第一話 宣戦布告その一
宣戦布告
地球圏の勢力を全て倒しガンエデンさえも倒したロンド=ベル。彼等はまずイルイを安全な場所に移したのであった。
「これでいいんだよな」
「ええ」
アイビスにツグミが答える。
「イルイにとってもね」
「そうだな、イルイはもうガンエデンじゃないんだ」
アイビスはそのことに頷いた。
「もう普通の女の子なんだ」
「そうです。ですから」
「ではわしも去ろう」
マスターアジアも別れを告げてきた。
「師匠、一体どちらへ」
「わしの力を欲するところだ」
マスターは不敵に笑って彼に応えた。
「まだバルマーや宇宙怪獣がおる。そうした奴等と戦いにな」
「わかりました、それではまた」
「うむ。しかしドモンよ」
ここでドモンに顔を向けて声をかけてきた。
「何でしょうか」
「あの時からさらに強くなったな」
口ひげを綻ばせての言葉であった。
「そうでしょう、俺はまだ」
「謙遜せずともよい」
だが彼は弟子の謙遜を受け取りはしなかった。
「御前が強くなったのは確かだからな」
「師匠・・・・・・」
「己の道を歩め」
彼は言った。
「最早御前の道は何処を歩こうが迷いはせぬ。だからな」
「わかりました。それではまた縁がありましたら」
「共に戦おうぞ」
「はい」
こうしてマスターも去った。シュバルツも今去ろうとしていた。
「ドモンよ、また会おう」
「ああ、わかった」
ドモンはシュバルツにも応えた。
「御前ともまたな」
「戦いはまだ終わってはいない。しかし」
シュバルツは言う。
「御前ならばそれを終わらせることができる。ロンド=ベルならばな」
「ああ、やってみせる」
ドモンは彼にも応えたのだった。確かな声で。
「きっとな」
「その時を楽しみにしている。では!!」
姿を消した。こうして彼も次の戦いに向かうのだった。
最後にシュウが。彼もまた何処かへ。
「シュウ様行かれておられるのですね」
「だからモニカ、文法が変ですよ」
またモニカに突っ込みを入れる。
「そうしたところは相変わらずですね」
「あら、悪い筈がないのではないのですか?」
「もう何言ってるかわからないわよね」
「・・・・・・うむ」
ミオの言葉にゲンナジーが頷く。
「少しばかりな」
「シュウ様、今度はどちらへ」
サフィーネはそれを尋ねてきた。
「行かれるのですか?」
「少し気になることがありましてね」
うっすらと笑って彼女に応えてきた。
「それで少し」
「けれどまた俺達の前に出て来るんだな」
マサキが尋ねたのはそれであった。
「そうなんだろ?」
「ええ、おそらくは」
そのうっすらとした笑みのまま彼に応えた。
「それに彼はまだ生きていますし」
「彼!?」
「孫光龍のことですか?」
クスハがそれに問うてきた。
「それは」
「はい。彼は主を失いましたが己の使命を失ったわけではありません」
「己の使命を」
「きっとまた動くでしょう。ですから」
「彼を追うんですね」
ブリットが問うてきた。
「それじゃあ」
「はい」
シュウもそれに応えて頷いてきた。
「そのつもりです。それでは私もまた」
「ああ、またな」
マサキが応えてきた。
「また会える時を楽しみにしているぜ」
「ええ、こちらこそ」
去ろうとしたところでクスハに顔を向ける。何かを思い出したようだった。
「そうだ」
「何か?」
「その孫光龍ですけれどね」
「何かあるんですか?」
「注意して下さい、貴方とブリットさんとは浅からぬ因縁があります」
二人はその言葉に顔を向けてきた。
「私と」
「俺と」
「そうです。ですから」
「またあの人と戦うことになるんですね」
クスハはそのことに顔を暗くさせてきた。
「やっぱり」
「ええ、おそらくは」
シュウはそれに応えて述べた。
「ですから。覚悟はしておいて下さい」
「わかりました」
クスハもブリットもそれに頷いてきた。
「それじゃあ」
「また戦いに」
「おそらくバルマーもすぐに来ます」
また言うのだった。
「ですからそれへの用心も。それでは」
シュウもまた去った。そうして何処かへと向かったのだった。
こうしてロンド=ベルはまた彼等だけになった。とりあえずは日本の呉で新たなる戦いの時を待っていたのであった。それが運命であるかのように。
「けれどよ」
ディアッカがパフェを作っていた。その中で皆に述べる。
「何か今結構平和だよな」
「そうね」
「今のところはな」
プルとプルツーがそれに応える。
「そうだよな、すぐにまたバルマーや宇宙怪獣が山みたいに来るんだろうな」
「それだけだといいけれどな」
イザークが言ってきた。彼はクレープを食べている。
「他にも敵が出るかもな」
「敵ですか」
ニコルがそれに顔を向ける。彼はケーキであった。
