第十五話 血の狼煙その四
「どうしたものか」
「ロウ=ギュール大尉」
ナタルはその中でロウに指示を出す。
「彼等と共に敵に突っ込んでくれ」
「了解。やっぱりそうなりますか」
「このままでは補給部隊にも被害が出る」
三人が補給部隊を巻き添えにして戦うことはもう予想していたのだ。
「だからだ。いいな」
「了解。けれどそれじゃあ」
「どうした?」
「部隊を二つに分けたらどうですか?」
「二つにか」
「そうですよ」
ロウはさらに提案するのであった。
「補給部隊の護衛と敵に向かって行くので。どうですか?」
「ううむ」
「そうだな」
それに頷いたのはヘンケンであった。
「言われればその方がいいな」
「ですね。じゃあ決まりです」
「バルキリーを中心とした高速機動部隊は補給部隊の護衛だ」
彼はすぐに指示を変えた。
「他は敵部隊に突入だ、いいな」
「了解っ」
「じゃあ早速」
皆それを受けて動きはじめる。動けばかなり早かった。
すぐにバルキリー達が補給部隊のところに来た。そうして群がりだしていた敵を素早く撃墜していく。
その中で。ミレーヌが敵の攻撃を受けていた。
「おい、ガルド」
それを見てすぐにイサムが相棒に声をかける。
「お姫様が危ないぜ」
「わかっている」
ガルドもそれに頷く。そうして二人でミレーヌの援護に向かった。
「あんまりお姫様を狙うってのは感心しねえぜ」
イサムはそう言いながらバルマーのマシンを次々と撃墜していく。相変わらず見事な動きを戦場において見せていた。
「違うか!?」
「その通りだ」
ガルドもその言葉に頷く。
「しかしだ」
「どうした?」
「ミレーヌだが」
ここでミレーヌの動きに注目した。
「いい動きだな」
「んっ!?そういえばそうだな」
イサムも言われてそれに気付く。見ればミレーヌは周りを完全に囲まれていたのにダメージ一つ受けてはいない。それどころか四方八方から浴びせられる攻撃を華麗な動きでかわしていたのである。まるで熟練のパイロットの様な動きで。
「それもかなりな」
「最初からそうだったな」
ガルドはミレーヌと合流した時のことを思い出して言った。
「見事なものだった」
「ミレーヌちゃんは運動神経いいぜ」
イサムはガルドにこう述べる。
「それも抜群にな。車の運転だって大したものだ」
「いや」
だがガルドはそれを聞いてもまだ言う。
「それだけではないな」
「どういうことだよ、それって」
「あれは。通常の人間の動きではない」
「何っ!?」
イサムはそれを聞いて声をあげた。敵を倒しながら。
「ミレーヌちゃんも普通じゃないっていうのかよ」
「ある意味バサラもだが」
バサラがまともではないのはもう言うまでもなかった。
「だが。彼女もまた」
「そういえばそうだな」
イサムは今も敵の攻撃をかわすミレーヌを見てガルドの言葉に応えた。
「あの動きは。ちょっとな」
「ゼントラーディかメルトランディの動きだ」
こう評した。
「あれはな」
「じゃああれか?」
イサムはそれを聞いて言う。
「御前とかレトラーデと同じか。ミリアとも」
「そうなる」
「言われてみればよ」
イサムはふと気付いた。
「ミレーヌちゃんの顔とか雰囲気な」
「ああ」
「ミリアに似ていないか?何処となく」
こう言うのだった。
「まあ姪御さんか何かだったからそれも当然なんだろうけれどな」
「そうだな。しかし」
ガルドはさらに言う。
「それ以上のものも感じる」
「もっと濃いってか」
イサムはそれを聞いて言葉を返した。
「ミレーヌちゃんとミリアは」
「俺はそう感じるが。どうかな」
「けれどよ。あの二人はまだあれだね」
イサムはまた言う。
「あんな大きな子供出来る程歳食っちゃいねえぜ」
「それは俺もわかっている」
「まあ姪御さんってことだ」
これで納得することにした。
「あのセンスもな」
「そうだな。では俺も」
「おお、そうだそうだ」
今のガルドの言葉ではたと気付いた。
「御前も真面目に参戦しろ。いいな」
「既にやっている」
その通りだ。彼も周りの敵を次々に撃墜しているのだ。
「御前よりもな」
「御前はいつも一言余計なんだよ」
「御前が言わせるからだ」
「ったくよお、無口なわりにはいつも一言多いな。まあいいさ」
話をキリのいいところで止めた。
「どんどん倒すぜ。いいな」
「うむ」
彼等はミレーヌを見事救出した。バルマー軍は次々に撃墜されていく。だがその中に見慣れないマシンがあることにも気付く者がいた。
「あのマシンは」
エイジは彼等と戦いながら声をあげた。
「グラドスの」
「どうしたんだ、エイジ君」
ガムリンが彼に声をかけてきた。
「あまり動かないでいると狙われるぞ」
「そうじゃありません、あれは」
「あれは?」
「グラドスのSPTです」
そうガムリンに述べるのであった。
「SPT!?というと」
「はい、僕やデビット達の乗っているレイズナーと同じものです」
「何っ、じゃあすると」
「はい、グラドス軍も来ました」
ガムリンに対して語る。
「遂に。つまり彼等はバルマー外宇宙方面軍」
「兄さんの軍じゃないんだ」
タケルもそれを聞いて言う。
「ということは」
「はい、バルマー軍の中でも最低最悪の軍です」
エイジは忌々しげにそう告げた。
「一般市民さえ平気で攻撃する。そうした連中です」
「とんでもない奴等だな」
金龍はそれを聞いて顔を顰めさせる。生粋の軍人でありパイロットである彼がそれを聞いて顔を顰めない筈もなかった。
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