第十四話 虚空からの転生その二
「御前か」
「!?」
赤いマシンに乗る男は堕天使の言葉に目を瞠った。
「俺が。どうしたんだ!?」
「御前が俺になるのだ」
堕天使はそれに応えない。代わりにこう言うだけだった。
「だからこそここにいる」
「何を言っている」
赤いマシンの男には彼の言葉の意味はわからなかった。
「そもそも御前は」
「話す必要はない」
やはり答えようとはしない。
「それもいずれわかることだからな。だから」
「だから?」
「俺になれ」
また間合いを詰めてきた。
「今から」
「何を言っているんだ、だから」
「詳しく話す時間もない」
そのまま赤いマシンに攻撃を浴びせる。
「そして。御前しかいないのだ」
怯んだところで突進しぶつかった。すると赤いマシンと堕天使が融合したのだった。後には暗褐色の機体がそこにあった。中には薄紫の髪の少年がいた。
「俺は一体」
彼はまず自分が何者かを考えた。だが答えは出ない。
わかっているのは名前だけだった。それは。
「クォヴレー=ゴードン」
それだけであった。他には何もわからない。
そこに何かがゲートから来た。見れば無数の小型マシンであった。
「敵か!?」
不意にそう思って攻撃を浴びせる。それが全てのはじまりであった。
攻撃を浴びせると向こうも反撃を返してきた。クォヴレーはその攻撃をかわしながらまた攻撃を繰り出す。そうして戦いに入るのであった。
戦いの報告はすぐにロンド=ベルにも伝わった。彼等はゼダンから急いでゲートのところまで来たのであった。
「ゲートが開いたと思えば」
「やはりな」
彼等はそこにバルマーのマシンを見て言うのだった。
「バルマーか!」
「それを使ってまた地球に!」
「総員戦闘配置!」
シナプスから指示が下る。
「すぐに迎撃にあたれ。いいな!」
「了解。ですが艦長」
ヘイトがここで言う。
「どうした?」
「既に戦闘がはじまっていますが」
「そうですね」
アデルがそれに応える。
「何かいますよ」
「あれは何なんだ?」
シナプスが声をあげる。彼の知らないマシンであった。
「やけに暗い色のやつだな、おい」
「少なくとも連邦軍のものではないな」
バニングが述べる。
「あのマシンは」
「ザフトでもないわね」
タリアが言った。
「あんなマシンは」
「地球のどのマシンでもないみたいだね」
今度はユウナが言った。そういうことのデータに関しては彼は他者の追随を許さない。
「どうやら」
「じゃああれは」
「まさか」
「いや、どうも違うな」
真吾が皆に言うのだった。
「バルマーとも違うようだな」
「そうよね。だったら戦わないし」
レミーもそれに気付く。
「それはないみたいね」
「それじゃあ味方ってことかい?」
キリーはそう問うた。
「あの変わったマシンは」
「演技ということも考えられるが」
真吾は一応はそれも考えた。
「けれど困っているみたいだし」
「その困っている相手を助けるのがヒーローよね」
「まっ、後で騙されるのもそうだけれどな」
「騙されたらその時はその時だ」
真吾は言った。
「とりあえず助けよう。それでいいな」
「了解っ」
「それじゃあまあ」
まず最初に動いたのはゴーショーグンであった。皆それに続く。
戦いは敵の数がバルマーにしては少なく、また無人機ばかりだったので呆気なくカタがついた。アラドとゼオラはその中でクォヴレーに近付く。
「あのさ」
「クォヴレーさんですよね」
「ああ」
クォヴレーもその二人に応える。
「そうだ。わかっているのはそれだけだ」
「それだけって」
「貴方は誰なんですか?」
「それがわからない」
思いも寄らぬ返事であった。
「俺自身にもな」
「記憶喪失なのか?」
「そうみたいね」
二人は彼の話を聞いてそう判断した。
「だとしたら厄介だな」
「そうね。ただ」
ゼオラはここでもう一つの可能性を危惧した。
「ひょっとしたら」
「ひょっとしたら。何かあんのか?」
「それは後でね」
アラドの方にだけ通信を入れて囁いた。
「いいわね」
「ああ、何かわからないけどわかったぜ」
そう返事を返した。
「それじゃあ後でな」
「ええ」
とりあえず話はここで中断した。そして戦いに戻る。クォヴレーの戦闘はかなり素早くかつ的確であり非凡なものがあった。トウマもそれを見て唸る。
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