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第九話 立ち上がれ!勇気ある者達その五
「あの、俺悪いけれど女の子にもてたことなんか」
「それに気付いていない場合もある」
 また笑って述べる。
「はあ」
「だが。今度は少し事情が違うようだ」
「ですか」
「一つ言っておきたい」
 ここまで話したうえでまた述べてきた。
「それは一体」
「何があっても。焦ってはいけない」
 そうトウマに告げる。
「決してな。それはわかっていてくれ」
「皆そう言いますね」
 トウマはレーツェルにも言われてそう呟いた。
「今の俺を見て」
「不安だからな」
 レーツェルは今度はそう言うのだった。
「今の君は。どうにも」
「どうにも、ですか」
「わかったな。焦ってはいけない」
 また言う。
「それだけはわかってくれ」
「わかりました。それじゃあ」
「それと一つのことにはこだわらないことだ」
 こうも述べた。
「一つのことにな。いいな」
「は、はあ」
「わかったらまた進むのだ」
「進む・・・・・・」
「道を」
 まるで人生を諭すようだった。少なくともレーツェルはトウマに対してただ戦いのことだけを教えているわけではないのがわかる。トウマにも。
「いいな」
「わかりました。じゃあ」
「おのれ!」
 その横ではフローラが戦い続けていた。相手は凱である。
「ガオファイガー!小癪な!」
「フローラ!ここはやらせない!」
 ブロウクンマグナムを放ちながらフローラに言い放つ。
「この街は俺達が守る!」
「戯言を!」
 フローラはきっとした顔で凱に言い返す。
「貴様等ごときが我が邪魔大王国を倒せると思っているのか!」
「ああ、その通りだ!」
 凱はそれに応えて言う。
「御前達の野望、俺達が止めてみせる!」
「おのれ!」
 彼等が戦いを続ける中他の者達も次々と敵を倒していく。それは百鬼帝国のマシンに対して集中していた。彼等を率いるハドラーはそれを見て選曲の劣勢を感じていた。
「まずいな」
「はい」
 側にいる士官が応えた。
「今回は退くべきかと」
「うむ」
 ヒドラーはその士官の言葉に頷いた。
「では今のうちにだな」
「ええ」
「撤退する。すみやかにだ」
「了解」
 百鬼帝国の将兵はすぐに撤退を開始した。その撤退は完全に邪魔大王国を無視したものだった。フローラ達は見捨てられた形になった。
「フローラ様」
 それを見たハニワ幻人達は凱と激戦を続けるフローラに言ってきた。
「百鬼帝国が」
「くっ!」
 この事態にはフローラとて戦局の不利を悟らずにはいられなかった。彼女も決断を迫られる形となってしまったのである。
「ここは撤退されるべきです」
「どうか御決断を」
「・・・・・・止むを得ないのだな」
「残念ながら」
 ハニワ幻人達はそう意見を具申する。
「どうされますか」
「・・・・・・わかった」
 苦い顔で答えた。
「ここは退く」
「はい。それでは」
「全軍撤退だ」 
 フローラはそう指示を出した。苦い顔のままで。
「よいな」
「はっ」
「ガオファイガー!」
 最後に凱を睨み据えて言った。
「今日のところは勝負を預ける。いいな」
「何時でも受けて立ってやる!」
 凱もそれに応える形で叫ぶ。
「そして御前達を倒してみせる!」
「できるものならな!」
 邪魔大王国も去った。こうして戦場にはロンド=ベルだけが残った。だが彼等は勝利を喜ぶことはできなかったのだ。
「えっ、おい」
 皆が思わず声をあげた。
「そんなことは」
「幾ら何でも」
「決めたんです」
 ミナキは毅然とした声で言うのだった。
「トウマ、やっぱり貴方は」
 トウマを見ていた。まるで敵を見るような目で。
「システムLIOHに相応しくありません。ですから」
「雷鳳を降りろっていうんだな」
「そうです」
 言葉にも一片の容赦もなかった。
「貴方が操縦していても何の意味もありませんから」
「ちょっとあんた」
 そのあまりにも思いやりのない言葉にアスカが切れた。
「幾ら何でも言い過ぎでしょ。確かにトウマさんはセンスないけれど」
「おい、アスカ」
 その言葉にはトウジが少しクレームをつける。
「ここでそれはないわよ」
「と、とにかくね」
 トウジに言われて少し顔を赤らめさせながらもまた言う。
「トウマさんだって必死にやってるじゃない」
「必死などうかは関係ありません」
 ミナキは全く変わらない。
「そんなことは」
「あんた・・・・・・何様よ」
 アスカはいい加減本気で頭にきていた。
「トウマさん雷鳳乗りこなしてるじゃない。ある程度だけれど」
「ある程度だからです」 
 ミナキの口調は変わらない。
「そんなことではシステムLIOHは」
「そんなに大事なの、それ」
「当然です」
 やはり毅然とした、いや無慈悲な言葉だった。
「あれはお父様の形見。だから」
「お父様ねえ」
 アスカはその言葉にさらに怒りを増した。
「私だってね、ママいなくなったわよ」
 あえて自分のトラウマを出してきた。
「けれど何とかやってるわよ。そんなの逃げよ!」
「逃げってそんな」
「ちょっとアスカ」
 海が彼女を止めようとする。
「厳し過ぎるわよ」
「そうですわ。もっと穏やかに」
 風も言う。
「それは私の流儀じゃないしね」
 二人に制止されてもまだ言う。
「第一。トウマさんのこと全然考えてないじゃない!」
「それはそうだ」
 光がアスカのその言葉に頷いた。
「ミナキさん」
 そのうえで彼女もミナキに言う。
「トウマさんの戦い、見ていたな?」
「ええ」
 それは事実だ。だからこその言葉でもあるのだ。
「だったらどうして」
「だからLIOHを」
「そんなのどうでもいいのよ!」
 アスカがまた激昂した。
「トウマさんにあんまり酷いじゃない!」
「そんなことは関係ありません!」
「関係あるわよ!」
「そうだ!」
「そうよ!」
 フレイも参戦してきた。
「トウマさんの頑張りとか見ないでそんなこと言うなんて。ミナキさん、貴女一体何様よ!」
「ちょっとフレイ」
「怒り過ぎよ」
 トールとミリアリアが何時にも増して凄まじい剣幕のフレイに対して言うのだった。
「わかてるわよ。けれどね」
「気持ちは抑えられないってわけか」
「それはわかるけれど」
 カズイもサイもそれはわかる。だが。
「それにね」
 フレイはまだ言う。
「何か。ミナキさんって昔の私みたいで」
「貴女と一緒にしないで!」
 ミナキはまた言った。今度はフレイに。
「お父様はね、システムLIOHを地球を守る為に」
「私だってパパ死んだわよ!」
 フレイも遂に激昂した。目から涙が溢れだしていた。
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