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第十二話 龍を喰らうものその五
「それで充分だろう?」
「うう・・・・・・」
「あの人造神はいなくなったけれど僕と真龍王機は本来の正義を遂行させてもらうよ」
「その正義とは?」
 今度はレーツェルが孫に問うた。
「何なのだ?」
「さてね」
 その質問にも答えない。楽しんでいるように。
「ただ」
「ただ?」
「真龍王機は龍王機と虎王機にちょっとした恨みがあってね。少し暴れさせてもらうよ」
「まさか」
「危ないクスハ!」
 虎龍機の周りを雷が襲う。
「きゃあっ!」
「早くコクピットの中に!」
「え、ええ!」
 クスハは慌ててコクピットの中に入る。間一髪であった。
「おやおや」
 孫はクスハが何とか逃げ延びたのを見てまた楽しそうに声をあげるのだった。
「運がいいって言うべきかね。これはまた」
「貴様っ!」
 ブリットはそんな彼を見据えて叫ぶ。
「武器を持たない相手を!」
「それがどうかしたのかな」
 ブリットの言葉に平然とうそぶく。
「何っ!?」
「敵は機会を見て倒す」
 平然とした口ぶりだった。
「それが僕の流儀でね。この落雷だって」
「くっ、また!」
「ブリット君!」
 クスハが叫ぶ。
「このままだと」
「わかってる。けれど」
 落雷はかわすしかない。苦い決断をしようとしたその時だった。
「喝っ!」
 ゼンガーが気を放った。それで。
「嘘・・・・・・」
「落雷が止んだ」
 これには驚きを隠せない二人だった。
「気迫だけでそんなことができるなんて」
「流石はゼンガーさん」
「へえ、感服感服」
 だが孫の調子は相変わらずであった。
「念者でもないのに気合で真龍王機を圧倒するとはね」
「大したことではない」
 ゼンガーは孫を見据えて答える。
「この程度はな」
「おや。へえ」
 孫はまたおかしそうな声をあげてきた。
「真龍王機が言っているよ」
「何とだ?」
「君に良く似た男を知っているってね」
「そうか」
「それに」
 今度はレーツェルを見て言う。
「君もね。もっともそちらの場合は女性みたいだけれど」
「思い出話がしたいなら自室のリビングでしていてもらおう」
 レーツェルは感情を押し殺して孫に告げた。
「一人でな」
「貴様の言う正義が何を意味するかは知らぬ」
 ゼンガーがまた言う。
「だが過去の恨みから他人を傷つける様、それは邪悪以外の何物でもない!」
「邪悪かい、僕が」
「そうだ!」
 毅然とした言葉だった。
「私怨を入れるのが何よりの証拠!邪悪とはこのことだ!」
「じゃあその邪悪をどうするんだい?」
「決まっている!」
 ゼンガーはまた言う。
「断つ!」
「そしてあれかい?」
 孫の声がシニカルなものになった。その顔もまた。
「この星を襲う侵略者と戦うのかな」
「そうよ!」
 今度はクスハが答えた。
「それが私達の正義ですから!」
「正義、ねえ」
 孫はその言葉を聞いてまたシニカルに笑うのだった。
「まずは立派だね」
「それだけか?」
「いいや」
 余裕を見せてレーツェルに返す。
「その盲目的なまでに狭い了見でも正義感」
 こう評してきたのが何よりの証拠だった。
「君達は確かにあの超機人の選びし者だ」
「黙れ!」
 ブリットはその言葉を頭から否定した。
「貴様の正義が何であろうと俺達は俺達の正義を貫く!」
「そういうのは無意味なんだよ」
 しかしそれでも孫の馬鹿にしきった態度は変わらない。
「僕にはね」
「貴方には」
「そうさ」
 またクスハに答える。
「古の記憶に触れた僕にはね」
「古の記憶!?」
「何のことだ!?」
 クスハとブリットはその言葉に首を傾げる。だが孫はそんな二人に対して言い捨てるのだった。
「話はここまでだ。まずは手合わせていこうか」
「どうやらこれ以上の話し合いは無駄なようだな」
「そうだね」
 孫もレーツェルに対して言葉を返す。
「僕ももう話すつもりはないよ」
「では・・・・・・参る!」
 ゼンガ^が構えを取ってきた。
「今ここで!」
「でははじめよう」
 孫はそれを受けて楽しそうに声をあげた。
「新たなショーを」
「ショーだと!?」
「そうじゃないのかい?」
 楽しそうな声のままブリットにまた告げてみせた。
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