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第九話 立ち上がれ!勇気ある者達その二
「時と場合に応じて」
「じゃあ全然だめじゃない」
「そうね」
 さやかとジュンがそんな彼に突っ込む。
「まああんたに素直なんて」
「求めないけれど」
「また随分ボロクソですね」
 マリアとひかるにも言われてどうにも格好がつかなくなっていた。
「僕はトウマ君に関しては結構誠実であるつもりですが」
「何の魂胆があるんだよ」
 そのトウマにまで言われる。
「あんたがそう言うなんてよ」
「まあ些細な理由です」
 楽しそうな笑みを戻して述べてきた。
「実はですね」
「実は?」
「宣伝をしてもらいたいのですよ」
 そう述べてきた。
「宣伝!?」
「実はうちのグループのスポーツ部門のですね」
「あんたんとこそんなのもあったのかよ」
 軍事だけかと思えばそうでないのでびっくりであった。
「何を言いますか。今時軍需産業なぞ」
「何なんだ?」
「大した実入りがないのですよ」
「実入りがないのかよ」
「そうですよ」
 トウマの問いに平然と答える。
「莫大な設備と技術投資と維持費がかかる産業ですがそれでも」
「需要が限られているな」
 凱が答えてきた。
「どうしても」
「そういうことです。ですから」
「俺に白羽の矢が立ったのかよ」
「トレーニングのCMを取りたいので」
 笑ってまた述べてきた。
「トレーニング用品で。宜しいでしょうか」
「ああ、俺は別にな」
 断ることなく頷いてみせた。
「構わないぜ。けれど素人でCMっていうのもな」
「それはそれでいいものです」
 顔が敏腕プロデューサーのそれになっていた。
「例えばですね」
「ああ」
「バジルール少佐をモデルに使ってもいいですし」
「ああ、それはわかる」
 トウマもそれには頷くことができた。
「あの美と美人でスタイルもいいしな」
「そういうことです。それで貴方は」
「俺は?」
「一生懸命さがいいのですよ」
 そう言ってきた。
「一生懸命さが!?」
「それが中々絵になるのですよ」
 プロデューサーの顔のまま述べる。
「ですから」
「出てくれってか」
「嫌なら別に構いませんが」
「いや」
 そう言われると出たくなるのが人間心理である。流石にアズラエルはそれがわかっていた。
「だから別に構わないって言ってるじゃないか」
「そうですか。では決まりですね」
 その言葉を聞いて笑みを変えてきた。にこやかな笑みに。
「貴方がトレーニング用品でサンシロー君は野球」
「やっぱりそれか」
 これは容易想像がついた。
「洸君がサッカーで一矢君は空手です」
「それってまんまじゃねえのか?」
 甲児がそう突っ込みを入れる。
「しかも声がよ」
「細かいことは気にしてはいけません」
 そんなことを気にするアズラエルではなかった。
「ライオンロボ君は僕と共演です」
「あんたとかよ」
「はい、これからのスポーツについて雑誌で対談です」
「何で俺が雑誌で」
「まあ何となくです」
 何処までもいい加減に決めていた。
「貴方は元々スポーツも万能でしたしね」
「それはそうだが」
「ならそれで決まりです」
 そう述べるのだった。
「では。宜しいですね」
「ああ、わかった」
 凱もそれに頷く。
「じゃあそれでいいぜ」
「それではこれで決まりです」
 アズラエルはにこやかに笑って述べた。
「それでですね」
「それで?」
 またトウマに顔を向けてきたのだった。
「システムLIOHとはどんなものなんでしょうか」
「あんた、それなりに知ってるんじゃないのか?」
「あくまでそれなりです。完全ではありません」
 アズラエルはそう反論してきた。
「それで御聞きしたいのですが。どういったものでしょうか」
「俺に言われてもよ」 
 トウマはアズラエルのその問いに顔を曇らせてきた。
「何ていうかよ」
「わかりませんか」
「ある程度でいいか?」 
 そう前置きしてきた。
「それならいいけれどよ」
「わかりました。それでは」
 その言葉に頷いてから応える。
「宜しく御願いします」
「それはそうとしてよ」
 話が一段落ついたところで甲児がまた口を開いた。
「何だ?」
「次の相手は。どうなったんだよ」
「どうもそれが変なことになりそうなんだ」
 凱が彼に答える。
「変なことって?」
「どうも百鬼帝国と邪魔大王国が同盟を結んだらしい」
 彼はそう述べる。
「この前奈良に出た時はそうだったらしいな」
「奈良にかよ」
 甲児はそれを聞いて顔を曇らせた。
「何となく邪魔大王国に縁が深そうな場所だしな」
「俺達は関西に向かっている」
 次に鉄也が言った。
「その情報を受けてだ」
「わかった。じゃあ関西だな」
 甲児はあらためて頷く。
「行くぜ。たこ焼き食いにな」
「いいだわさね」
 それを聞いてボスも声をあげた。
「たこ焼き食えるのが最高だわさ」
「何言ってるんでやすかボス」
「そうですよ」
 それを聞いてヌケとムチャが呆れた顔で彼に突っ込みを入れる。
「戦いに行くんでやんすよ」
「たこ焼き食べるんじゃなくて」
「そんなのわかってるだわさ」
 わかっていない人間の言葉であった。
「それ位よ。ただ」
「ただ?」
「たこ焼き食べたいのは嘘はつかないだわさ」
 結局はそうであった。
「ああ、早く食べられたらいいだわさね」
「しかしボス」
 そんな彼に鉄也が言う。
「何だわさ?」
「今度行くのは滋賀だぞ」
「滋賀!?」
「そうだ、大阪じゃない」
 彼はそう忠告する。
「それでもいいんだな」
「滋賀っていうと」
 ボスはそれを聞いて自分の知識を辿った。
「あれだわさ?鮒寿司」
「鮒寿司!?」
 それを聞いてマリアが首を傾げる。
「何、それ」
「おいマリア知らねえのかよ」
 今のマリアの言葉を聞いて甲児が言う。
「そんなこともよ」
「だから何よそれ」
 マリアは本当に何も知らなかった。
「教えてよ、そんなに言うんだったら」
「何だったっけ、大介さん」
 実は甲児も知らないのだった。それで大介に話を振る。
「鮒寿司というのは鮒を発酵させて作るお寿司なんだ」
「発酵、ねえ」
 さやかはそれを聞いて言うのだった。
「じゃああれ?納豆とかと同じなの?」
「近いな」
 大介もそれに頷く。
「かなり匂いがするが好きな人はかなり好きらしい」
「ああ、あれはかなりいいですね」
 ここでアズラエルが楽しそうに声をあげた。
「実は僕はあれが好きでしてね」
「そうだったの」
 ひかるはそれを聞いてアズラエルを見た。
「アズラエルさんも通なのね」
「僕は変わった食べ物が好きなんですよ」
 単なるゲテモノ好きなようだ。
「何かとね。例えば蝙蝠とか」
「ちょっと」
 ジュンはそれを聞いて少し引いた。
「他にも色々と。そうですか、あれですか」
「たこ焼きよりも美味いだわさ?」
「それは人によります」
 ボスにはそう返した。
「ただですね」
「ああだわさ」
「癖が強いので御注意を」
「そんなにかよ」
「そうだな。あれはかなりのものだ」
 鉄也はそれを聞いて声をあげる。
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