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第十二話 龍を喰らうものその三
 レーツェルが超人的なタフネスを見せ付けていたその頃。ブリットとゼンガーは修業に明け暮れていた。レーツェルの言う通り。
「さあ来いブルックリン!」
 ゼンガーが彼に声をかける。二人はもうそれぞれのマシンに乗っていた。
「はいっ!」
 ブリットはそれに応えゼンガーへ突き進む。だが。
 その足元を剣で薙ぎ払われた。
「うわっ!」
「踏み込みが甘い!」
 足に攻撃を受け後ろに退く。ゼンガーはその彼に対してまた言う。
「いいか、訓練だと思うな!」
「はい!」
「これが実戦だったならば御前はそれで終わりだ!」
「は、はい!」
「だが。筋はいい」
 ゼンガーはこうも言うのだった。
「それは認めよう」
「有り難うございます」
「そして今日は既にかなりの修練を積んだ」
 そしてまた述べた。
「そろそろ仕上げに入るぞ」
「仕上げですか」
「そうだ、この俺から一本取ってみろ」
「えっ!?」
 この言葉にはブリットも絶句した。
「ゼンガーさんから。俺が」
「そうだ!」
 ゼンガーはまたブリットに対して言う。
「この俺からだ!いいな!」
「一本を」
「どうした!」
 ブリットの声が小さくなったのを見てまた叫ぶ。
「聞こえんぞブルックリン!」
「わかりました!」
「わかったならば来い!」
 ゼンガーはまた叫ぶ。
「いいな!」
「はい!じゃあ!」
 ブリットは気合を溜める。そうして気力を充実させるのだった。
「はあああああ・・・・・・」
「そうだ、その調子だ」
 気合を溜めるブリットに対して言う。
「そこまではいい。だが」
「行きます!」
「基礎も気迫も申し分ない」
 ブリットの動きを見ての言葉だった。ゼンガーはあくまで冷静である。
「しかしだ!」
「むっ!」
 突き進んできたブリットに対して一撃を浴びせてきた。
「これならばどうする!」
「それでも!」
 何とゼンガーの太刀を己の太刀で受け止めた。
「そしてっ!」
 そのまま一撃を浴びせる。袈裟に切った。
「やった!」
 勝利を確信して喜びの声をあげた。
「笑止!!」
「なっ!」
 ゼンガーはまだ立っていた。そして。
「チェストーーーーーーーーッ!」
「うわあああーーーーーーーっ!」
 ゼンガーの一撃を受けて吹き飛ぶ。勝利が一瞬にして敗北になってしまったのだtt。
「まさか・・・・・・こんな」
「安心しろ、峰打ちだ」
 ゼンガーはマシンごと倒れ伏すブリットに対して告げた。
「み、峰打ちって。そんな」
「武人は常在戦場」
 そうブリットに告げる。
「最後の一瞬まで気を抜くな」
「最後の一瞬までですか」
「そうだ」
 またブリットに告げる。
「御前に足りないのはそれだ」
「俺に・・・・・・」
「最後に勝ったと思ったな」
「は、はい」
 その言葉に頷く。
「その通りです」
「そこに隙が出来たのだ」
「隙が、ですか」
「勝利を確信した瞬間にな」
 また告げる。
「御前の心に隙が出来たのだ。それが身体にも現われた」
「そうだったんですか」
「勝って兜の緒を締めろだ」
 こうも告げる。
「わかったな」
「は、はい」
 あらためて頷く。痛いが強い教訓であった。
「これで一通りの修行は終わりだ」
「わかりました。けれど」
「どうした?」
 ブリットの様子を見てまた声をかける。
「何かあるのか?」
「はい、いつも稽古をつけてもらっていますよね」
「うむ」
 それは認めて頷く。
「その通りだ」
「俺、強くなったんでしょうか」
「それはわからん」
 ゼンガーはそこは突き放した。
「わからない、ですか」
「俺が教えたのは剣の型」
 そうブリットに告げる。
「強さの入り口に過ぎん」
「そうだったんですか」
「そうだ、真の強さを身に付けられるかは御前自身の心にかかっている」
「俺自身のですか。それじゃあ」
 ここでブリットはふと気付いた。
「それは禅のようなものですか?」
「難しく考える必要はない」
 だがゼンガーはそうではないとも言うのだった。
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