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第七話 インスペクター四天王その四
「どうでした、ハーリー君」
「さあ。スポーツはしないんじゃ」
 問われたハーリーが答える。
「そもそも趣味自体不明ですし」
「ですね。他の人の漫画じゃいつも虐められていますし」
 何故かルリはそこまで知っている。
「滅茶苦茶変な人ですし」
「変ってものじゃないですよね、あれは」
 メグミも話に入る。
「有り得ないっていうか」
「それで作品の中じゃモテモテだけれど」
 続いてハルカも。
「あれがわからないのよ」
「何か漫画の話で盛り上がってるのかい?」
 アギーハがナデシコの女性組の盛り上がりを見て声をかけてきた。
「いいねえ、漫画は。漫画は最高の文化だよ」
「そうだな」
 メキボスも笑顔で彼女の言葉に頷く。
「リリスの生み出した退廃の極みだ。そうだな」
「あ、ああ」
 アスランは敵に話を振られ戸惑いながら答える。
「そうだな」
「あんた名前は?」
 メキボスはアスランに名前を尋ねてきた。
「よかったら教えてくれないか」
「アスラン=ザラ」
 アスランは素直に名乗り返した。
「これでいいか?」
「ああ。変なものだな。初対面だってのにな」
 笑いながらアスランを見て言う。
「あんたとはどうも他人のような気がしない。どうしたものかな」
「それは俺もだ」
 アスランもメキボスの言葉に頷く。
「敵だというのにな。不思議なものだ」
「声が」
 後ろでハイネがポツリと呟いた。
「声が似ているな。そういうことか」
「まあ妙な関係で知り合ったがこれからも宜しくだ」
「こちらこそ」
「それじゃあな。あと一つ言っておくが」
「何だ?」
「髪の毛には注意しろよ」
「うっ」
 言われたくないことを言われて顔を歪ませる。
「さもないとヴィガジみたいになるからな。ケアはしっかりとだ」
「おいメキボス」
 ヴィガジがシカログに突っ込みを入れる。
「私はだな。これは剃っていてだ」
「ははは、じゃあまたな」
 話を誤魔化して撤退に入る。
「また会おうぜ。戦場でな」
「じゃあね」
「また会おう、地球の諸君」
「・・・・・・・・・」
 四天王はそれぞれロンド=ベルの面々に別れの言葉を告げて姿を消した。そうしてインスペクターは北京から姿を消したのであった。
 戦いを終えたロンド=ベルは妙な感触を抱いていた。今度の相手に対して。
「どうにもね」
 最初に口を開いたのは万丈であった。少し困ったような笑みを浮かべている。
「今一つ憎めない相手だね」
「まあそうだな」
 それはマサキも認める。
「特にあのメキボスってのはな。けれどよ」
「ああ、それはわかっている」
 万丈は真面目な顔になってマサキに答える。
「敵であることには変わりない。話はできるようだけれどね」
「けれどそれは重要ですね」
 ユリカはそこに注目してきた。
「話ができる相手というのは」
「そうだな」
 それにナガレが同意して頷く。
「少なくとも何もかもを破壊する相手ではないというのはな」
「どうにもあれだね」
 サブロウタも言う。
「向こうはそんなに戦うつもりはないみたいだな」
「それはありますね」
 ジュンがその言葉に頷く。
「話し合いで解決できればいいと考えているふしがあります」
「だが。何かあるっていうのかよ」
 ダイゴウジがジュンの今一つ煮え切らない様子に突っ込みを入れてきた。
「あいつ等に」
「多分ね」
 アキトが彼に答えた。
「そんな気はする。けれどそれはどうして」
「それは今はわかりません」
 ルリが彼等に答えた。
「ルリ」
「けれど。戦意は高いです」
「そうだね」
 万丈は今のルリの言葉に頷いた。
「あまり乗り気ではないかも知れないけれど戦うことは否定してはいない」
 そう読んでいた。
「若しかすると。彼等の上の方がいて」
「上の方!?」
「その意志かも知れない」
 皆に述べる。
「それが何かはわからないけれどね」
「どちらにしろ言えることが一つだけあります」
 ユリカがまた言った。
「それは彼等が今のところ敵だということです」
「そうだね」
 アキトがユリカのその言葉に頷く。
「それだけは。間違いがない」
「はい。ですから今のところは」
「戦うしかないね」
