第七話 インスペクター四天王その一
インスペクター四天王
「いよいよはじまりだね」
ある基地の会議室にて。四人の者が集まり話をしていた。
「あたし達の本格的な戦いがね」
「そうだな」
スキンヘッドの男が女の言葉に頷く。
「今まで備えていたものを向ける」
「ここにいるあらゆる勢力に対して」
「まずは何処を相手にする?」
金髪の男がここで三人に問う。
「地球人か?それとも」
「そうだな。まずは地球か」
スキンヘッドの男がそれに応えて述べた。
「最初はな」
「本当はバルマーを倒しておきたいんだがね」
女はそれに対してこう言うのだった。
「バルマーか」
「そうだよ。あいつ等が一番目障りだしね」
「確かにな」
金髪の男は女の言葉に頷いた。
「特にあのハザルの奴はな。始末しておきたい」
「そうだね。あいつだけは許せないよ」
女はそう言いながら黒い肌の男に顔を向けた。そのうえで言う。
「そうだね、シカログ」
「・・・・・・・・・」
シカログと呼ばれたその男は語りはしない。だが女は彼の言葉を聞いたかのように満足して微笑んだ。それから金髪の男に顔を向けるのだった。
「メキボス、ウェンドロ様はまずはどっちを倒されようと御考えなんだい?」
「どうやら地球人を警戒されているそうだ」
「そうなのか」
「そうだ、ヴィガジ」
メキボスはスキンヘッドの男の名を呼んだ。
「まずは地球人のその攻撃性を警戒されている。だからこそ」
「ふむ。そうか」
ヴィガジはその言葉を聞いて納得して頷いた。
「だが。俺は思うのだが」
「バルマーもまた。攻撃的だと言いたいのだな」
「それはわかる」
メキボスもヴィガジの言葉に頷く。
「あいつ等はな。やはり」
「そうだ。地球人よりも問題ではないのか?」
ヴィガジはそう述べる。
「あの者達は」
「だが今は奴等と戦うにはな」
「戦力か」
「そうだ。ましてや俺達はゲストとも対立している」
何かの名が出た。
「まずは地球の技術をより手に入れそうして」
「力を蓄える」
「何かみみっちいね」
「だがアギーハ」
メキボスは女の名を呼んだ。
「それが確実だ。だからこそ」
「わかったよ。それじゃあそれだね」
「ああ。まずは地球だ」
彼等の方針は決まった。それに基き動きはじめたのであった。
ロンド=ベルは北京に向かっていた。ユウナはその中でクサナギの艦橋にいた。
「皆出撃準備はできてるよね」
そうキサカに問う。
「カガリ達も」
「既に格納庫に入っておられます」
「そう。だったらいいんだけれど」
「シンと一緒に」
「えっ!?」
シンの名前を聞いてユウナの顔が一変した。
「それはまずいよ。シンが一緒にいたら」
「それ以前に何故シンがクサナギに」
艦長であるトダカはそれを問うた。シンは本来ミネルバにいる筈だからだ。
「どういうことなんだ」
「いや、彼だけではありませんよ」
アズラエルがそう言ってきた。
「彼だけではない」
「アスラン=ザラ達もいますが」
「アスラン君がいるのか」
ユウナはアスランの名前を聞いてとりあえずは落ち着いた。
「では彼に任せてみようか」
「任せるのですか?」
「うん」
そうキサカに答える。
「僕達も忙しいことだし。ここはそうするべきじゃないかな」
「ユウナ様、そう仰いながら実は」
「厄介ごとをアスランに押し付けたいのでは」
「まあそう捉えても別にいいよ」
居直ってきた。
「この前も二人の喧嘩止めて大変なことになったし」
「顎はもう大丈夫ですか?」
アズラエルは涼しい顔でユウナに尋ねる。実際に彼は二人の喧嘩を止めようとしてその二人に同時に殴られたのだ。なおその時アズラエルは急に何処かに消えていたのだ。
「この前のは」
「何とか。しかしまあ彼も苦労人だね」
「確かに」
「あの歳で」
キサカとトダカはユウナのその言葉に頷く。
「髪の毛も大変なことになっていますし」
「また後退していませんか?」
話がアスランにとって洒落にならない方に向かってきていた。
「この前に比べて」
「それに全体的に薄くなってきているような」
「ここは育毛剤をプレゼントした方がいいかな」
そうしたことにはよく気が回るユウナであった。
「このままだと本当に」
「そうですね」
「やはりここは」
「おや、そんな素晴らしいものがあるのですか」
アズラエルは育毛剤という言葉を聞いて妙な反応を見せてきた。
「育毛剤とは」
「あれ、貴方は別に」
「いやいや、念の為にですね」
ユウナに妙な取り繕いを見せる。
「一つ試させて頂きたいのですが」
「まあそれでしたら」
「いや有り難い。僕の製剤工場はBF団に破壊されてからずっと復旧していませんし」
何処までも異常能力者に悩まされているアズラエルであった。
「助かりますねえ」
「といいますと」
ユウナはBF団と聞いてふと思い出した。
「あの暮れなずむ幽鬼の時に」
「そうなのですよ。あの時についでに」
「それはまた」
「全く。あの連中だけは許せませんね」
かなり個人的な感情である。
「おかげで。何かと困っていますし」
「気持ちはわかります」
白昼の残月にオーブを滅茶苦茶にされたユウナならではの言葉であった。
「彼等はね。非常識極まりない存在でしたから」
「全くです。まあおかげでコーディネイターへの偏見も消えましたしライオンロボ君のことも知ることができましたしね」
それはそれで彼にとってはよかった。
「不幸中の幸いでしょうか」
「そうですか」
「ええ。そういえば国際エキスパートの本部は中国でしたね」
「あれっ、違いますよ」
「えっ、そうなのですか」
ふとあることに気付いた。
「中国にあるとばかり思っていましたけれど」
「何かバビルの塔にあったそうで」
「はあ」
「そこで最後の激戦が行われたとか」
それがBF団と国際エキスパートの最後の決戦だったのだ。それにより大作は長い戦いを見事に終わらせているのである。
「成程」
「ビッグファイアも死んだそうです」
一応はそうなっている。
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