
「だがそのまさかだ」
大文字が驚く一同に説明する。
「今報告が入った。また九州に再び姿を現わしたのだ」
「九州に!?」
「じゃああのヒミカがまた」
「いや」
しかし彼は宙のその言葉には首を横に振った。
「女王ヒミカも三将軍も存在してはいない」
「では一体」
ククルが大文字に問うてきた。
「何者が」
「それについてだが」
突如としてモニターが開いた。そこに司馬博士のコンピューターが現われる。
「父さん!」
「宙、大変なことがわかった」
彼はそう息子に告げてきた。
「大変なこと!?」
「そうだ、銅鐸に書かれていた恐怖の王者だが」
「闇の帝王じゃなかったのか」
「違う。また別の存在だったのだ」
司馬博士はそう息子に語る。
「それは竜魔帝王」
「竜魔帝王!?」
「それこそが真の恐怖の王者だった。今それが復活したのだ」
「そんな、それじゃあ」
宙はそれを聞いて言う。
「また地底の勢力が」
「そうだ。そしてどうやら他にも地底の勢力がいるようだ」
「何っ!?」
皆大文字のその言葉にまた驚きの声をあげる。
「まだ地底の勢力が」
「それは一体」
「詳しいことはまだわかってはいない」
一旦そう区切る。だがさらに言うのだった。
「しかしだ。彼等は既に動きをはじめた」
「では一体何処に」
「既に東京にまで迫ろうとしているらしい。諸君等には悪いが」
「おっと、そっから先は言う必要はないぜ」
宙が言ってきた。
「こっちだってそれが仕事なんだからな」
「そうか、済まないな」
「何、じゃあこっから迎撃だな」
「うむ。では全軍」
「よしっ」
「じゃあ」
皆大文字の言葉に頷く。
「迎撃態勢だ」
「よしっ!」
こうして皆迎撃態勢に入る。また新たな勢力との戦いがはじまろうとしていた。
その頃阿蘇の地下深くでは。巨大な禍々しい顔の男が緑の肌をした妖しい美女を前に話をしていた。
「フローラよ」
「はっ」
フローラと名前を呼ばれたその美女は男に一礼して応えた。
「わかっております、我が主竜魔帝王よ」
「わかっているか。では任せたぞ」
「わかりました」
フローラは帝王の言葉に応えて頷いた。
「今からすぐに進撃を」
「邪魔大王国の戦力は全て手中に収めているな」
「無論です」
フローラはまた応えた。
「そちらも抜かりなく」
「ならばよい。手に入れなかったのはあのククルという女と三将軍だけか」
「あの者達は不要でしょう」
フローラは彼にそう告げた。
「どのみち」
「ふふふ、確かにな」
帝王はフローラのその言葉に笑って頷いてみせた。
「所詮は無能者共。いらぬわ」
「では今の戦力だけでよいな」
「はい。ところで」
「わかっている」
またフローラの言葉に応える。
「来ているな、鬼達が」
「はい」
今度はフローラが頷いた。
「どうされますか?」
「今はいい」
しかし彼はそれに関しては今は不問とした。
「今はな。むしろだ」
「むしろ?」
「手を組んでやってもいい」
笑ってそう述べるのだった。
「今のうちはな」
「それでは今後は」
「状況次第だ」
彼はまた言った。
「不利になればそれなりのことはする。わかったな」
「はっ、それでは」
「俺に任せていればいいのだ」
「では私は」
「そうだ。御前は俺の可愛い腹心」
笑ってそう声をかけるのであった。
「今もこれからも頼むぞ」
「わかりました。それでは」
こうして彼等の話は終わった。そうして彼等も独自の動きに入るのであった。
第二話 完
2007・5・19
小説・詩ランキング
http://www.sclear.com/s/rank.cgi?mode=r_link&id=5341
http://highmix.s26.xrea.com/robo/rank.cgi?mode=r_link&id=106
http://www.webstation.jp/syousetu/rank.cgi?mode=r_link&id=3648
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。