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第十二話 龍を喰らうものその二
 ロンド=ベルは仙台での戦いを終え呉のドックに入っていた。そこで突貫で修理や整備を受け束の間の休息を楽しんでいた。そこには当然クスハもいた。
「じゃあレーツェルさん」
 クスハが何か得体の知れないものをレーツェルに薦めていた。
「前回のセイヨウサンザシ、ホンオニク、ローヤルゼリー、ナルコユリ、グレープフルーツの果汁、ドクダミ、ショウガ、ウナギの粉末、マグロの目玉、梅干し、セロリ、マソタの粉末、ムカデ、イモリとマムシの黒焼きのブレンドに加えてアガリクスと冬虫夏草も足してみたんです」
「・・・・・・・・・」
 レーツェルは何も語らず表情も変えない。後ろにいる面々は別であったが。
「あと知り合いに分けてもらった紅茶キノコとスッポンとオットセイのエキスも入っています」
「・・・・・・・・・」
「大丈夫ですよ。飲みやすさを考慮してローヤルゼリーの量は二倍にしましたから」
「・・・・・・・・・」
 やはりレーツェルは語らない。沈黙したままである。
「勿論皆さんの分もありますから」
「来たよ」
 甲児がそれを聞いて顔を青くさせる。
「おい甲児」
 彼に豹馬が囁く。
「御前高校の時からの知り合いだったよな」
「ああ」
「何とかしろよ」
「冗談ポイだぜ」
「おい待たんかい!」
 十三が彼に突っ込みを入れる。
「何やその言い方は!」
「無茶言うなってんだ」
 そう十三に言い返す。
「あんなに喜んで用意してるんだぞ」
「そんなこと関係ないわよ」
 ちずるもかなり薄情である。理由はわかるが。
「このままじゃ私達全滅よ!」
「それはわかってるよ」
「僕の分析ですが」
 小介は蒼白になりながら冷静に述べる。
「あれを飲んでも平気なのはサイボーグの宙さんとバサラさん、そしてオルガさん達三人、合計五人だけですね」
「凄いでごわすな」
 大作はあらためて唸る。
「まさに戦略兵器でごわす」
「そら見ろ」
 豹馬が小介の言葉を受けてここぞとばかりに言う。
「そんなの飲んだらどうなるんだよ」
「うるせえ、俺に言うな」
 甲児も大概な態度だ。
「死ぬ時は一緒だぜ」
「折角だが」
 ここでレーツェルが言う。
「クスハ君のドリンクを待っているのは私達ではない」
「えっ!?」
「そ、そうよ!」
 さやかは無慈悲にも生贄を差し出してきた。
「折角の新作なんだからまずはブリットに飲ませてあげないと!」
「さやかさん、あんまりじゃねえの?」
 甲児はそれを聞いて呟く。
「幾ら何でも」
「いいのよ。事情が事情だから」
「そう言えばブリット君は?」
 クスハはブリットの姿が見えないことに気付いた。
「彼ならゼンガーと出ている」
 レーツェルが答える。
「偵察ですか?」
「強いて言うなら男を磨くためかな」
「!?」
 クスハがレーツェルの言葉に首を捻る。彼女にはわからないことであった。
「男を、ですか」
「それがわかるようになれば大きい」
 レーツェルは笑ってまた述べた。
「クスハ君にとってな」
「そうなんですか」
「さて、ところでジュースだな」
 何とここで話をジュースに戻してきた。
「どうするかだが」8
「あの、レーツェルさんさ」
 ボスが彼に言う。
「あまり言うのはどうかと思うだわさ。けれど」
「そうでやんすよ」
「喉渇いていないですよね、今」
 ヌケとムチャもさりげなく彼を止めようとする。
「だから今は」
「止めた方が」
「いや、折角だ」
 だがそれでも彼は飲もうとする。
「試してみよう。さて」
「うわっ!レーツェルさんが!」
「死んだ!」
 だが彼は生きていた。しかし普通の人間ならば気絶は確実であった。それを耐えてレーツェルは何とか生き残りそのまま格納庫に向かうのだった。
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