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第九話 立ち上がれ!勇気ある者達その一
                 立ち上がれ!勇気ある者達
 悩むトウマは特訓を続ける。しかし。
「駄目だな、そんなことでは」
 相手を務める鉄也から言われた。
「駄目だっていうのかよ」
「そうだ。力が入り過ぎている」
 そう彼に言われた。
「そんなことでは決まるものも決まらない。だから駄目なんだ」
「じゃあどうすればいいんだ」
 彼は困り果てた顔になり言葉を返した。
「俺は。こんなことじゃ」
「焦っているな、トウマ」
 鉄也はまた彼に言う。
「ああ、それはな」
 自分でもそれを認める。
「だが今の俺は。早く」
「システムLIOHか」
 鉄也はLIOHを出してきた。
「それだな」
「ああ、それだ」
 それはトウマも認める。
「俺はあの力を全く引き出していない。このままじゃ」
「気持ちはわかる」
 鉄也もそれはわかっていた。それで述べる。
「しかしだ」
「しかし?」
「焦っても何もならない」
 そう言うのだった。
「わかるか、といっても今は」
「ああ、済まない」
 トウマは曇った顔で鉄也に返した。
「今の俺には。とても」
「今はとにかく鍛えるんだ」
 甲児と同じことを言う。
「雷鳳はパイロットの能力が大きく影響する」
「ああ」
「それはマジンガー以上だ」
 マジンガーシリーズは操縦するパイロットの力が大きく影響する。雷鳳はそれ以上だというのである。
「それを引き出すには」
「俺は今より強く」
「確かに御前は強くなった」
 鉄也はそれは認めた。
「だが。まだ足りないものがある」
「足りないもの。それはつまり」
「それは自分で見つけるんだ。俺でもわからない」
「鉄也でもかよ」
 それを言われると何か突き放された気分になる。だがそれは違っていた。
「一人一人違うからな」
「一人一人か」
「ああ。俺と甲児君、大介さんがそれぞれ違うようにだ」
 こう返す。
「トウマにもトウマの問題がある。それに気付いてそこをなおすんだ」
「わかったよ」
 何が何なのかわからないまま答えた。
「俺はどうすればいいのか。それだな」
「今は悩むことも必要だ。だが」
「だが?」
「ミナキには気をつけろ」
 そう言うのだった。
「ミナキに?」
「俺はトウマはこのままでいいと思う」
「鉄也はか」
「ああ。少しずつ力を引き出しているしな。だが」
「だが?」
「ミナキはそう考えていないかも知れない」
「ミナキは」
 言われると不安が宿る。
「次の戦いも見ているだろう。しかし」
「しかし」
「そこでどう言うかわからない。気をつけろ」
「わかった」
 答えはしても不安の色は消えない。
「とにかくやってみる」
「そうしろ。それでだ」
「今度は何だ?」
 話が変わってきた。
「そろそろ休憩だが何がいい」
「何がって何がだ?」
「おいおい、ドリンクに決まってるだろ」
 トウマのボケに苦笑いを浮かべて返した。
「そこまで思い詰めているのか」
「おっと、済まない」
 言われてそれに気付く。
「そうだったな。それだ」
「それで何がいいんだ?」
「何かオルガ達がこの前飲んでいたのは何だ?」
 それについて尋ねた。
「凄い美味そうに飲んでいたけれどよ」
「あれか」
 鉄也はそれを聞いて暗い顔になった。
「飲まない方がいいぞ」
「それで何なんだよ」
「劇薬だ」 
 一言だった。
「ラクスの作ったジュースだ。巨象も一杯で倒す」
「おいおい、そんなやばいものだったのかよ」
 これにはトウマも絶句した。
「飲みたいか?」
「いや、いい」
 それはすぐに否定した。
「俺は死にたくないしな、まだ」
「けれどトウマ」
 横からジュンが言ってきた。彼女もトレーニングに参加していたのだ。
「あの三人ミナキの料理も食べていたわよ」
「げっ」
 またしても絶句するトウマだった。
「あいつ等、平気なのかよ」
「実はですね」
 ここで何故かアズラエルが出て来た。
「彼等は元々普通ではないのですよ」
「あんたよりもかよ」
「貴方も結構言いますね、トウマ君」
 流石にアズラエルである。この程度の皮肉では動じない。
「私は彼等をスカウトしたのですが」
「確か元々死刑囚だったのよね」
 さやかが言ってきた。
「それで彼等を強化して」
「けれど元に戻ったんだろ?」
 甲児も問う。
「それであれってどういうことなんだよ」
「ですから元々なのですよ」
 答えが元に戻っていた。
「彼等の身体は丈夫でして」
「味覚もか」
 異星人の大介だからこそ説得力のある言葉だった。
「彼等は」
「ええ、それも元々です」
 駄目だしが来た。
「そういうところも全部なのですよ」
「何かある意味超人ね」
「そうね」
 その言葉にひかるとマリアが頷く。
「凄いなんてものじゃねえな」
「ですからああして戦えるのです」
 アズラエルはそうトウマに告げた。
「おわかりになられましたか?」
「ああ、よくな」
 トウマはアズラエルのその言葉に頷いた。
「頑丈な身体が第一かよ」
「はい」
「だがトウマ」
 ここで鉄也がまた彼が言う。
「御前はあの三人程身体が強くないぞ」
「ああ、わかってるさ」
 それは自分でもわかっていた。
「だからこそ俺は」
「いいか、とにかくトレーニングは毎日やることだ」
 鉄也は彼にそう告げる。
「毎日な。いいな」
「ああ、わかった」
「よし。では次はランニングだ」
「ランニングか」
「そうだ、格闘もいいが基礎も大事だ」
 また言うのだった。
「そうだな。それじゃあ」
「ああ。ドリンクはここにある」
 普通のドリンクを出してきた。
「飲んでからまたはじめればいい」
「わかった。じゃあな」
 ドリンクを手に取ろうとする。だがそこでミナキがやって来た。
「ミナキ!?」
「トウマ・・・・・・」
 ミナキはトウマを見て不安な顔を見せてきた。
「何か」
「いえ、何もないわ」
 口ではそう言っても表情は違っていた。
「ただ。貴方は」
「俺は?」
「・・・・・・いえ、何もないわ」
 やはり言わない。
「それじゃあ」
「あ、ああ」
 暗い顔のミナキを見送る。トウマはう浮かない顔でそれを見送ってから言うのだった。
「やっぱり俺のせいか」
「自覚しているのか」
「ああ、正直な」
 彼もまた暗い顔になって述べる。
「俺がシステムLIOHの力を完全に引き出していないからな」
「それはそうだな」
 鉄也もそれは認める。
「そうか、やっぱりな」
「しかしだ」
 彼はそのうえで言うのだった。
「御前は少しずつだが引き出していっている」
「少しずつか」
「そうだ、だからそれは安心していい」
 微笑んで彼に述べた。
「少なくとも俺はそう思っている」
「悪いな」
「俺もだぜ」
「僕もだ」
 甲児と大介も言ってきた。
「だから安心しなって」
「君はよく戦っている。貴重な戦力だ」
「そう言ってもらえると助かるぜ」
「まあそうですね」
 それはアズラエルも認める。
「トウマ君はよくやってくれていますね」
「あんたが素直に認めてくれるなんてな」
「ふふふ。僕は素直なんですよ」
 アズラエルは楽しそうに笑って述べてきた。
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