「けれどあれだろ」
ミゲルが言う。見れば赤服になっている。彼だけでなくジャックやエルフィもである。これはザフトが変わった為だ。アカデミーの成績ではなくそれまでの撃墜数や活躍で赤服になることになったのだ。その為彼等も赤服になったのである。
「地球圏の敵は全て倒したんじゃなかったのか」
「とりあえず出ているだけはだよな」
ジュドーがそれに応えてきた。
「まだいるかも知れねえぜ」
「それはあるわよね」
ルーはジュドーの言葉に頷いた。
「また何か出て来るかも」
「けれど出て来るって何が?」
イーノがそれを聞いて言ってきた。
「地下勢力だってもうやっつけたし」
「そうだよな」
モンドがイーノのその言葉に頷いた。
「幾ら何でもこれ以上は出ないんじゃ」
「残党とかいるんじゃ?」
エルは自分でもあまり信じていないことを口に出してきた。
「恐竜帝国とかの」
「流石にあいつ等はないだろ?」
ビーチャがそれに応えて言う。
「あれだけ完全に滅んだらよ」
「そうですよね。邪魔大王国もいないんですよね」
フィリスが述べてきた。
「それだともう流石に」
「宇宙はいないですよね」
エルフィにも思い当たるものはなかった。
「バルマーと宇宙怪獣以外には」
「そうだな」
レイがその言葉に頷く。
「他には」
「いないか。やっぱり」
ハイネがぽつりと呟いた。ここでパフェができて皆に配られる。
「バルマーと宇宙怪獣以外には」
「じゃあある意味楽ってわけか?」
ケーンがそれを聞いてパフェを食べながら問う。
「敵が少なくて」
「そうだな。今までハードだったから」
タップが能天気に言い出す。
「楽させようって神様の配慮だな」
「おいおいタップ」
ライトがその言葉に突っ込みを入れる。
「神様はもういないぜ」
「あっ、そうか」
「けれどあれだよな」
シンもまたパフェを食べながら言うのだった。
「イルイを安全な場所にやったのは正解だったな」
「ああ、そうだね」
レッシィがそれに頷く。彼女はコーヒーとパフェを楽しんでいる。
「さもないとイルイを戦争に巻き込んでしまうからな」4
「それだけは勘弁して欲しいわよ」
アムは怪訝な顔で言う。
「洒落にならないから」
「そういうことだな。そうした意味でこの選択は間違いじゃない」
ダバは冷静な分析を述べる。
「ただ」
「ただ?」
「バルマーは時折卑劣な作戦も立ててくる。それは注意しないとな」
「そうだな」
その言葉にショウが頷く。
「マーグは正々堂々としているがユーゼスは酷いものだった」
「ああ、あいつか」
トッドはその名を聞いて顔を曇らせた。
「あいつはな。また特別じゃねえのか?」
「そうだと思いたい」
しかしショウの返事は今一つ歯切れが悪い。
「幾ら何でもな」
「それでな」
ここでキャオが言う。
「バルマーで一番やばいって言われてるのはな」
「誰なんだ?」
「ハザルってやつだ」
そう皆に告げる。
「ハザル!?」
「ハザル=ゴッツォって奴だ。バルマーの宰相ユーゼス=ゴッツォの息子さ」
「宰相のか」
「じゃあかなりの家の」
「ああ、とんでもなく嫌な奴らしいな」
そう述べるキャオの顔が嫌悪に歪む。
「バルマーの中でも特にらしい」
「それってどんなの?」
キラが彼に問う。
「性格が悪いってだけじゃないよね」
「それもあるけれどな」
キャオはキラに一旦そう答えた。
「ただそれだけじゃねえ。選民思想の塊で他の人間を虫ケラか何かに思っているらしいぜ」
「何、それ」
ミリアリアはそれを聞いて目を顰めさせる。
「かなりのものね」
「戦闘でもあれだ。一般市民を巻き添えにする作戦を好んでやるそうでな」
「最悪だね」
トールもそれを聞いて顔を顰めさせた。
「それって」
「だからだ。奴も来るかもしれないからな」
「その可能性はゼロじゃないね」
「そうだな」
サイはカズイの言葉に頷いた。
「バルマーと全面対決になるなら」
「嫌だな、それは」
「嫌でも何でも敵が来たら戦うしかないぜ」
キャオはそうカズイに忠告してきた。
「言っておくがそのハザルってのは降伏した相手も平気で攻撃するぜ」
「うわっ」
「それは幾ら何でも」
「そういう奴だってことだ。覚えていて損はねえぜ」
「わかったわ」
「それじゃあ」
皆それに頷く。流石に晴れやかな顔は誰もしていなかった。
「後バルマーでやばいのは」
「グラドスだ」
ここでエイジが来た。そうして皆に言う。
「エイジさん」
「グラドス軍には注意してくれ。彼等はそのハザルの尖兵なんだ」
「尖兵・・・・・・」
「ああ、僕もそこにいたから」
エイジはそう述べて顔を暗くさせてきた。
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