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第十話 内なる修羅その四
「数がありゃいいってもんじゃねえぜ!」
 オルガが派手に一斉射撃を行う。
「むしろ数がありゃあよお!」
「それだけ僕にやられる奴がいるってことさ!」
 クロトはミョッルニルを左右に振り回し敵を粉砕していく。
「必殺!抹殺!」
「数があってもうざいだけだ」 
 シャニはフレスベルグを放った。曲がるビームが敵を屠って消し去っていく。
「うざい奴等は消えろ」
「何かすげえなあ、おい」
「トウマさんさあ!」
 クロトがトウマに声をかけてきた。
「静かにしていていいから!」
「ここは俺達がやらせてもらうぜ!」
 オルガもトウマに言う。
「偵察に専念してくれよ!」
「もっとも」
 シャニが続く。
「ここでこいつ等全員死ぬ」
「いや、それでもな」
 トウマは三人の派手な暴れぶりにいささか引きながらも応える。
「俺のところにも来ている。だから」
「僕そっち行こうか?」
「俺が行く!」
「いや俺が」
 彼等も彼等なりにトウマに気を使っている。ただの戦闘機械ではないのだ。
「いいさ。俺だってやらなくちゃいけないんだからな」
「そうなんだ。じゃあ」
「俺達は俺達でやるぜ」
「それでいいか」
「ああ、そっちはそっちで頼むぜ」
 トウマも言葉を返す。
「俺は俺で!食らえ!」
 目の前の敵をいきなり蹴りで屠った。
「そして!」
 また敵を一体。今度は拳で。
「やれるだけはやる!何があっても!」
「だが」
 劾はそんな彼を見て一人呟くのだった。彼も既に戦闘に入っている。
「まずいな。やはり」
 トウマを怪訝な顔で見ながら戦闘を行う。百鬼帝国は次々と新手を繰り出してくる。
 三人と劾、そしてトウマでやっとだった。トウマにも負担が増す。
「くっ、まだ出るのか!」
「さあ、行くのだ!」
 ヒドラーが後方から指示を出していた。
「例え少数でも手を抜くな!」
「言ってくれんじゃないの!」
 クロトがそのヒドラーに対して叫ぶ。
「このチョビ髭!」
「あんた、誰かにそっくりなんだよ」
 オルガとシャニも言う。
「何っ、わしを誰だと思っている!」
「どう見たってあれじゃないか!」
「おっさん、前世総統だったろ!」
「ばれてるんだよ」
「何を訳のわからんことを!地上人共め!」
 同じレベルで喧嘩をはじめた。
「わしは百鬼帝国のヒドラー元帥だ!それ以外の何者でもないわ!」
「嘘だね」
「ああ、嘘だ」
「嘘はよくない」
 また三人は言い返す。
「訳のわからんことを!貴様等は後回しだ!」
 破壊的な戦闘力を持つ三人とそのガンダムをまずは避けることにした。これは理性的な判断であった。彼は冷静さを保っていた。
「まずはあのマシンを狙え!」
「百鬼ブラーーーーーーーイ!」
 鬼達がその指示に応える。そうして雷鳳に一気に向かうのだった。
「くっ、やはりそちらか!」
 劾は百鬼帝国の動きを見て声をあげた。
「だがこちらも」
 動けなかった。彼もまた多くの敵を相手にしていたからだ。
 トウマに敵が殺到する。彼も次々にその相手をするが。
「な、何て数なんだ」
 あまりにも数が多い。それを通常で凌ぐのには無理があった。
「やっぱりここは」
 システムLIOHを解放しようとする。そして彼はそれを実行した。
「これで!」
 何かが起こった。戦闘力が飛躍的にあがり敵を次々と屠っていく。それはまるで鬼神のようであった。しかしだ。
 敵が一機側面から狙う。間に合わなかった。
「しまった!」
「ははははは!もらったぞ!」
 勝利を確信したヒドラーは高らかに笑う。
「これでまずは一機だ!」
「くっ!」
「トウマ君!」
 劾が叫ぶ。三人も顔を凍りつかせる。どう見ても間に合わなかった。だが。
 何かが来た。そしてその百鬼帝国のマシンを切り裂く。それと共に疾風が姿を現したのであった。今まさに。
「間に合ったな」
「レーツェルさん」
 ヒュッケバイントロンベだった。それに乗っているのは一人しかいなかった。
「間一髪だったがここは結果を重視するべきか」
「どうしてここに」
「さっき通信が入ったのは知っている筈だが」
 レーツェルはそうトウマに言葉を返した。
「それで来たのだよ。私達が先にね」
「私達!?」
「そう」
 トウマに言葉を返す。
「ここに来たのは私だけではないのだよ」
「じゃあ一体誰が」
「それは」
「覇ッ!」
 また疾風がやって来た。百鬼帝国のマシンを両断して戦場に姿を現わした。
「この世に悪ある限り俺は戦う」
 戦士の声がした。
「誰だ貴様は」
「俺の名か」
 ヒドラーの問いに言葉を返す。
「俺の名を今聞いたのはそちらか」
「そうだ」
 ヒドラーはまた言った。
「その私だ。このヒドラー元帥だ」
「そうか。名乗ったな」
 ヒドラーの名乗りを今受けた。
「ではこちらも名乗ろう」
「誰だ!」
「我が名はゼンガー=ゾンボルト」
 遂に戦士は名乗った。
「悪を断つ剣なり!」
「悪だと!」
「そうだ、悪をだ!」
 ゼンガーは高らかに叫んだ。
「今ここで断つ!覚悟せよ!」
「くっ、ならば!」
 ヒドラーはさらに軍勢を出してきた。
「この数ならばどうだ!」
「笑止!」
 ゼンガーはその数を見ても動じはしない。
「数では俺は退けることは適わぬ!俺を退けられるのは!」
「何だというのだ!」
「心だ!」
 彼は叫んだ。
「俺を退けるのは心だ!それ以外にはない!」
「馬鹿なことを言うわ!」
 ヒドラーはゼンガーのその言葉を一笑に伏した。
「戦争は数よ!まずはそれだ!」
「ならば来るがいい」
 ゼンガーの言葉が風雲となった。
「数だけでは勝てぬということを見せてやろう!」
「知れた口を!」
 ヒドラーも激昂を見せてきた。
「ではそれ見せてみせよ!」
「では見せよう!」
 ゼンガーま動いた。青い竜巻と化して。
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