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第十話 内なる修羅その五
「我が剣の冴えを!今ここに!」
「友よ!」
 レーツェルも共に前に出た。
「今こそ動く時」
「うむ!」
「私も共に動こう。今このトロンベと共に!」
「頼む!」
 二人はそのまま動きを合わせた。その動きはさながら二つの竜巻であった。
「参る!」
「我が心と共!」
 二人は疾風の様に前に出た。そうして敵を次々と屠っていく。彼等はまさにその動きで戦争が数だけではないということを示したのだった。
 敵は次々と消えていく。ヒドラーはそれを見て歯噛みせずにはいられなかった。
「おのれ!小癪な!」
「小癪なとは心外だな」 
 レーツェルは不敵に笑って彼に言葉を返した。
「実際にこちらが数だけではないということを見せているのだからな」
「その通りだ!」
 ゼンガーが目の前の敵を両断して答えた。
「数ではない!心があってこそ!」
「心だと!」
「それを今見せている!貴様と!そして!」
 トウマを見る。彼もまた必死に戦っていた。
「これからの世界を救う若者に!何が最も貴いのかを!」
「この世で貴いものはただ一つよ!」
 ヒドラーにとってはそうであった。鬼達にとっては。
「我が百鬼帝国の悲願!地上での永遠の繁栄よ!」
「そんなものの為にか!」
「知れたことを言うな!」
 ヒドラーは感情を露わにして反論してきた。
「貴様等に何がわかる!我等のことがな!」
「わかっていると言ってもわかっていないと言うのであろう」
 ゼンガーもそれはわかっていた。
「では言おう!貴様等には貴様等の正義があるとな!」
「そうだ!」
 ヒドラーもそれを肯定してみせた。
「その為に!我等とて手段は選ばんのだ!」
「かつての恐竜帝国と同じようにか」
 レーツェルはそれを知っていた。だからこその言葉であった。
「そうして地上を目指すか。彼等と同じように」
「我々もまた同じなのだ」
 ヒドラーの今の言葉は何処か自嘲が入っていた。
「地上に出なければ!滅ぶしかないのだ!」
「ではこちらも受けて立とう!」
 ゼンガーはヒドラーのその言葉を受けたうえで叫んだ。
「我等人類を守る為!貴様等を防ぐ!」
「やってみせよ!ここでな!」
 ヒドラーはさらに援軍を繰り出した。それはこれまでにない数であった。
「多い」
 シャニはその敵を見て呟いた。
「何処まで出るんだ」
「多い少ないはもう関係ないさ」
 そう言うクロトにも流石に疲れが見えはじめていた。
「ここまで来たらさ。もう」
「遠慮はする必要はねえだろうよ」
 オルガは不敵な笑みを浮かべていた。
「だろう?劾さんよ」
「御前達まだ戦えるのか?」
 劾はそれを受けて三人に問い返すのだった。
「燃料も弾薬もかなり消耗している筈だが」
「楽勝!」
「まだ派手に暴れられるぜ!」
「いける」
 三人は平気な顔をあえて作って答えた。彼等も意地があった。
「そうか。ではできるだけ頼むぞ」
 そう声をかけたうえで今度はトウマに顔を向けて言った。
「いけるか?」
「ああ、何とか」
 トウマもそれに応えて述べた。敵に囲まれながらも善戦している。
「俺だって。無理はしなくても」
「そうか。ならいい」
「やれます。ですから」
「よし、ではこのまま戦う」
 劾は断を下した。
「ゼンガー、レーツェルと共にな」
「済まぬ」
「足手纏いになったか」
「いや」
 劾は二人のその言葉は否定した。
「それはない。助かっている」
「そうか」
「だがここで踏ん張らせてもらう。本隊が来るまで」
「おい、それはもういいぜ!」
 ここで豹馬の声がした。
「むっ!?」
「間に合ったか!遅れて済まねえ!」
「来たか」
「待たせたな!」
 まずはコンバトラーとダイモスが姿を現わした。続いて他の面々も。
 ロンド=ベルは颯爽と姿を現わした。そうしてトウマ達の援軍に来たのであった。
「やいやい!」
 豹馬が先頭に立って突き進む。
「随分好き勝手やってくれたようじゃねえか!」
「だがそれもここまでだ!」
 続いてゲッターが。竜馬がそこにいる。
「俺達が来たからにはそれはさせない!」
「百鬼帝国!」
 隼人も叫ぶ。
「早いうちに敵の数は減らさせてもらう」
「観念しやがれ!」
 続いて弁慶も。
「俺達の未来の為に!」
「戯言を言うか!」
 ヒドラーもまた三人の言葉を受けて叫ぶ。
「我等の栄光ある未来の為に。そして偉大なる大帝ブライの為に」
 その叫びは心からの叫びであった。
「退くつもりはない!覚悟せよ!」
「よし!それなら!」
 竜馬がそれを受けてゲッターを突っ込ませる。
「行くぞ!隼人!弁慶!武蔵!」
「わかった!」
「やってやるぜ!」
「鬼退治だ!」
 武蔵もブラックゲッターで突っ込む。二機のゲッターはさながら獣を彷彿とさせる動きで縦横無尽に暴れはじめた。それは百鬼帝国の想像を上回るものであった。
「くっ、何という力だ」
「これがゲッターの力だ!」
 武蔵が彼に対して言う。
「御前等を倒す力だ!」
「おのれ!ならば!」
 ゲッターに攻撃を集中させようとする。しかしそこにトウマが来た。
「俺だってなあ!」
「では貴様から倒してやろう!」
 ヒドラーは反射的にトウマに攻撃を向けた。
「こうなれば敵は少しでも減らしておくわ!」
「いけません」
 それを見てルリが言った。
「このままではトウマさんが」
「じゃあルリルリ」
 ハルカがルリに対して問う。
「ナデシコはもう決まりね」
「宜しいですか、艦長」
「はい」
 ユリカもルリと同じ考えであった。
「雷鳳に援護射撃です」
「わかりました」
 メグミがそれに頷く。
「それじゃあ」
「折角何とか残ったんですから」
 ユリカもトウマのことは気にしていた。
「それで万が一があっては困ります」
「そうです」
 ルリがユリカのその言葉に頷いた。
「トウマさんも頑張って欲しいです」
「その通りです。それにしてもルリちゃん」
「何ですか?」
「貴女結構熱血漢好きなのね」
 ユリカはそうルリに言うのだった。
「一矢君とか」
「一途な人は好きです」
 ルリもそれを認める。
「一矢さんみたいにあそこまで一途にエリカさんを愛せたら。本当に素晴らしいことです」
「そうね。それを考えると変わったわね」
 ユリカは今のルリの言葉ににこりと笑ってみせた。
「ルリちゃんも」
「私もわかりましたから」
 その顔は微かに笑っていた。
「私も馬鹿なんだって。同じなんだって」
「そうね。ロンド=ベルは皆馬鹿よ」
 ユリカも笑って述べる。
「私もです」
「そうですね。だから私も好きなんです」
 笑みがさらに深くなる。
「ロンド=ベルもトウマさんも」
「さあ、それじゃあミサイル発射です」
 ユリカはまた言う。
「攻撃目標百鬼帝国マシン、トウマさんの周り」
「トウマ君よけちゃってね」
 ハルカが軽い調子でトウマに声をかける。
「危ないから・・・・・・って!?」
 ここで異変に気付いた。
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