第十三話 ゲートその六
「というか何が何だか」
トールはラビアンローズに戻るとすぐにこうぼやいた。
「エクセリヲンってあの戦いで沈んだ筈なのに」
「そう、それ」
カズイもそれに相槌を打つ。
「トールみたいにね」
「俺は生きていたんだって」
トールはそう主張する。
「あの時は脱出して」
「あの時は本当に死んだと思ったわよ」
ミリアリアが横から言う。
「心配したんだから」
「御免御免。けれどエクセリヲンは違うだろう?」
「そうだな」
やっとサイが真面目に話をしだした。
「宇宙怪獣との戦いでブラックホールとなった筈なんだが」
「じゃあよお」
ディアッカはあることに気付いた。
「あの宇宙怪獣も実は死んでねえってことか?」
「おい、そりゃマジで洒落にならねえぞ」
それを聞いてジュドーが声をあげる。
「またあんな数を相手にするのかよ」
「そういえばジュドー君達はあの戦いに参加していましたね」
ニコルはふとそこに気付いた。
「かなりの激戦だったそうですが」
「激戦なんてものじゃなかったわよ」
エルがそう言う。
「次から次に出て来て」
「そんなにか」
イザークも今一つ実感が湧かなかった。
「数が多いとは聞いていたが」
「多いなんてものじゃなくてよ」
「そうそう」
ビーチャとモンドが彼に説明する。
「それこそ宇宙が見えねえんだよ」
「大変だったんだからさ」
「で、そんなのが来るんだね」
トールはふとした感じで言う。
「・・・・・・大変なんてもんじゃないよな」
「いや、普通に死ぬから」
イーノが彼に突っ込みを入れた。
「実際に死ぬかと思ったし」
「またトール死ぬのか」
「俺だけじゃないぞ、それって」
トールはカズイに突っ込みを入れる。
「皆死ぬじゃないか、それだと」
「そうか」
「そうかじゃないだろ。宇宙怪獣なんて本当に来たら」
「けれど何時かは絶対に来るわよ」
ミリアリアはさりげなく誰も見たくない現実を口にした。
「間違いなく」
「だからそれは言わない約束でしょ」
ルーが突っ込みを入れる。
「考えたくないし」
「けれどミリィの言う通りだな」
サイは理知的に述べる。
「宇宙怪獣が太陽系に迫っているのは事実だしな」
「じゃあ倒すだけだ」
シンは相変わらず強気だった。
「それだけだ。簡単なことだ」
「確かにそうですね」
フィリスはシンのその言葉に頷いた。
「彼等の場合は倒さないと私達が滅んでしまいますし」
「生きるか死ぬか」
エルフィもそれを言う。
「それだけね」
「だとしたら確かに簡単だね」
ジャックは二人の言葉を聞いてこう述べた。
「戦うしかないんだから」
「それでだ」
ミゲルはここで問うた。
「あのゲートから宇宙怪獣は実際に来そうなのか?」
「来ると考えた方がいいが」
アスランはあえて最悪の仮定を出した。
「実際はどうなのか」
「じゃああんた行ってね」
フレイはさりげなく酷いことを言う。
「いざという時は」
「俺一人でか?」
「まさか」
流石にそれはなかった。
「皆と一緒よ、その時は」
「ならいいが」
「そうじゃなかったらあんたでも辛いでしょ?」
「否定はしない」
真面目に告げる。
「億単位の数だっていうから」
「億、か」
さしものハイネの顔も曇る。
「尋常じゃないな」
「バルマーでもそんなに多くないですよね」
シホが呟く。
「今までそんな数の相手と戦ったことは」
「あったら怖いぞ」
カガリがシホに突っ込みを入れる。
「精々万単位にして欲しいものだ」
「ところがそうはいかないんだ」
コウがカガリに告げた。
「本当にそれだけの数が来るから」
「覚悟はしておいて」
クェスも言う。
「大変なのはね」
「あとバルマーもいるし」
キラは彼等のことも考えていた。
「大変な戦いになるね、宇宙でも」
「いや、諸君」
あれこれと話す若者達のところにそのタシロが来た。
「艦長」
「本当にタシロ艦長ですね」
「他の誰に見えるんだい?」
まだ驚きを隠せない彼等に笑って言葉を返した。
「私は私だ。ちゃんと生きているぞ」
「そうですよね」
「けれど」
「それに宇宙海獣達もいない」
「いないんですか」
「そうだ」
そう彼等に告げる。
「あの爆発で全部消えてしまっている」
「じゃあどうしてエクセリヲンが」
「ここに」
「それが私にもよくわからないのだ」
タシロは首を捻ってこう述べた。
「あの時確かに死んだと思ったのだがな」
「そりゃそうですよね」
チャックがそれを聞いて言う。
「ブラックホールになったんですから」
「だがこうして生きている」
それはもう確かなことだった。だからこそ余計に不思議なのだ。
「それはわかるな」
「ええ」
「よく」
皆もそれに頷く。
「そして私は連邦軍に復帰することが決定した」
「連邦軍にですか」
「そうだ。ガンバスターやブリタイ艦隊と同じく太陽系外周の防衛任務につく」
ノリコ達は今そちらにいる。だからロンド=ベルにはいないのだ。これはこれでかなり過酷な任務であった。しかも孤独である。だがそれでもノリコ、カズミ、ユングの三人は笑顔で任務に就いているのである。
「今からな」
「そうですか」
「じゃあまたお別れですね」
「おいおい、といってもだ」
悲しそうな顔になった若者達に対して言う。
「一生の別れではないぞ」
「けれど」
「また会おう」
笑顔で彼等に告げるタシロであった。
「いいな」
「わかりました。それじゃあ」
「それでだ」
タシロはまた言った。
「あのゲートだが」
「あれですね」
ここでキラの目が動いた。
「あれは何なんでしょう」
「出入り口みたいですけれど」
「そうよね」
アサギとマユラはそう見ていた。
「だとしたら誰があそこに置いたの?」
ジュリはそこを言う。
「そうだ。それが問題だ」
カガリもそこを指摘する。
「誰なんだ。あれをここに持って来たのは」
「バルマーの奴等じゃないの?」
ルナマリアはただ単に勘で言っただけだった。
「あいつ等だったらやりそうじゃない」
「そうだな」
それにレイが頷く。
「一番考えられるのはそれか」
「だったらかなり危険じゃない」
メイリンはバルマーと聞いて言う。
「あそこからバルマーの奴等が一杯来たら」
「じゃあ片っ端から叩き潰してやる」
シンはもう戦闘態勢に入っていた。
「バルマーの奴等が来るんならな」
「それはそれでいいけれどさ」
プルがその彼に突っ込みを入れる。
「あれがあるとバルマーがどんどん来るんでしょ」
「壊さないと駄目じゃないのか?」
プルツーも続く。
「それだと」
「そうだね。そうしないと無駄な被害が出るね」
キラは二人のその言葉に頷いた。
「やっぱり」
「そうだな。何はともあれ今は調べよう」
コウが言った。
「まずはあのゲートを」
「じゃあまだ当分宇宙での戦いはなしか」
バーニィはコウのその言葉を聞いて呟いた。
「それよりもやっぱり」
「まずは調査ね」
クリスが告げた。
「それから動いた方がいいわ」
「そういうことだ。では諸君そのようにな」
「了解」
「わかりました」
皆タシロの言葉に頷く。タシロは帰って来たがそれと共に大きな謎もやって来た。皆そのことに頭を悩めるようになったのであった。
第十三話 完
2007・10・2
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