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第十五話 血の狼煙その三
「おい、出たってさ」
 バーニィが皆に告げる。
「やっぱり」
「そうですか」
 シーブックがそれに応える。
「予想はしていましたけれど」
「何だ、冷静なんだな」
「ですから予想していましたから」
 またバーニィに応える。
「来るだろうって」
「バーニィももうスタンバイできてるでしょ?」
 クリスがバーニィに問うてきた。
「ザクは」
「ああ、もう何時でもいけるぜ」
 その通りであった。その証拠に顔が笑っていた。
「じゃあ行くか」
「ええ。総員出撃ね」
「シーブックもね」
 セシリーがシーブックに声をかける。
「予想していたんなら」
「ああ。帰ったらパンを焼いてくれないか?」
「パンを?」
「そうさ。食料も来るんだろう?」
 そうセシリーに問う。
「だったらさ。当然小麦も来るんだし」
「ええ、わかったわ」
 セシリーはシーブックの言葉ににこりと笑って頷いた。
「それじゃあ帰ったらね」
「じゃあ行くか」
 セシリーのパンと聞いて俄然元気を出した。
「わかった」
 クォヴレーが応えた。
「それじゃあな」
「じゃあクォヴレーさん」
 そこにアラドとゼオラが来る。
「一緒に」
「行きましょう」
「一緒にか」
「当然ですよ」
 アラドは笑顔を作って彼に述べる。
「俺達一緒の小隊なんですから」
「そういうことです」
 ゼオラも笑顔を作っている。
「チームプレイですから」
「ささ、ですから」
「あ、ああ」
 クォヴレーは少し怪訝な顔を浮かべて二人の言葉に頷く。
「わかった。それじゃあな」
「じゃあ一緒に」
「出撃ですね」
「それにしてもな」
 シローはそんな彼等をみて首を少し傾げさせていた。
「あまり演技が上手くないんだな」
「アラド君とゼオラちゃんのこと?」
「ああ」
 アイナの言葉に頷く。
「はっきりわかるよ、俺でも」
「ふふふ、そうね」
 アイナはそんな二人を見て笑っていた。
「私にもわかるわ、それは」
「正直あの二人には」
 そのうえでまた言う。
「ああした任務はどうかな」
「そうかもね。けれど」
 そのうえでクォブレーを見ていた。
「彼等のあの雰囲気にクォヴレー君も馴れてきたみたいよ」
「馴れて?」
「ええ。そこからロンド=ベルにも」
 こうも言う。
「馴れてきたんじゃないかしら」
「そうかな」
 シローはアイナの言葉を聞いてからまたクォヴレーを見た。彼の目からはそうは見えない。
「俺はそうは思わないけれどな」
「それでも。わかったことがあるわ」
「それは何だい?」
「少なくとも彼はバルマーのスパイじゃないわ」
 アイナはそれは感じ取っていた。
「それはね。わかるわよね」
「ああ、それは一応」
 シローもそれなりに鋭い。だからこそそれは感じ取っていた。
「わかる、俺にも」
「わかってくれていたらいいわ。だから」
「信頼していいんだな」
「それは今からの戦いでもわかるわ」
 穏やかな笑みと共に述べた。
「彼を見ていればね」
「よし、じゃあ後ろは安心して行くか」
「シローの後ろはいつも大丈夫よ」
 アイナはその笑みでまた述べた。
「それは何故なんだ?」
「だって、いつも私がいるから」
 そういうことであった。
「だからよ」
「そうか。それじゃあ」
「任せてね。それで二人で」
「ああ、戦おう」
 二人は二人でそのムードの仲にいた。そうして互いを気遣いながら戦いに向かうのであった。
 補給部隊はゲート付近で敵の攻撃を受けていた。そこにいたのはやはりバルマーのマシン達であった。
「やっぱりそうかよ」
「予想通りとはいえね」
「何かありきたりに思えるよ」
 サンダースとカレン、ミゲルはそれぞれ述べる。
「それで艦長」
 シローはヘンケンに尋ねた。
「これからどうしますか?」
「まずは総員補給部隊の方に向かう」
 彼は救援を優先させることにしたのだ。
「そして彼等を保護して」
「そこから敵の迎撃ですね」
「うむ、そうしよう」
 そうシローに告げた。
「それでいいな」
「わかりました。じゃあ今から」
「向かうぞ。総員それでいいな」
「了解」
「勿論です」
 皆それに頷く。
「それじゃあ」
「ただしだ」
 ここでヘンケンはまた言う。
「敵と一緒に味方まで撃つことはないようにな」
「そんなのいるのかよ」
「いるじゃないか」
「そうそう」
 カレンとミゲルはサンダースに突っ込みを入れる。
「それも三人もね」
「どうしたものやら」
「ああ、わかった」
 サンダースもそこまで聞いて理解した。そして彼等を見る。彼等を見ているのはサンダースだけではない。当人達もそれに気付いていた。
「何だよ、俺達かよ」
「不服だね、それって」
「心外だ」
 オルガ、クロト、シャニである。ここでも問題児扱いされる三人であった。
「仕方ないだろ」
 そんな彼等にエレドアが言う。
「あんた達は今までが今までだしな」
「おいおい、戦争だぜ」
 オルガは当然わかっていなかった。
「派手にやらないと駄目だろうが」
「そうだよ」
 クロトも勿論である。
「抹殺しまくらないとね」
「消す」
 そうなれば最後の一人もわかっていないのも当然であった。
「それだけだ」
「全く。仕方のない奴等だ」
 ヘンケンは口ではこう言うが特に困った様子はなかった。
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