第十五話 血の狼煙その五
「そうです。その中核の一つがあのグラドス軍」
「だったらすぐに撃墜しないと」
フィジカはそれを聞いて動く。
「大変なことになるぞ」
「だが落ち着け」
金龍はその彼に対して言った。
「かえって焦っても何にもならん」
「すいません、隊長」
「いい。それよりもだエイジ」
あらためてエイジに問う。
「あの連中は手強いか」
「機動力に注意して下さい」
エイジはそう金龍に告げた。
「僕のレイズナー程じゃないですがSPTはかなりの機動力、とりわけ瞬発力を持っています」
「わかった」
金龍はその言葉に頷いた。
「ではな。やり方がある」
「どうするんですか?」
「奴等を集めろ」
金龍はガムリン達にそう告げた。
「そしてフォーメーションで叩くぞ」
「ダイアモンドフォースのですか」
「いいな」
あらためてガムリン達に問う。
「あれを使うぞ」
「はい」
「わかりました」
ガムリンとフィジカがそれに頷く。同じ小隊にいる柿崎はこの時は少し離れた。
「じゃあ俺はフォローってことで」
「悪いな」
金龍はその柿崎にも声をかける。
「一条大尉と組んでおいてくれ」
「了解、いや」
ここで柿崎はふと思いついた。
「俺が囮になりますよ」
「頼めるか」
「いいですよ。同じ小隊だし」
「済まないな。では頼む」
「了解。それじゃあ」
早速動きはじめた。柿崎に誘われて颯爽十機程度が集まった。
「よし、今だ!」
金龍はその集まってきたSPTを見て早速動いた。
「行くぞガムリン、フィジカ!」
「了解!」
「行きます!」
二人もすぐ動く。そうしてきりもみ回転を仕掛けながらその十機に突入し派手に攻撃を乱射する。
次に変形してガウォーク、バトロイドと次々に形を変えてミサイルにガンポッドを乱射する。僅か三機で十機を取り囲んでの攻撃だが密集している為彼等はその攻撃をとてもかわせなかった。
金龍の作戦勝ちであった。こうして彼はその言葉通りSPTを屠ったのであった。
「こういうやり方でいけばいいな」
「はい」
エイジは金龍に対して頷いた。
「御願いします」
「しかし」
ここでショウが言う。
「一般市民さえ無差別に攻撃するというのならとんでもない話だよな」
「そうよねえ」
それにチャムも頷く。
「相手だけ狙うんじゃないって」
「それがグラドスなんです」
エイジは俯いてそう述べた。
「彼等はバルマーの直系で自分達が高貴な存在と思っていますから」
「おいおい、待てよ」
それにトッドが突っ込みを入れる。
「バルマーの直系つっても結局は下にいるんだろ?」
「はい」
「じゃあ何でそれで威張れるんだよ」
「嫌な話だけれどな」
ニーがそのトッドに説明する。
「そうした方が威張るものだ、人間というのは」
「んっ、待てよ」
ここでトッドも気付いた。
「あれか。軍隊で階級をかさに着るのと同じかよ」
「まあそういうところだ」
ニーはそう答えた。
「それでわかったな」
「ああ。何かすげえ嫌な奴等だな」
その感情を抱くのは実に簡単なことであった。
「グラドスか。覚えておくぜ」
「それじゃあさ、トッド」
ここでキーンが彼に声をかける。
「何だよ」
「頼むわよ、今日も」
「どんどん叩き落してくれってことか」
「聖戦士じゃない」
都合のいい言葉ではあった。
「期待してるんだから」
「そういう御前さんだってそうだろ?」
トッドはキーンに言い返した。
「かなり強くなってるじゃねえか」
「それでもトッドには負けるわよ」
意外とお世辞も上手いキーンであった。
「だからね」
「ちっ、仕方がねえな」
そしてトッドもそれに乗る。
「じゃあ。やってやるか」
「SPTはモビルスーツに近いです」
エイジがまた忠告する。
「それを考えたら」
「じゃあ楽勝ってわけだ」
それがトッドの答えであった。
「ビーム兵器なんてよ。オーラバトラーには」
「そうよね」
リムルが頷く。
「けれど。下手に受けたら」
「下手に受けなければいいんだよ」
ここでもトッドはわかりやすかった。
「それだけさ」
「じゃあトッドさん、ここは」
エイジはここではもうトッドに任せることにした。
「御願いしますね」
「ああ」
トッドは果敢にグラドス軍に突っ込んだ。そうして右に左にオーラ斬りを放つ。それだけでグラドス軍は次々とその数を減らしていった。
「幾ら動きが早くたってなあ」
トッドはグラドス軍のSPTを切り裂きながら言う。
「こっちはもっと早いんだよ!覚えておきな!」
「やるじゃない、トッド」
チャムはそんなトッドを見て声をあげる。
「じゃあさ、ショウ」
「俺もなのか」
「当たり前でしょ、元祖聖戦士なんだから」
そういうことになっていた。
「だからここでもね」
「わかったよ。それじゃあ」
困ったような笑みを浮かべてから頷いた。まずはウィングキャリパーに変形して敵陣に一直線に突き進むのであった。
「行くぞ」
「いっけえええええええ!」
チャムがコクピットの中で叫ぶ。
「必殺のオーラ斬りだあ!」
「はあああああああっ!」
まとめて敵を両断した。それはトッドのそれに匹敵する威力であった。
ショウ達の前にはSPTも敵ではなかった。彼等の他のメンバーの活躍もあり補給部隊は無事助け出されロンド=ベルはまずはそれは確保した。しかし敵はまだ戦場に残っていたのであった。
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