第七話 インスペクター四天王その二
「激戦の末に」
「じゃあBF団は完全に滅んだと」
「そういうことになります」
「じゃあ二度とBF団だけは出ないのですね。それは何よりです」
「全くです。あの時は我が目を疑いましたし」
ユウナとアズラエルはどうしても彼等には納得できなかったのだ。それは彼等がいなくなってもまだ心に残っていたのだ。
「彼等がいなくなったというのは大きなことですよ」
「ですね。では北京へ」
そのことにだけは安堵して先に進む。彼等は行くのだけは順調に進めていた。
北京に着くと既に敵が迫っていた。北にかなりの規模の軍が布陣していた。
「あいつ等かよ」
マサキは彼等の姿を見て声をあげる。
「名前も知らねえが。敵っていうのだけはわかるぜ」
「ふむ。データ通りか」
その敵軍の後方から声がした。ロンド=ベルの者達はその声に顔を向けた。
「何っ、データ通りだと!?」
「どういうことだ」
「君達に関するデータのことだ」
また声がした。
「攻撃的だというな」
「おいおい、また随分と一方的だね」
万丈はその声にシニカルな笑みで以って応えてきた。
「確かに僕達にはそういうところもあるけれど君達が言えた義理かい?」
「我々がだと」
「だってそうじゃないか」
また言葉を返す。
「君たちだってここに来ているじゃないか。戦いに」
「我々のそれは理由が違う」
彼は万丈にそう反論してきた。
「我々は平和の為にここに来ているのだ」
「平和!?」
「また随分高尚なことだな」
万丈だけでなくフォッカーも今の言葉にはシニカルに返した。
「平和の為に戦うとは」
「まあ誰でもそう言うんだけれどね」
「諸君等と一緒にしないでもらいたい」
声がムッしてきた。
「我々は宇宙の平和の為に今ここに来ているのだ」
「宇宙の平和だって!?」
「それは一体何だ」
イサムとガルドはそれを聞いて声をあげた。
「おいおい、ハッタリじゃねえよな」
「まやかしではないのか」
「それはない」
彼は二人に対しても反論した。
「我々インスペクターの名にかけて」
「何っ!?」
「インスペクターだと」
その名を聞いたダバやミリアの顔色が変わった。
「御前達がインスペクターだったのか」
「それが今地球に」
「あれ、知ってるのかよ」
彼等の様子が変わったのを見てケーンが問うてきた。
「一体何なんだ、この連中は」
「よかったら教えてくれねえ?」
「まあ敵だってことはわかるけれど」
タップとライトも述べる。
「バルマーと対立する勢力の一つだ」
ダバが三人にそう説明した。
「異文明の勢力で。かなりの力を持っている」
「何だよ、バルマーの敵なのかよ」
勝平はそれを聞いて少し安心した声をあげた。
「だったら俺達と一緒じゃねえか」
「本来はそうね」
ミリアはその勝平に静かにそう返した。
「本来は!?」
「けれど彼等はここに来た」
「関係ない筈の地球に」
ダバも言う。
「それが何故かは俺にはわからないが」
「では私が教えてやろう」
また声がした。
「それは諸君等があまりにも危険だからだ」
「危険!?」
「俺達がか」
「そうだ」
声はまたロンド=ベルの面々に答えてきた。
「君達は圧倒的な戦闘力を持っている。それが危険だというのだ」
「俺達を危険だと判断するのか」
「その通り」
彼は勇にも答えた。
「その技術はあまりにも戦闘に突出している。宇宙の歴史を変えんばかりにな」
「だからどうするっていうんだ?」
今度はジョナサンが彼に問うた。
「俺達を同化するつもりなのはわからるんだがな」
「何、悪いようにはしない」
見下ろす感じの声であった。
「我々としては平和を望んでいる。これは事実だ」
「段々胡散臭く聞こえてきてるんだけれどよ」
勝平はまた述べてきた。
「平和平和ってよ。こういうこと言う奴ってよ」
「そうだな」
宇宙太は彼のその言葉に同意して頷いてきた。
「奇麗事を言う奴程信用できない」
「そうよね」
恵子も彼の言葉に頷く。
「何かを隠しているのよ」
「それで君達は僕達をどうするつもりだい?」
万丈が声に問うた。
「保護してくれるとてもいうのかな」
「その通り」
声は万丈に対して答えてきた。
「我々は平和を愛する。君達の平和もまた」
「その平和はどうやってもらえるのかな」
「我々が君達のその技術を預かる」
話が本題に入ってきた。
「そうしてその技術を宇宙の平和の為に使うのだ」
「何かと思えば」
「結局はそれかよ」
皆今の言葉を聞いて呆れ返った顔になった。
「要するに自分達の為に使うんじゃない」
「それでよく平和って言えたものね」
「ふむ。邪推されるとはな」
声はロンド=ベルの面々の冷たい言葉も兵器で受け流していた。
「君達はどうやら我々を理解してはいないようだな」
「いや、もう充分だよ」
リューネが彼にそう言い返す。
「あたし達の力を利用したいんなら素直に言いなよ」
「そうだ」
ヤンロンも言う。
「僕達の力は僕達の為にある。御前達の為ではない」
「では我々にその力を預けないというのか」
「おいおい、また随分と欲が深いなインスペクターってのは」
今度はマサキが言った。
「俺達の力が欲しければ力づくで奪ってみせやがれってんだ」
「わかった。では交渉決裂だな」
その言葉と共に恐竜を思わせるマシンが姿を現わした。
「相手になろう。私はインスペクター四天王の一人ヴィガジ」
「何だ、この禿頭」
甲児はモニターに現われた男の顔を診て言った。
「手前がヴィガジだってのかよ」
「如何にも」
ヴィガジは甲児に対して答えた。
「私がそのヴィガジだ」
「もう話は済んだよな」
甲児はその彼にまた言う。
「だったら来やがれ、この禿!」
「よかろう」
ヴィガジは甲児の言葉にも感情を露わにはしない。だが戦闘用意は出来ていた。
「行くぞ。全軍攻撃開始」
「来たわね」
ミオがその動きを見て声をあげた。
「こっちだって遠慮はしないわよ!」
「ミオ、まずはレゾナンソクエイクを御願い」
テュッティがミオに言う。
「私はケルヴィンブリザードを仕掛けるわ」
「了解!」
ミオはテュッティのその言葉に頷く。
「じゃあまずは派手にやっちゃうんだから!」
「リューネ、ヤンロン!」
マサキも二人に声をかける。
「俺達もやるぜ!派手にな!」
「わかってるわよ!」
「まずは一撃だ」
二人もマサキの言葉を受けて前に出る。
「数だけで勝てると思ってらね!」
「それは違う」
五機のマシンがまず前に出た。そうしてインスペクターの軍に広範囲の攻撃でダメージを与える。これが口火となった。
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