 万丈がまた述べる。
「敵が増えるのは辛いけれどね。それでもね」
「話ができる相手というのはまだ気持ちが楽です」
「しかし油断はできません」
 ユリカとルリはそれぞれ正反対だが正論を述べてきた。
「彼等の戦闘力もかなりのものですし」
「それもわかっているさ」
 万丈はルリに答えた。
「充分ね。その戦力も」
「だからこそです。ですからここは慎重に戦略を立てるべきです」
「慎重にか」
 その言葉を聞いたブライトの目が光る。
「それならばまずはやはり地底の勢力を」
「そうしたいところだが。上手くいくかね」
 甲児が横から言ってきた。
「どういうことだ甲児、それは」
「いやさ、何か最近こんなのばっかりだから言うけれどさ」
 ブライトに応えて延べる。
「新しい敵が出て来たらまたすぐに出て来るだろ。だからまたひょっとしてな」
「おいおい兜」
 ボスがそれを聞いて甲児に突っ込みを入れる。
「あまり不吉なこと言うなだわさ」
「おとすまねえ。けれどついな、気になって」
「だが可能性は皆無ではない」
 ブライトは腕を組んで言う。
「また新たな敵が出て来る心構えだけはしておこう」
「そうだな。それがいい」
 アムロが彼の言葉に頷いてみせた。
「どうなるかわからないが意識していれば迅速に対応できるしな」
「そういうことだ。それではな」
「ああ。まずは地底勢力に」
 とりあえず彼等は日本への帰路についた。だがその途中でまた敵の報告を受けたのだった。
「やはり来たか」
「場所は!?」
 ラー=カイラムのブリッジにあがったアムロとブライトはすぐにサエグサとトーレスに問うた。
「アメリカです。場所はシアトル」
「シアトルか」
 アムロはシアトルと聞いてすぐに目を光らせた。
「遠いな。ここは急がないと」
「わかっている。速度をあげろ」
 彼の言葉を受けて無頼とはすぐに命じた。
「いいな。シアトルまで全速でだ」
「了解」
 トーレスとサエグサはすぐに二人の言葉に頷いた。
「じゃあ今から」
「全速で」
「それで敵はどの勢力だ?」
 ブライトは今度は敵について尋ねた。
「地底の勢力か?それともバルマーか」
「いえ」
 サエグサはブライトの問いに首を横に振った。ブライトはそれを見て心の中で嫌な予感を感じたがそれはあえて口には出さなかった。
(まさか)
「さっきのインスペクターのマシンと同じです」
 トーレスが報告をあげた。
「インスペクターの!?まさか」
「ですが間違いありません」
 トーレスはこうも言う。
「実際に彼等が」
「わかった。ならいい」
 これ以上の疑問の言葉は時間のロスと判断した。それでこう返した。
「インスペクターならそれでいい」
「わかりました。では全軍シアトルに」
「うむ、頼むぞ」
「しかし。どういうことだ」
 ブライトにかわってアムロが疑問を呈してきた。彼はわかったうえでそれを出したのである。
「どうしたアムロ」
「いや、インスペクターの兵器だったな」
 予定調和のように話を進める。
「シアトルに現われたのは」
「報告ではそうだな」
「俺達が今戦ったのもインスペクターだがこれは一体」
「複数の方面軍がいるのかもな」
 ブライトはこう予想を立ててきた。
「北京の彼等とは別の」
「いや、それはおそらくはない」
 ブライトの予想に対してアムロはこう返した。
「あくまで俺の勘だが」
「ないか」
「考えてみてくれブライト」
 そのうえでブライトに対して言う。
「インスペクターは北京に四天王全員がいたな」
「ああ」 
 それははっきりと見た。その通りだ。
「おそらく最高幹部の彼等がだ。それならば」
「インスペクターの主力は北京にいたあれだ。そう言いたいんだな」
「そうだ。俺はそう見ている」
 それを今言う。
「それならシアトルにいるのは」
「それもまら見極める必要があるな」
 ブライトは前を見ながらアムロに言葉を返した。
「その辺りもな」
「では行こう」
 アムロはまた言った。
「シアトルへ」
「ああ」
 謎を意識しながらシアトルへ向かう。戦いはまたはじまるのだった。


第七話   完


                 
                  2007・9・3
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