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第十四話 虚空からの転生その五
「ここは他の設備も整っていますし」
「そうなんだよな」
 マサキがそれを聞いてぼやく。
「ここが一番いいんだよな。整備だってな」
 それは当然であった。ゼダンはティターンズが拠点とした一大軍事拠点である。ア=バオア=クーだけでなくルナツーまで置いておりその設備の充実は連邦軍の基地の中でも屈指だ。だから彼等も今ここにいるのだ。
「ここ以外にはなあ」
「一応補給を頼んでおく?」
 シモーヌが提案してきた。
「グローバル艦長に頼んで」
「そうだな」
 マサキはそれに頷いた。
「やっぱりそれだろ」
「わかったわ。じゃあそれでね」
「ああ」
 こうして補給を頼むことになった。その間彼等は特に軍事行動をしないことになった。その間にもすることもあった。
「そう。問題はないのね」
「ああ」
 アイビスはスレイの言葉を聞いていた。
「検査の結果は。何もなかった」
「ただの記憶喪失か」
「間違いないらしいぞ」
 スレイはまたアイビスに告げる。
「赤木博士とサコンが調べた結果だ」
「スパイじゃないのか、あいつは」
「そうみたいね」
 ツグミがそれに頷く。
「まずは一安心ね」
「そうだな。けれど」
 それでも疑念は完全には消えていなかった。
「まだあるな」
「そうだ」
 スレイもそこを指摘する。
「あの男の機体も。全て謎だ」
「あれは。一体何なんだ」
 クォヴレーの乗る機体だ。正体は依然不明のままだったのだ。
「見たこともない。けれど」
「何処かで見た」
「それはわからない」
 三人はそれぞれ述べる。
「不思議なことにな」
「クォヴレーだってそうだよ」
 アイビスはクォヴレーについても言及した。
「いきなり出て来て。何者だ?」
「スパイじゃないってわかっても」
「素性はわからないままだ」
 ツグミもスレイも言う。そうなのだ。
「しかもゲートから来たんだよね」
「うむ」
 スレイはまたアイビスに告げる。
「エクセリヲンと同じだ」
「考えたくはないけれどそれは」
「バルマーね」
 ツグミは言いにくいことをあえて口にしてみせた。
「一番考えられるのは」
「というかそれしかないんだよ」
 アイビスもはっきりと述べた。
「考えられるのはね」
「少なくとも宇宙怪獣ではない」
 スレイはあえて当然のことを述べた。
「あれはな」
「バルマーっていったらエイジもそうだけれどね」
「エイジさんはまた別の系統だし」
「全く何もわからないままか」
「あれだろ?」
 アイビスは二人に言った。
「今はあいつにはアラドとゼオラがついているんだったな」
「ええ、そうよ」 
 ツグミが答えた。
「内緒だけれど監視役も兼ねて」
「そうか、果たしてどうなるかな」
「まだ敵という可能性もある」
 スレイもまた言いにくいことをあえて言う。
「まだ、な」
「それで済んだらいいかも知れないしね」
 アイビスはふと悪い予感を感じた。
「それで済んだらって?」
「ああ。ひょっとしたらだよ」
 アイビスはツグミに応えてその悪い予感を言うのだった。
「もっと。とんでもないことがあるかも知れないんだ」
「とんでもないことって」
「ガンエデンさ」
 それであった。彼女達も戦った神である。
「あれと関わりがあるんじゃないかって思ってね」
「馬鹿な」
 だがスレイはその可能性を否定した。
「ガンエデンは滅んだ。イルイも普通の女の子になった」
「それはそうだけれどね」
「それでまた復活する筈がない」
「だよね。考え過ぎか」
「そうだ。これ以上考えても煮詰まるだけだ」
 スレイはそう結論付けた。
「ここは休もう。何処かに行くか」
「一杯やる?」
 ツグミがこう提案してきた。
「ウイスキーあるし」
「いいね」
「そうだな」
 二人もそれに乗ってきた。
「じゃあそれで」
「ブランデーもあるぞ」
 スレイも酒を出してきた。
「あたしはこれさ」
 アイビスもボトルを出してきた。
「ウォッカさ」
「強いのね、アイビスも」
「だから好きなんだよ」
 楽しげに笑いながら述べる。
「飲むのはね。それじゃあ」
「うむ、三人でな」
「楽しくね」
 三人はそのまま一杯やりだした。一杯どころではなかったが。とりあえず三人の絆は健在であった。
 アラドとゼオラは。ずっとクォヴレーを見ていた。
「やっぱりね」
「ああ」
 そのうえで二人でこっそりと話をしていた。
「普段の生活にもおかしなところはないし」
「少食なだけだよな」 
 これはアラドの基準であった。
「あれだけしか食べないなんてな」
「あんたが食べ過ぎるの」
「あれっ、そうかな」
「そうかなってね」
 ゼオラは怒った声になった。
「いつも丼で五杯じゃないの。甲児さん並に食べて」
「そうだったのか」
「そうよ」
 むくれた感じで言う。
「御飯を炊くのが大変なんだから」
「悪い悪い」
「それはそうとして」
 話を戻しにかかってきた。
「クォヴレーさんはまだ注意が必要ね」
「そうなるのか」
「ええ。まだね」
 警戒する目になっていた。
「もう暫く見ておきましょう」
「ああ、わかった」
 二人はそう話をした。こうしてクォヴレーの参加と彼への監視が続けられた。だが話ははじまったばかりであった。それがどうなるのかもまだわかってはいなかった。


第十四話   完


                   2007・10・6
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